17
2016

特捜部Q 檻の中の女

KVINDEN I BURET / 2013年 / デンマーク、ドイツ、スウェーデン、ノルウェー / 監督:ミケル・ノルガード / ミステリー
1__20161119150756035.jpg
はみ出し刑事と保護者刑事、なかよくがんばる。
【あらすじ】
窓際部署に左遷されたので好き勝手に捜査することにした。



【感想】
デンマーク映画です。この作品は良かったですよ。二人の刑事が迷宮入り事件に挑んでいく典型的なバディもの。判断ミスにより同僚の一人を殉職させ、さらにもう一人を半身不随にさせてしまった殺人課の刑事カール(ニコライ・リー・コス、左)。殺人課からは追い出され、新設された窓際部署である特捜部Qに飛ばされてしまう。変な名前。

dL__20161119183406f3d.jpg

カールの相棒となったのがアサド(ファレス・ファレス、右)。イスラム教徒の刑事という珍しい設定。ファレス・ファレスという姓と名が同じ名前というのはイスラム圏では珍しくないのでしょうか。まえだまえだ、みたいなものかなあ。謎。

op0.jpg

バディものの魅力は性格の対照的な二人の衝突や友情ですが、こちらが望むところをちゃんと押さえてきますねえ。いいですよお!ケンカなどが起きれば面白いのだけど、アサドの人柄が良すぎるので衝突は起きないのだった。チッ‥‥。

431.jpg

カールは元から短気なのですが、強引な捜査で仲間を殉職させてしまったことにより署内でも浮いている。周囲に対しても心を閉ざしている。やけになっているカールに対して、温厚で粘り強いのがアサド。前の部署ではひたすらスタンプを押すだけの仕事だった‥‥、ってどんな仕事なのだろう。イスラム教徒ということで差別されていたのかなあ。

やる気を失っているカールとは違って、アサドは窓際部署でありながら仕事のやる気に満ち溢れている。アサドの静かな熱意がカールを動かしていく。

rL_.jpg

アサドはカールの保護者のよう。魔法瓶に入れてきたコーヒーをカールに飲ませたり。カールは「濃すぎる」なんて渋い顔をしているのですが、最後の方になると自販機のコーヒーを飲んで「おまえのコーヒーより苦いな」などといったり。長年連れ添った夫婦か。いやあ、たまりませんねえ、こわもてのおっさん二人がイチャイチャしているのは(特殊な趣味)。

本当にアサドが魅力的なんですよねえ。カールはこわもてのくせして自分の息子には弱い。息子がガールフレンドを連れ込んで大音量で音楽を流しながらセックスをしていても注意できない。自分のほうが遠慮して家の庭で寝てしまい、凍死しかかるという。あんたなあ。その怖い顔面はなんのためだ。

9d.jpg

カールを迎えに来たアサドは、庭で寝ているカールを見つける。アサドはそのままカールの息子の部屋に向かい、ラジカセのコードを引き抜くと息子とそのガールフレンドに笑顔でウィンクしてそのまま出ていく。た、たまりません!かっこよすぎるぞ。

AL__20161119150758d9a.jpg

ハリウッド映画に出てくるイスラム教徒というのは二種類しかいないように思う。残虐なテロリストか、差別に苦しむ被害者、このどちらかである。でも、本当はそんなことなくて普通に生活しているイスラム教徒が大部分のはずである。

この映画はイスラム教徒を特別なものとして扱っておらず、どこにでもいる温厚な男として描いている。イスラム教徒が「普通の人」という役は珍しいんじゃないでしょうか。加害者でも被害者でもなく、こうやって当たり前に出てくることが一番いいことのように思える。

p0.jpg

短気で強引なカールと、温厚で粘り強いアサドがそれぞれの持ち味を発揮して捜査をすすめていく様子もいいですね。ストーリーも無理がなく納得のいく展開でした。少し犯人に同情してしまうところもありました。これ絶対にシリーズ化してほしいと思ったら、もう2作目「特捜部Q キジ殺し」というのが出ています。楽しみだ!


関連記事
スポンサーサイト

0 Comments

Leave a comment