03
2016

すいか

2003年 / 日本 / 脚本:木皿泉、山田あかね / ドラマ、コメディ
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ハピネス三茶に住みたいぞ。
【あらすじ】
遅まきながら家を出て、下宿生活を始めました。


【感想】
2003年の日テレドラマ(全10話)です。古さを感じませんでしたが、10年以上前の作品なんですね。お世話になっている方に教えていただいたのですが、いやあ、眠っている名作がありますねえ。まったく知らなかった。

「すいか」の公式サイトを観ると、プロデューサーの河野英裕さんの言葉に「視聴率というものさしでは失敗でした」とある。こんな作品でもヒットしないとは。パッと見、地味ですからね。土曜9時ではなく、11時ぐらいのほうがじっくり観られて良かったのかなあ。

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信用金庫に勤める30代半ばの地味なOL早川基子(小林聡美、左上)。ふとしたきっかけから実家を出て、ハピネス三茶という下宿で共同生活を始める。ハピネス三茶の住人はみな個性的。エロ漫画家の亀山絆(ともさかりえ、右上)、大学教授の崎谷夏子(浅丘ルリ子、左下)、大家の芝本ゆか(市川実日子、右下)。

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「かもめ食堂」のような、なんとなく雰囲気がいい作品なのかと思ったら、そうでもない。もうちょっとテーマが明確。自立や生と死など、普遍的なテーマを扱っていて、それでいて重くならずおかしみが滲み出る。こういう作品は時代関係なく観られますね。

出てくる人たちの佇まいがいい。世間とは少しずれつつも、自分の中にしっかりとした基準を持っている。

家賃を滞納しているエロ漫画家の絆は、親が送ってくるお金には手を付けずに送り返している。ただし、大家には滞納して迷惑をかけるという。駄目な人ではあるのだけど、譲れないところはある。かなりの変人を、ともさかりえさんが本当に自然に演じてました。金子貴俊さんとの不思議な恋愛も良かったですね。

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そして、なにより良かったのは浅丘ルリ子演じる教授でしょうか。凛々しくて姿勢が良い。竹を割ったような性格で、曲がったことが大嫌い。ハピネス三茶一の武闘派。最終的には暴力で解決する人である。好き。

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基子のおせっかいな母親(白石加代子)の存在感がすごかった。美人のカバみたいなおばちゃんなのに、快気祝いのエピソードでは、ちょっとうるっときてしまいました。やられましたよ。

基子が母親にきちんと自分の考えを伝える場面がいい。「話せばわかる」ということをついついあきらめてしまいがちで、面倒くさがって話さずに済ますことがあります。でも、本気で話せば伝わることだってあるのかもしれない。コミュニケーションをあきらめてはいけないのだろう。

三億円横領という始まり方をするものの、この世界ではまったく派手な印象がないのも面白い。「そんなこともあるのかな~」ぐらいというか。銀行の人々も、総じてのん気。以前に観た横領を描いた映画「紙の月」では思いっきりピリピリしてましたけども。あっちが普通なのだろう。

冒頭以外は派手な事件はまったくなくて、日常よくあるような、重箱の隅をせせったような話で、それでも引き込まれてしまう。居心地がいいのかな。ずっとこの世界を楽しんでいたい、浸っていたい。そんなふうに思えるドラマは珍しい。10話で終わってしまい、ハピネス三茶の人々が観られなくなるのがさびしかった。こんな感覚は吉川英治の三国志を読んだとき以来だろうか。なにか比較がおかしいけども。

ボロいけれども、丹念に手を入れて住み続けているハピネス三茶も魅力的に映りました。みんなどこか悩みを抱えていて、でも楽し気で、ときにホロッとさせられるすてきな作品でした。お薦めですよ。わたしは教授について行きたい。

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2 Comments

R  

No title

すいか、気に入っていただけたようで良かったです。
ハピネス三茶、住みたいですよね。
てか、おすすめしてから観終わるのが早い! ドラマで長いのに。

片桐はいりさんもいい刑事役をやっていたでしょう。


放送当時、絆ちゃんと同い年だったんですよね。
私も古着が好きだったので、絆ちゃんのファッションに注目してました。

で、34歳独身でうだつのあがらない基子さんを「ふ~ん・・・」って感じで観ていたのに、気づいたら基子さんの年齢をとうに越している自分がいましたよ。

あと、シナリオブックが出ていて、「すいか2」に10年後のお話が書かれています。
図書館などで見かけたら読んでみてください。こちらもおすすめです。

2016/08/07 (Sun) 11:38 | EDIT | REPLY |   

しゅん  

No title

すいか、良かったですよー。
薦めていただいてありがとうございます。

>てか、おすすめしてから観終わるのが早い! ドラマで長いのに。

もう本当にあっという間でしたねえ。ブログも仕事もほったらかして観たので。ええ。


>片桐はいりさんもいい刑事役をやっていたでしょう。

相変わらず、ナンチャンに似ていいお顔。 奇妙な性格の人を演じると、ピッタリきますよねー。他の登場人物もみな個性的でよかったですね。教授が好きなんだ。

絆ちゃん、ともさかりえさんの一番の当たり役なのではないでしょうか。他あんまり知らないのだけど。金田一少年の事件簿とかかな。ファッションもインテリアも素敵でしたね。


>で、34歳独身でうだつのあがらない基子さんを「ふ~ん・・・」って感じで観ていたのに

お互い、絆ちゃんも基子さんも追い越した年齢に。
うだつの上がらないことにかけては、負けてないと思いますが。このまま上がらないで50、60に突入でしょうか。恐ろし。どうかRさんだけは、うだつ上がらないでいてください。そのままのRさんでいてください。僕はどうにか先に行きたいと思います。


すいか2って、本で出てたんですねえ。どんなんだろ。
10年後の世界ですか。
ちょうど10年ぐらいたちますし、続編やってくれないかなあ。まだみんな元気そうだし。

2016/08/08 (Mon) 14:48 | EDIT | REPLY |   

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