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2016

ザ・ゲスト

THE GUEST / 2014年 / アメリカ、イギリス / 監督:アダム・ウィンガード / スリラー
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頼りがいのある好青年は、殺人大好きお兄さん。
【あらすじ】
息子の戦友を家に入れたら、大変なことになった。



【感想】
イラク戦争で息子ケイレブを亡くしたピーターソン一家。ある日、一人の青年が訪ねてくる。青年はデイヴィッド(ダン・スティーヴンス)と名乗り、息子の戦友で彼の最後の言葉を伝えに来たと話す。礼儀正しく、爽やかなデイヴィッドをピーターソン一家は歓迎し、しばらく家に滞在することを勧める。

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好青年に見えたデイヴィッドだったが、彼の不審な行動に姉のアナ(マイカ・モンロー)は疑いの目を向けていく。

本当に惜しい作品というか、前半いい雰囲気で進んでいくので後半の失速ぶりはとても残念なところ。ある一家に外部から入り込んできた人間が、実はヤバい人という作品はけっこうあります。家族は次々と懐柔され、魅力的な侵入者に家が乗っ取られてしまう。で、家族の誰かがそのヤバい人に気づくものの、気づいたやつは素行が悪くて家族から信用されず、やきもきする間にどんどん家族がひどい目にあっていくという展開が王道。

あんまりそのやきもき部分がないのですね。デイヴィッドが悪い奴というのも、銃の売人を殺したところであっさりわかってしまう。もうちょっとやきもきさせておくれ!

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ただ、普通のスリラーと一線を画すのは、主演のデイヴィッドを演じたダン・スティーヴンスの魅力でしょうか。憂いを秘めたさびしそうな瞳、物静かで知的な雰囲気から突如、荒々しく激昂する怖さ。かいつまんでいうと「た、たまらん!」という。

無精髭にとんがった顎、なんだかホホジロザメの歯みたいな顔してるなあと思いました。

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これがホホジロザメの歯ですが、いざ比べてみるとそんな似てないですね。いらんな、このくだり。

出世街道から外れた父親、息子を亡くしたことで沈みこんでいる母をやすやすと懐柔。いじめを受けている弟は、いじめっ子に制裁を加えることで洗脳。

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姉に対しても、風呂上りの割れた腹筋を見せつけることでメロメロに。ちょろいわー、この家族。といったところか。

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家族を巧みに味方につけていくくだりがよかったですね。弟がいじめっ子に反撃し、ケガをさせてしまう場面がある。学校に呼び出された母親と付き添いできたデイヴィッドは、弟の退学を言い渡されてしまう。デイヴィッドは、いじめっ子が口にした「おかま野郎!」という侮辱の言葉を逆手に取る。

「おかま野郎ということは、あなたの学校は憎悪犯罪(ヘイトクライム)という差別を許すんですね?」と問題をすり替え、弟の退学を取り消すことに成功する。こうしてまたデイヴィッドさんは、家族内に信者を作ることに成功したのである。かっこいい!
 
デイヴィッドの雰囲気がとても良くて「ドライヴ」のライアン・ゴズリングだとか、「キラー・スナイパー」のマシュー・マコノヒーのような特別な存在感があります。狂暴な魅力に惹きつけられる。印象的な赤の使い方や、独特な低音はニコラス・ウィンディング・レフン監督を思わせる。

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最後はやや唐突な銃撃戦で終わる印象。ランボーはベトナム戦争の被害者という同情すべき面がありました。デイヴィッドもイラク戦争の被害者という面がありながら、なぜか殺人大好きお兄さんにしか見えないのだった。もう少し厚味が出そうなのに実に惜しい。ダン・スティーヴンスの他の作品も観たくなりました。


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