08
2016

裏窓

REAR WINDOW / 1954年 / アメリカ / 監督:アルフレッド・ヒッチコック / サスペンス、恋愛
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なぜみんなカーテンをしないんだ!
【あらすじ】
足を骨折して退屈なので近所をのぞき見するぞー。のぞき見した家の主人が怪しげなので恋人や刑事に捜査させるぞー。ワシ、足、骨折してるし。

人騒がせな人だよ‥‥。



【感想】
名前だけしか知らなかったヒッチコック作品「裏窓」。今観ても十分面白かったです。

カメラマンのジェフ(ジェームズ・スチュアート)は事故で左足を骨折。治るまでの間、車椅子生活をおくることに。ヒマなので近所をのぞき見します。オイオイ‥‥。

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一応、サスペンスのはずですがまったく緊迫感が感じられない。怖さもなく、雰囲気が丸いんですよね。どことなくコメディっぽくすらある。物語の本題に入るまでが長く、のぞき見をするアパートの住人の生活にかなり時間を割いている。

デートのリハーサルを繰り返すさびしい女性だったり、男が入れかわり立ちかわり訪れるバレリーナだったり、振られてばかりの作曲家だったり、奥さんが主導権を握る新婚夫婦だったり。シムピープルという人々の生活を観察するゲームがありましたが、そのゲームの感覚にも似ている。住人たちの暮らしぶりや、ちょっとした変化が楽しい。箱庭を観察する喜びがある。

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そんな中、カメラマンのジェフは熟年夫婦の言い争いを目撃する。翌日から奥さんが家に居ないことに気づき、ひょっとして何か事件が起きたのではないかと捜査を開始する。

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ヒマなのぞき見おじさんのジェフ。やはり顔が面白い人はいい俳優である。

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マッサージに来てくれる看護師のステラ(セルマ・リッター、左)との会話もしゃれている。インテリを気取るジェフが、まったく学がないというステラにやり込められてしまう様子が面白い。この二人のやりとりだけで二時間観ていられる。

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そしてやっぱりこの人。ジェフの恋人リザ(グレース・ケリー)が美しい。もっとも美しい時期に出演したのかもしれない。のちにモナコ王妃になりますが、気品がありながら愛嬌もある。しかし、恋人の家に来るだけなのに真珠をつけるとか、気合い入りすぎではないか。

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映画スターと一般人の美しさが隔絶していた時代なんだろうなあ。本当にきれいですね。ジェフの趣味の登山雑誌を読むフリをしながら、ジェフが寝るとすぐにファッション誌に切り替えるあたり、したたかで微笑ましい。

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リザがジェフの膝の上に乗って、ささやきながら何度も小鳥のようにキスをする場面がある。みょうに官能的で、ベッドシーンというわけではないのに観ていると恥ずかしくなります。リザは、どういうわけか自分の親のような歳のジェフにぞっこんである。殺人事件より、そこが謎だ。ジェフなんかより、もっと他にいい物件あるだろうよ。よーく、見てください。この人、変態のぞき見おじさんですよ。リザ、目を覚まして!

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ジェフがのぞき見をして得られた状況証拠だけを基にして、知り合いの刑事やリザに指示をして証拠を集めようとする。ジェフの思い込みなのか、本当に住人が殺人を犯しているのか、事態が二転三転するのが面白いですね。住人はなぜかみなカーテンをしないし、のぞき放題ある。住人の生活の様子は興味深く、飽きずに観ることができます。

頻繁に温度計の描写があり、それが恐らくカーテンをしない理由になっているのでしょうが、温度計は28度なんですよね。そんなに暑いイメージもないけど、やはり冷房器具がまったくないと28度でもかなり暑いのかな。時代のギャップを感じます。残酷な殺害の場面も出ず、それも時代ゆえなのでしょうか。映画が公開されたのは第二次大戦終結から9年後の1954年。映画で演じられる死よりも、はるかに残酷なものを見てきた人たちが大勢いた。過激さは必要ない。だからこそあえて殺害場面を映さない方法を撮ったのでしょうか。殺害場面は観客の想像に任せる方法をとっており、品がよく感じられました。

美男美女の恋愛、華やかな衣装と音楽、おしゃれな会話、そういったものが映画に求められていたのかなあ。サスペンスなのにユーモラスで、グレース・ケリーの美しさに惹きつけられる映画でした。

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