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2016

ボディ・ハント

HOUSE AT THE END OF THE STREET / 2012年 / カナダ、アメリカ / 監督:マーク・トンデライ /サスペンス、ホラー
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彼のことを理解できるのはわたしだけ。
【あらすじ】
殺人があった家の隣に引っ越しました。家賃が安くてお得!と喜んでいたが‥‥。


【感想】
「ボディ・ハント」という邦題は人が見境なく殺されるホラー映画を思わせる。どうせムチムチのお姉さんがあぶない男に追っかけまわされるとか、そういうやつでしょ!君たちはいつだってそんなものばっかり作ってるんだから!と思ったら違いました。やっぱりジェニファー・ローレンスが出てる映画は当たりかもしれん。純粋なホラーというよりサスペンス要素の強い見応えのあるサスペンスホラーでした。

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娘のエリッサ(ジェニファー・ローレンス、右)は正義感の強い高校生。大好きだった父親と離婚した母サラを許しきれずにいる。両親が離婚したことをきっかけにシカゴから引っ越し、田舎町で心機一転やりなおしを図る母娘。

「こんな豪邸が格安で借りられた!」と喜ぶ母でしたが、隣は殺人が起きた家なのです。ま、気にしなけりゃ大丈夫だな!と強気な母であるよ。

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隣家は空き家で誰も住んでないと聞いていたのに、ある日、灯りが。隣家ではキャリー・アンという娘が両親を殺害し行方不明になっていた。今ではキャリー・アンの兄であるライアン(マックス・シエリオット、右)が周囲から孤立し、一人で暮らしていた。

ライアンは殺人を犯した娘の兄ということで町では差別されている。サラとエリッサを迎えてくれた親睦パーティーでも、近所の人々は「不動産価値が落ちて迷惑している」などと殺人があったことを批難するのだった。ひどい人たちだが、こういう本音はあるかもしれませんね。しかし、パーティーの主賓であるサラとエリッサはその家を借りて住んでいるのだけど、君たち、今それをいうかね。

そんな無神経な人々に怒り心頭のエリッサなのです。エリッサの描き方がすごくいいんですよね。まだ高校生ですがしっかりしていて孤立を恐れない。差別されているライアンに対して同情的で、彼ときちんと向き合おうとする。こういう正義感はすごくわかる。

ただ、そこに十代特有の危うさも感じる。もちろん差別が悪いのは当たり前で、ライアンと仲良くしようとするエリッサの行動は正しい。だけどエリッサは「正しさ」が好きで、「正しい行動をする自分が好き」というふうにも見える。みんなから迫害されるライアンとちゃんと付き合える自分、みたいなものも感じる。「迫害されているから彼が好き」とまではいわないが、偏見のない自分という優越感もかすかに感じる。

母親は「あなたはクラスで一番かわいそうな子をほっておけないのよね」と皮肉っぽくいう。エリッサがいい子なのはもちろんだけど、本当に微妙ながら「上から救い上げてあげる」みたいなところが見えるのがね、実にいいんです。

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エリッサはシカゴという都会から越してきて、スクールカーストの上位なのかもしれない。イケメンで金持ちの生徒会長(ただし性格はゴミ)から言い寄られるが、それでも今一つぱっとしないライアンを選ぶ。ライアンは繊細で儚げで、でも自分の世界があって小説なんか書いちゃって、こういうの弱いわー。惹かれるわー。

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この映画は人間の描き方が丁寧ですよね。母親サラ(右)と警官(左)も、良識ある人柄。警官は、殺人犯の家族だからといって差別的な扱いを受けるライアンに同情的ですね。いい人や。

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母親サラと娘エリッサの関係はうまくいっていない。エリッサは、大好きな父親と離婚した母親をまだ許せずにいるんですね。エリッサが食事を作る場面があるが、皿の上にきれいに盛られたスパゲッティとパンというのがなんとも。炭水化物に炭水化物て。野菜を食え、野菜を。見た目はきれいだけど栄養についてまったく考えてない。こういうアンバランスな表現がすごくうまいんですよね。監督の細やかさを感じる。他の作品も観たくなりました。

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クドクド書いてしまいましたがホラーなんですよね、この作品。冒頭の羽毛が舞い散る恐ろしい場面、ベッドの下からの視点もいいですね。それと音の使い方が怖いのだ。いきなり大ボリュームでバンと来るので勘弁してほしい。わたしはおののく。

で、殺人鬼キャリー・アンの存在がね、また。ライアンの人柄の描写の細かさによって観客を誤認させるトリックがすばらしい。ネタバレになるので書けないのですが。ライアンがかわいそうなので、つい彼に同情してしまい「ライアンがあんなことをするのは、彼が過去にやったことの自責の念からなのだ!」と勝手に誤解してしまう。ライアンを応援したりして。まさに、彼を理解してあげられるのはわたしだけ状態である。

騙されるのが楽しい映画でした。カラーコンタクトのくだりは、びびりました。きちんとしたストーリーのあるホラーが好きな人にお薦めです。「エスター」が好きな人は好きかも。

そういえば、ジェニファー・ローレンスのチチがやたらに揺れますが、はたしてそのサービスはいるのか。わたしだってチチに反対するものではないが恐怖がそれてしまう。映画に没頭したいのに。「ワイルド・スピード」などのチチには肯定的だが「ボディ・ハント」のチチは否定したい。人は常にチチを好むとは限らない。ただし、ふつうのホラーのチチには極めて肯定的である。もっとやりなさい。遠慮なくやりなさい。


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