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2017

白い沈黙

THE CAPTIVE / 2014年 / カナダ / 監督:アトム・エゴヤン / サスペンス / 112分
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奪われたものは娘だけではなかった。
【あらすじ】
娘が誘拐されて8年たちました。



【感想】
雪深い田舎町。マシューの9歳になる娘キャスは、マシュー(ライアン・レイノルズ、右)が買い物をしているわずかな時間に誘拐されてしまう。犯人からの要求はなく、誘拐の目撃証言もない。警察は誘拐が狂言で、父親であるマシューがキャスに危害を加えたのではないかと疑う。犯人の行方がつかめないまま8年の歳月が流れた。

アトム・エゴヤン監督の「スィート・ヒアアフター」も雪深い田舎町が舞台でしたね。そんでわかりにくいという。どうも理解力が足りないせいか、この監督の映画は難しいんですよね。

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誘拐犯の動機や残虐性などが目玉ではなく、残された者たちが8年の間にどう変化してしまったのかを描きたかったのだと思う。

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夫婦関係は破綻し二人は別居することになった。妻は、夫が悪いわけではないと知りながら、夫を前にすると責めずにはいられない。夫は時間があるときは闇雲に車を走らせ、娘を探し続けている。

誘拐された娘キャスはスケートをやっていた。そのパートナーである男の子もキャスを静かに待ち続けている。彼は新しいパートナーを見つけず一人で滑り続け、キャスと話し合って決めた左右色違いのスケート靴を履き続けている。

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刑事たちも熱心に捜査をするが犯人の尻尾はつかめない。男性刑事は父親のマシューを犯人と疑い、マシューに「イカれた友達に娘を貸せば、いい金になる」といって、ぶっ飛ばされる。殴られても仕方のない無神経な言葉だが、彼が無能でひどい刑事というわけでもないんですよね。彼なりに子供が巻き込まれる犯罪に胸を痛めているのだ。単純にこの人は良い悪いという描き方をしないのが面白い。

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こちらは小児性愛者の犯人なのだけど、職場では部下思いの人間として描かれる。彼の上司のほうがよっぽど嫌な人間で、犯人に対し「おまえは従業員の立場に立ちすぎる」などと口にする。上司の妻は、子供が巻き込まれる犯罪を防止するため、寄付金集めのパーティーを主催している。上司とこの犯人もパーティーに参加しているのだ。こういったチグハグさというのがいいですね。

わたしたちは他人のすべての面を同時に見ることはできない。あくまでも自分から見た相手という一方向からしか見るしかない。そういった描き方が面白い。

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誘拐されたキャスも、いつの間にか自分が誘拐犯の手先となり、あらたなターゲットを探す役目を引き受けているのだ。

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で、肝心のお話ですが過去と未来がゴチャゴチャに行き来してわかりにくさがありました。よく観てればわかるのですが。それと犯人のやりたいことが今一つ伝わってこないというか。


◆犯人が手掛かりを残す理由
誘拐から8年経った今、なぜ犯人は手掛かりを母親の職場に置きだしたのか。これはキャスからの要望で、キャスが新しい感動的な物語を考えるための手段なのかもしれない。キャスは犯人から、感動的な話を作るよう求められてるようなので、インスピレーションを得るためらしい。しかし、犯人の趣味が謎すぎるぞ。感動的な話て。キャスとしては、犯人からの要求に応えるふりをして、自分の居場所を巧みに両親に伝えようとしていたのだろう。

それが映画内でたびたび出る「トリック」と「ギミック」なのではないか。でも、この逸話もなんだかよくわかんないんですよ。4歳児にもわかるように表現してほしかった。こちらもうすぐ4歳児ぐらいの知能なので。


それと児童誘拐のおとり捜査に引っかかってつかまった犯人がいる。その犯人とキャスの誘拐犯は、小児性愛の犯行グループで繋がりがあるわけです。なのに、誘拐犯が刑務所までのこのこと犯人に面会に行ってしまう。これはいけない。切れ者であるはずの誘拐犯がなぜそんなことを。もう、わたしは画面の前で立腹した。うかつすぎる。気をつけて! そこから誘拐犯の身元が割れるかと思いきや、そんなこともないという。警察もしっかりしてほしい。

誘拐犯と一緒にいた女性は、キャスのような誘拐の被害者で彼女も誘拐側に回ってしまったということなのかな。いろいろと疑問の残る作品でした。

雪で覆われた重苦しい雰囲気は魅力的なのですが、なんだか今一つ消化不良。時間をあけてもう一度観れば、新しいことに気づくかもしれません。


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