07
2017

グリーン・インフェルノ

THE GREEN INFERNO / 2013年 / アメリカ、チリ、カナダ / 監督:イーライ・ロス / ホラー / 100分
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食材は鮮度が命!
【あらすじ】
環境保護のため企業から原住民を守ろうとしたら、食われた。



【感想】
食人映画として名高い「グリーン・インフェルノ」。無差別にただ人を殺していく話かと思ったら、きちんとした映画でした。ホラーに偏見があるな、わたしは。まあ、でもちゃんとムシャムシャされてますよ。ちゃんと?

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ごく普通の大学生ジャスティン(ロレンツァ・イッツォ)。環境保護や女性の人権などに特に興味はなかったものの、女性が割礼を強要される部族の存在を授業で知ったことから問題意識を持ちはじめる。ちょっと森泉さんに似ているような。

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過激な活動を行う大学生グループ(ACT)は、カリスマ性のあるリーダー・アレハンドロ(アリエル・レビ、中)を中心に活動している。アレハンドロたちは、ペルーの先住民ヤハ族が住むジャングルを守る計画を練っていた。現地からスマートフォンを使って企業が環境破壊をする様子を世界中に配信することを試みる。

この映画のいいところはジャスティンの立ち位置で、過激な抗議活動をするグループに当初は批判的な目を向けていたんですよね。だからこそこちらも感情移入がしやすい。カリスマ性のあるリーダー・アレハンドロに惹きつけられていく様子も興味深い。ちょっと好きなのかなあ、淡い恋心もうまく利用されて集団に取り込まれる。カルト教団のやり口を思わせるような‥‥。

学生たちの描き方が丁寧で、ムシャムシャされるところまでかなり時間を使ってますね。早くムシャムシャが見たいぞ。

アレハンドロたちはペルーに飛び、企業の環境破壊を妨害することに成功する。帰りの機内では、ネットで自分たちの活躍が話題になっていることに喜び、歓声を上げる。ここまではずいぶん調子に乗っていたのですが、セスナ機は突如プロペラから火を吹いてジャングルに不時着。ジャングルでは、彼らが守ろうとしたヤハ族が待ち受けていたのだった。彼らは友好的な部族でもなんでもなく‟食人”の風習を持っていた。

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ジャスティン、いいお顔だなあ。ヤハ族の人もみんないいお顔でねえ。

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この人はヤハ族の祈祷師なのかな。祭祀をとりしきる指導者のように見える。「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジョニー・デップが、行く方向を間違えてしまったような。食人方向に行っておりますよ。なにせ、この人は大学生の目や舌をいきなりナマでいくからすごい。魚だってナマが一番うまいからなあ。かなりの食通とみた。

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実にキャラが立ってますねえ。他に、処女かどうか鑑定するお仕事もなさいます。尖った爪を直接デリケートな部分に挿すという斬新な鑑定方法。やめて。

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全身黒塗りで「バイヤー!」と雄たけびを上げる暴力担当のバイヤーさん。族長なのかな? とらわれたリーダーのアレハンドロも最後は黒塗りになってますけど、あれは部族の間で認められて族長まで出世したということなのだろうか。

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残酷な描写はもちろん多めですが、想像したよりもきつくはありませんでした。「冷たい熱帯魚」などで耐性がついたのだろうか。バラバラにした足を持って喜ぶ子供がいたり、ユーモラスな部分もありますよ。心温まりますねえ。

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ホラー映画は、バカとチチのでかい女がいれば成立すると思っておりましたが、この映画にはバカは出てこない。バカが貴重なのは罰当たりな行為をするからで、その報復としてひどい殺され方をしても、わたしたちは心から「ざまあ!」と笑うことができる。

ここではバカが出ない代わりにACTという活動家のグループが代役を果たす。きちんと活動している活動家とは別に、ファッションでやってるんじゃないの? という人たちなのだ。ただねえ、ファッションでやってるからってこんな殺され方はないだろうという話ですけども。

面白いのは、もっともしたたかなリーダーのアレハンドロが死なないということでしょうか。この妨害計画自体が森林開発をする企業のライバル企業が裏で糸を引いていたのだ。彼らは計画を妨害し、自分たちが森林開発を受注しようと企んでいる。アレハンドロはライバル企業から金を引き出して、自分の知名度を上げるために、見せかけの妨害活動をしているだけだった。うーん、したたか!

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いろいろあって、結局は森林開発に来た企業に救出されるジャスティン。彼女は救出された後にヤハ族をかばう発言をする。ヤハ族の少年が彼女の脱出に手を貸してくれたという恩もあるだろう。彼女はヤハ族に食人の習慣はなかったと証言する。ここがよくわからなかった。食人の習慣があったとすると、西洋文明はヤハ族を保護しないと思ったからだろうか。実際そうだろうけど。

異なった文化風習に対して、外部の人間というのはどれだけ口を挟んでよいものなのか。食人が駄目で、牛や豚を殺すのは全然問題ないかというとそうは思えない。競馬、闘牛、闘犬、闘鶏などはどうなのか。人が死んでしまう祭りなどがあるがあれはいいのか。ゴルフ場を作るのも相当な環境破壊だけど、などといっていくと問題がない国など存在しなくなるように思える。

食人の風習があるからといってヤハ族をただ野蛮な部族として描いてないのがいいですね。あれはあれで一つの文化という。とらわれた学生がみんなの前で腹を下す場面がある。そこでヤハ族の人たちは「臭い臭い」と笑う仕草をするが、あれこそがどんなに気取っていようが人は同じということを表しているように思える。

そんなゴチャゴチャした話はおいといて、調子に乗った学生がサックリ食べられるところを観て「ざまあ!」と喜ぶ。それが正しい鑑賞の仕方なのかもしれませんね。これを楽しむというのも相当悪趣味なように思えるけど。そうそう、ジャスティンを演じたロレンツァ・イッツォは監督のイーライ・ロスと結婚したそうです。めでたい。

さっぱりとした悪趣味映画でした。


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