26
2016

レッド・ファミリー

붉은 가족 / 2013年 / 韓国 / 監督:イ・ジュヒョン / コメディ、ドラマ
2_AL_.jpg
南の不幸は北の幸福か。
【あらすじ】
北朝鮮から侵入した工作員が韓国で暮らします。隣の家族がうらやましい。



【感想】
韓国に潜伏し、理想の家族を演じる北朝鮮の工作員たち。彼らは、喧嘩ばかりしている隣の家族をバカにしているが、偽りない感情をぶつけあうことができる姿に心を動かされていく。

fullsizephoto366327.jpg

かなりコメディ色の強い作品。隣の喧嘩が筒抜けで聞こえてしまうというありえない設定ながら、それでも面白いですねえ。隣の家族と交流を持つうちに、北朝鮮に忠誠を誓っていた彼らの心境にも変化が生じていく。実際のところ、工作員は洗脳されきっていてちょっとやそっとじゃ国への忠誠は揺るがないと思うのですが、どうなんだろう。

fullsizephoto366331.jpg

面白いのは、一般的に悪とされている北朝鮮の工作員がこの映画だとずいぶんまともに見えるということ。逆に韓国の家族のほうが、借金をしてまで贅沢をしたり、食べ物や洋服を簡単に捨てたり、異常に見える。なにかといえば夫婦喧嘩である。それは「資本主義の限界」というよりもこの家族がおかしいのかもしれんけど。とにかく奥さんが滅茶苦茶な人だよ‥‥。

photo365591.jpg

隣の家族は、ダンナの給料が少ないとか、奥さんがご飯を手抜きするとか、それこそどうでもいいことで喧嘩をしている。それは平和な国に暮らすことができる人間からすると、そこそこ大事な問題にもなるのだ。

でも、北朝鮮の工作員からすると、そのレベルで喧嘩をしていることが信じられない。食事などは食べられれば贅沢で、残すなんて考えられない。任務を失敗すると国に残してきた家族がどうなるかわからない。正体がばれれば殺されるかもしれない緊張感の中で生活している。隣家とのあまりのギャップに戸惑うものの、くだらないことで右往左往できる隣家ののん気さに惹かれているようにも見えるのだ。

fullsizephoto366332.jpg

一家の祖父役を務めたチョ・ミョンシク(ソン・ビョンホ、右)の望みは「家族で動物園に行くこと」だった。あまりにささやかで切ない気持ちになる。金持ちになるとか、出世するとか、愛人を囲うとか、そんなことじゃないんですよねえ。もう資本主義にかぶれた豚どもは反省してください。それはそれとて愛人は欲しい。しかし、このおじいちゃん、本当にいい顔だなあ。

北朝鮮の工作員が脱北者の一家を殺す場面がある。大人はともかくとして赤ん坊まで殺さなければならない。国家に忠誠を誓っていたとしても、こんなことをさせる国に本当に疑問を抱かないのだろうか。どんな理屈があろうが国民はついていけないように思えるのだけど。

この映画は、あまりハッピーエンドとはいえない終わり方をする。だけど、北朝鮮の工作員たちがある人間を見逃すんですね。そこにかすかな人間らしさ、ほんのわずかな救いが描かれている。南北問題という重いテーマを扱いつつ、笑いながら観られるということも良かったですね。韓国映画によくある残酷描写が少ないので観やすいかも。胸打たれる場面もありました。クライマックスで工作員たちが仲の悪い家族を演じる場面など、あまりの見事さに感心してしまいました。お薦めです。

この映画の製作、脚本、編集に携わったキム・ギドクが監督した「プンサンケ」が、映画の中でちらっと出てきますね。あちらも救いのない展開でしたねえ。

関連記事
スポンサーサイト

0 Comments

Leave a comment