05
2016

ビッグ・アイズ

BIG EYES / 2014年 / アメリカ、カナダ / 監督:ティム・バートン / 実在の人物を基にした映画
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ウソつきまくりおじさんの奇妙な人生。
【あらすじ】
妻が描いた絵を、夫が「自分で描いた」といって売りまくる。絵は大ブームになりましたが妻は怒ってます。


【感想】
実際の事件が基になった映画。1960年代、アメリカで一大ブームを巻き起こした絵画「ビッグ・アイズ」シリーズ。画家のウォルター・キーン(クリストフ・ヴァルツ、左)は一躍脚光を浴びるが、実際に絵を描いていたのは妻のマーガレットだった。

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不思議な映画でした。それというのも、夫であるウォルターが何を考えているのかよくわからないんですよ。ウォルターは絵の才能はないがとても弁が立つし宣伝もうまい。言葉巧みに酒場に絵を置かせたり、新聞記者と知り合いになって記事を書かせたり、有名人に絵を寄贈することで妻マーガレット(エイミー・アダムス、右)の絵を広めていく。

ただし、その絵は自分が描いたことにしてしまう。「女が描いたというと売れない」などとマーガレットに言い訳をする。女性蔑視がまだかなり強い時代だっただろうし、マーガレットもウォルターにうまく丸め込まれてしまう。なにせ口がうまい。しゃべりながら産まれてきたような人なのだ。

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ウォルターが営業、マーガレットが制作という分業制がうまくいき「ビッグ・アイズ」は売れに売れた。ウォルターは有名人となり、彼らは豪邸に住めるようにもなった。ただし、マーガレットは部屋に閉じこもりっきりで絵を描き、作者が自分ということは子供にもいえず、だんだんと精神がまいっていく。

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ウォルターは世間をだましているという良心の呵責や、ばれたらどうしようという恐怖もみられない。これが本当に不思議。マーガレットと出会ったとき、街頭で絵を売っていたウォルターだったが、その絵すら自分で描いたものではなかった。他人の署名を塗りつぶし、上から自分の名前を入れていたのだ。それにはゾッとした。なにもかもが嘘なんですよ。

世間はおろか家族すらだまし、それでも普通の精神状態で生活がおくれるのか。本当の彼はどういう人なんだろうと思ったが、これこそが本当のウォルターなのかもしれない。

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マーガレットと出会い、調子のよいことをいってすぐにハワイで挙式する。このときマーガレットは一文無しだし、連れ子はいるし、絵の才能だってあるのかないのかはっきりしない。マーガレットの才能目当てで結婚したのではない。マーガレットがいうようにウォルターは「悪い人ではない」のだろう。ただ、常識では考えられないほどの嘘つきおじさんである。

やったことがいいか悪いかというと悪いですし、妻をおどして(暴力は振るってない)絵を描かせたことは、内気な妻の依存性を利用した支配のようにすら感じる。だけど、どこか憎めなくて不思議な人なんですよねえ。わたしがウォルターを演じたクリストフ・ヴァルツが好きなせいも大きいのですが。

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嘘で塗り固められたウォルターの人生。いっときは羽振りもよく、有名人の仲間入りをし賞讃もされたけど、それで心から幸せだったのだろうか。自分の絵ではないものをいくら褒められたって、嬉しくもなんともないように思う。誰にも本当のことをいえないとしたら、それでも満足なのか。

うーん、しかし、大豪邸での豪勢な暮らし、浮気し放題、一流画家としての名声などなど思うと、案外、本人はなんも考えてなくて存分に楽しんでいたのかもしれない。うらやましいぞ。

上のおばあちゃんは、実際のマーガレットさん。今はウォルターのことも許しているのかなあ。たしかにウォルターのしたことはひどいが、彼の営業力がなければ果たしてマーガレットの絵が世に出たかどうか。興味深い映画でした。監督がティム・バートンなんですね。空や緑が鮮やかな美しさで、ティム・バートンぽかったですね。


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