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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
30
2017

ドーン・オブ・ザ・デッド

DAWN OF THE DEAD / 2004年 / アメリカ / 監督:ザック・シュナイダー / ゾンビ / 101分
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由緒正しきゾンビ映画。カユ‥‥ウマ‥‥。
【あらすじ】
ゾンビが出たので逃げる。



【感想】
ゾンビ映画を語るとき、しばしば話題に上るのがジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ/DAWN OF THE DEAD」(1978年)で、それをリメイクしたのがザック・スナイダー監督の「ドーン・オブ・ザ・デッド」になる。などと偉そうに書いといて、オリジナルは未見なのです。ケーブルテレビではしょっちゅうやってるんだけどもー。

ザック・スナイダーは「ウォッチメン」「300<スリーハンドレッド>」「マン・オブ・スティール」「エンジェル ウォーズ」なども監督していて、陰影を強調した独特な映画を撮りますよね。暗い色とセピア色の光の使い方が独特で、幻想的な世界を作り出している。なんだろうなあ、あれ。おしゃれな悪夢という感じ。スローモーションも多用していますが、この映画ではそれらの技術はあまり使われていないように見える。でも、どこかセンスの良さを感じさせるのだった。

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この映画には説明の過剰さはない。ゾンビウィルスが蔓延した原因、世界の他の地域の反応、政府の対応なども出てこない。マクロな視点から世界を構築するのは低予算映画だと難しいという事情もあるのだろうけれど、舞台をショッピングモールに限定したことにより、ゾンビに覆い尽くされた世界での孤立感がとても良く表現されている。スッキリしていて良いですね。

2004年の作品ということもあり、ゾンビ映画としてはオーソドックスなのだけど、この映画や2002年に公開された「28日後…」が以降のゾンビ映画のお手本になったのだろう。

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全力疾走のゾンビさんたち。この映画のゾンビはよく走るなあー。太ったおばちゃんゾンビも、けっこうな勢いで走るし。死ぬと身体能力が上がるのかな。

感染した仲間を泣く泣く殺す定番場面など、ゾンビ映画のお約束もきっちりと抑えています。モールの屋上から有名人に似たゾンビを撃ち殺す悪趣味な遊び、ゾンビ化した人間から産まれる赤ちゃんゾンビなどの新しい工夫もある。

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脱出場面で大量のゾンビに取り囲まれる場面はすばらしいですね。盛り上がるゾンビフェス。参加したい。焼いたり、ひき殺したり、チェーンソーで斬ったり、大忙し。でも、ゾンビ映画にしては残虐な描写は控え目で、家族で安心して観られる(ほんとか)。

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登場人物たちがあまり湿っぽくないのも良いのかなあ。ホラー映画特有の暴走するバカは出てきませんね。この映画はわりとシリアスな雰囲気なので、そのほうがいいのかな。それはそれで寂しいけど。わたしは事態を悪い方にひっかきまわすバカが好きなんだ!

エンドロールまで楽しめるようになっているのもサービス精神が感じられました。救いがないところもいいのかなあ。ゾンビ映画に特有のB級っぽさがなく、話の展開に破綻している部分がないのはすばらしい。

この映画は2004年のものですが、他のゾンビ映画で観た場面がそこかしこにある。「ありがちな展開」と感じるかもしれない。でも、現在のゾンビ映画って「28日後…」や「ドーン・オブ・ザ・デッド」の影響が強いのではないか。あまりによくできているので、後発作品はどうしてもこの作品の影響を受けざるを得なかったという。とにかく丁寧で堅実に作られており、ゾンビ映画の教科書になる作品だと思いました。由緒正しき腐臭がプンプンする、すばらしい映画ですね。今、観ても十分楽しめました。

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