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2017

Jの悲劇

ENDURING LOVE / 2014年 / イギリス / 監督:ロジャー・ミッシェル / スリラー / 100分
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同じ体験をしていても、あなたとわたしはわかりあえない。
【あらすじ】
ストーカーにつきまとわれたら自分もおかしくなってきた。



【感想】
原題は「ENDURING LOVE」(不朽の愛)。邦題は「Jの悲劇」なかなか思い切ったタイトルをつけましたね。Jというのは主人公ジョー(ダニエル・クレイグ)と犯人役ジェッドの頭文字J、両方にかかっているのかな。

ちょっと変わったスリラーですね。なにをいいたいのかよくわからないのだった。理解力の無さが悲しい。

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大学で教鞭をとるジョー。ジェームズ・ボンドを演じるときのようなスーツに筋肉がつまったムキムキ感はなく、ちょっと病弱そうにさえ見えるのがすごい。恋人クレア(サマンサ・モートン)と郊外へデートに出掛けるが、そこで気球の事故に遭遇する。

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子供が乗っている制御を失った気球が草原に不時着する。その場に居合わせた人々は急いで子供を気球から降ろそうと試みる。だが、突風が吹き、気球は再び空へ飛び立ってしまう。気球にとりついていた大人たちは子供を救うことをあきらめて、自分の身を守るために気球から飛び降りてしまう。だが、一人の男だけは最後まで気球から手を放さなかった。彼は空へ運び去られ、やがて気球にしがみついていられなくなり落下して死亡する。

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サスペンス作品は、金、痴情のもつれ、犯罪の隠蔽などが動機となり物語を動かしていく。だが、この作品を動かしていくのは自責の念なんですね。あのとき全員が気球から手を離さなければ、体の重みで再び気球を下ろすことができたかもしれない。犠牲者も出なかったかも。善人であった主人公は、自責の念から少しずつおかしくなっていく。こういった展開は珍しいかもしれない。

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そして事故のことを話したいとジョー(前)にまとわりつくジェッド(リス・エヴァンス、後)。気球事故に遭遇したことがジョーとの運命の出会いだと思い込む。なにその斬新な解釈。ジョーは自分が最初に気球から手を放したのではないかと悩んでいた。同じ体験をしたはずなのに、まったく違うことを考える人間の恐ろしさを感じた。理解できない恐怖というか。こわー。

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ジョーを勝手に撮ってニヤリ。ストーカーのお手本のようなお顔。いい表情ですね。

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この映画はスリラーでありながら、さまざまな愛の形についても描いているのかもしれない。わたしたちは誰かと交際するという似たような経験をしながら、それでも愛や恋についてはまったく違う考えを持っている。

ジョーは大学の授業で、恋愛は妄想と切って捨てる。リチャード・ドーキンスの遺伝学を信奉しているのかもしれない。わたしたちは遺伝子を運ぶ乗り物にすぎない。すべての生き物の目的は子孫を残すことであるという。性行為に特別な意味はなく繁殖の手段にすぎない。

恋人クレアの兄は、ポーランドからの留学生と不倫している。彼らは言葉もうまく通じず、コミュニケーションもうまくとれないが、それでも関係は成立しているようなのだ。クレアの兄はこの留学生に夢中なんですね。

そしてジョーのストーカーになってしまったジェッド。彼は気球事故をジョーとの運命の出会いと信じ込んでいる。わたしたちは似たような体験をしながらも、まったく違うことを考え、相手の考えることを理解できないでいる。

人は、お互いの見たいものしか見ないということなのだろうか。

また、気球を最後まで離さなかった勇気ある男は、妻からはまったく別の目で見られていた。妻がいうには、彼は不倫をしており、浮気相手の前でいいところを見せたかったので気球にしがみついたのだと推測する。彼は高所恐怖症で、普段はそんなことはできないはずという。

だが、男の不倫は妻の誤解だったことが最後に明かされる。彼は最後まで子供を助けようとしていた善意の人なのか、それとも手を放すタイミングを失って空へ運ばれたのか、本当のことは彼にしかわからない。本当のことは本人にしかわからない。そういう映画なのかな。

気球、内臓、美術展の木など赤い色が印象的に使われていましたね。しかし、難しい映画でした。正直、面白くもなかった。ジェッドはジョーの自責の念から生まれた妄想であり、本当は存在しないのかと思ったらそんなこともないし。

結局、何がいいたいのさー! 教えて。

ダニエル・クレイグが白いブリーフ一丁になります。この映画の一番の見どころはそこです。間違いない。しかし、白ブリーフってどうなんだろ。

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ビル・ナイ(左)がまた渋い役で出てますねえ。最近観た「パイレーツ・ロック」は良かったですね。

 

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