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2016

THE GREY 凍える太陽

THE GREY / 2011年 / アメリカ / 監督:ジョー・カーナハン / ドラマ
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死のう死のうと思ってたけど。
【あらすじ】
飛行機が狼の縄張りに墜落しました。


【感想】
石油採掘現場で働く男たちを乗せた飛行機が、アラスカ山中に墜落。不時着の衝撃で飛行機はバラバラに。生き残ったオットウェイ(リーアム・ニーソン)ら7人は、自分たちが狼の縄張りに居ることに気づく。狼たちに追われ死地を脱しようと試みるが一人、また一人と斃れていく。陰気な役柄が多いリーアム・ニーソンですが、またしても陰気でしたねえ。なにせ死にたがってるし。しかし、リーアムが好きなわたしは観ますよ。ついていきますよ。

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「ファイナル・デスティネーション」の飛行機事故も恐ろしかったですが、この映画も機中の混乱ぶりが怖いですね。また一つ、飛行機に乗らない理由ができてしまった‥‥。そんな不幸を潜り抜け、なんとか生きのびたオットウェイさんです。

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雪山、食料不足、反抗的な仲間(一名)、こういった悪条件の中、狼をバッタバッタと斃していく映画かと思っていたら、そうではない。狼から逃げてばかりいる。恐怖、絶望、残虐さとか、そういう描き方はしてない。ホラー映画じゃないんですね。たしかに狼にやられていくのだけど静謐な雰囲気すらある。狼は、人生における不幸・死の象徴のように描かれる。

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オットウェイはリーダーになって仲間を率いるが、実は事故が起きるまでは自殺を考えていた。そんなオットウェイが狼退治のスナイパーという設定は面白い。彼は狼について知識がある。それは、狼(死)について考え続けてきたからなのかな。

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ホラーというより哲学的な映画になっている。ある事件がきっかけで死を考え続けてきた男が、生きたいと望みながら死んでいく仲間を見るうちに、再び生に対して前向きになっていくという。ちょっと説教臭いような気もするのだけど。

しかし、オットウェイさんの逃亡プランがときに乱暴で首をかしげたくなる。崖を降りるのが危険とはいえ、何十メートルもある断崖絶壁からジャンプさせて木に飛び移らせるのはどうなのだろう。普通、落ちて死ぬ。これは狼にやられるより確実に死ぬ。暴君が「面白い死刑の方法思いついた。死ななかったら無罪!」とかで、やらせそうな気がする。

ちょっとオットウェイの判断がねえ。みんな黙々と従うがいいのか、本当にそれでいいのか君たち。案の定いろいろあって、一人死んだ。

一行の歩き方も気になる。隊列が縦になるのは当然だけど、体力がある人順に隊列が並んでしまう。時間が経てば、体力がない人が遅れて隊列が長くなるのが目に見えている。どうせ遅れた人を待ちながら進むのだから、体力がない人を一番前に歩かせて、渋滞ができるようになるのがもっとも効率がいい方法なのだ。そんでまあ、やっぱり一番後ろの人が狼にムシャムシャされるのです。だから、あれほど気をつけろと。

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そんなこんなで仲間が減ってしまったオットウェイだが、最後の最後でやる気を出すところで映画は終わる。死や運命にあらがう気迫を持つことができた、それこそが勝利ということなのかな。たとえ、結果はどうだとしても。

エンドロールを最後まで観るとボス狼との死闘の後が一瞬、映る。ここはなくてもいいような気がしたけどどうなんだろ。もう、やる気を出したということで十分なのだから。まだ荒い呼吸をしている狼の体を枕にして、オットウェイの後頭部が見える。オットウェイが上になっているので勝利を収めたのか、それとも共倒れになってしまったのか。結果は重要ではないのだろう。

リーアム・ニーソンは2009年、スキー事故が原因で妻を亡くしている。この映画は、事故からわずか2年後に公開されている。自分と似た状況にあるオットウェイをよく演じる気になれたと思います。やはり自身の死を、一瞬でも考えたのだろうか。

心が健やかなときは、死についても「遅かれ早かれ、みんな逝くんだから、そんなに焦らんでも」などと暢気に言えます。だが、本当に悲惨な状況に陥ると、そんなこと考えられないだろう。絶望の底にいた人が、また生きてみようと思える理由とはなんなのだろう。

ホラーやアクションを期待して観ると、面白くないかもしれません。

一緒に逃げてた仲間が「俺、疲れちゃったからもうここでいいや。生きのびても、たいした生活でもないし」みたいなこと言うのは、なんだかわかる気もした。人は面倒くさくても死ぬ。あると思います。



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