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2019
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ザ・ギフト
THE GIFT / 2015年 / アメリカ、オーストラリア、中国 / 監督:ジョエル・エドガートン / ホラー、サスペンス
親しい人の本当の顔。
【あらすじ】
高校時代の友人と再会。いろいろ親切なんだけど‥‥。
【感想】
俳優のジョエル・エドガートンが監督した作品。みずから助演もしています。面白かったです。実に嫌な感じのホラー(心理的なもので痛さはない)に仕上がっています。他の監督作品も観てみたくなりました。ネタバレすると面白くない作品。内容を知りたくない人は回れ右ということで。
新しい仕事が決まり、地元に戻ってきたサイモン(ジェイソン・ベイトマン、左)とロビン(レベッカ・ホール、右)の夫婦。サイモンたちの人生はまさに順風満帆。夫の仕事は大企業の幹部、妻は会社を経営していたが今は広々とした豪邸でのんびりと過ごしている。
雑貨を購入しているとき、高校の同級生と名乗るゴード(ジョエル・エドガートン、左)が声をかけてくる。ゴードのことを憶えていないものの、愛想良く対応して連絡先を交換するサイモン。翌日、どこで住所を調べたのか、ゴードから引っ越し祝いとしてワインが届く。ゴードはサイモン夫婦に次々と物を送りつけてくる。
サイモン夫婦はゴードを夕食に招待する。この夕食の場面がねえ、なんとも観ていてモヤモヤする。ゴードはどんな仕事をしているか、妻や子がいるかも明かさない。成功者であるサイモンに引け目を感じているのか、あまり自分のことは語らないんですね。ただひたすら「サイモンが成功して良かった。幸せで良かった」と言う。
人生を、他人と差がついてしまったと比べる必要はないのだけど、それでも比べてしまうときはある。本人がなんにも気にしてなけりゃ、どうでもいい話なんだけど。ゴードの気持ちがわかるような気もするんですよね。
サイモンはゴードを気味悪がり、会社の仲間たちとのパーティーではゴードの悪口を言う。ここら辺から、オヤオヤ? という不穏さが漂う。サイモンの過去がしだいに明らかになってくる。過去、ゴードにした卑劣ないじめによってゴードの人生は滅茶苦茶になっていた。サイモンを演じたジェイソン・ベイトマンは今までの役だと明るく爽やかなイメージがあった。過去の役によってうまくサイモンの卑劣さが覆い隠されていたように思う。
サイモンは嫌な感じが絶妙でしたね。ゴードの名前をゴードンと憶えていたり、愛想だけ良くて人のことを気にしない感じとか。豹変する態度とか。こわー。
そうすると困ってしまうのが妻のロビンなんですね。真矢みきに似ている。ハリウッド版真矢みき。彼女は正義感の強さからサイモンにゴードとの関係修復を望む。今はSNSで過去の悪事も露見することがある。もし、最愛の人が過去にひどいことをやっていたと知ったら許せるだろうか。
私とはクラスが違ったが、ひどいいじめをしているという噂のOという男がいた。いじめの場面を自分で直接見たわけではないが、目撃した人間は多くいた。彼は今、実業家になってバリバリ活躍している。以前、一度会ったとき「フェイスブック登録してよ」と言われたのだけど、どうしても学生時代のことが頭をよぎった。彼はそのときのことを反省しているかもしれない。もし過去の罪が許されないとしたら、人は一生許されないのだろうか。でも、やはり距離をとってしまうのだけど。
被害者かと思っていたら、実は加害者だったという怖さ。ゴードの復讐(結局、やっぱり不気味だった)もなかなか。ギフトというタイトルの意味は、赤ん坊なのかなあ。ゴードがロビンをレイプしたかはぼかされている。どちらともとれる。この映画で本当に怖いのはサイモンの性格の悪さでした。結局、彼は歳を重ねてもなんにも変わっていなかった。サイモンのような悪人はありふれていて、だからこそ怖い。優秀で頭は切れて優しそうだけどモラルがない。
ロビンは経済力もあるしサイモンと離婚もできる。でも、はたして普通の家庭で伴侶が過去にひどいことをやっていたと知った場合、どうなるのだろう。ずっと相手を許せず、暮らしていくのだろうか。伴侶もいないのに勝手に暗澹たる気分になった。いろいろ怖い映画。面白かったです。
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