03
2017

ファニーゲーム

FUNNY GAMES / 1997年 / オーストリア / 監督:ミヒャエル・ハネケ / スリラー / 108分
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理不尽な暴力を観察することは、暴力の否定に繋がるか。
【あらすじ】
罪のない家族がなぶり殺しにされます。



【感想】
もっとも後味が悪い映画として有名な「ファニーゲーム」。レンタル店にあったので借りてみました。前評判で理不尽な暴力があると聞いていたので、それほどショックは受けなかったです。もし何も知らずに観ていたら、なんだこれは! となったかもしれない。監督をビンタしたくなったかもしれない。

休暇で避暑地に訪れた家族(手前三人)を、不意に侵入してきた白い服の二人(奥の二人)がなぶり殺しにしていくという悪夢のような話。救いは一切ない。

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犯罪には動機があるものですが、この映画の動機は金銭でも性欲を満たすためでもない。純粋に暴力を振るって屈辱を与えていくこと自体が動機であり目的である。

犯人が被害者の妻にしつこく卵をせびるくだりがあるのですが、これが本当にイライラさせてくるんですよねえ。わたしも部長にこれをやりたい。

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犯人の一人はたまに画面を観ている観客に語りかけてくる。

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この映画を観ている観客は、あまりのむごさに嫌悪感を覚えるはずだけど、「こういう映画を観て頭にきても、結局観てるんだから暴力を楽しんでいるんじゃない? おまえの正義感なんて嘘っぱちじゃない?」と犯人にからかわれている気がする。本当に良識ある人々はこの映画を観るのをやめるかもしれない。

監督のインタビューの翻訳(ラッコの映画生活様)を見ると、暴力の不快さを認識させるために暴力映画を撮ったことになる。すべての戦争映画は反戦映画であるという言葉があるけれど、それと同じことなのか。

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被害者の一人である妻が犯人を撃つ場面がある。ここで「よくやった」と溜飲を下げたのだが、犯人はリモコンを取り出して場面を巻き戻すと妻から銃を取りあげてしまう。「ハッピーエンドになると思った?」とからかわれているような。どこまでも観客を挑発するような作りになっている。

暴力の有害さを訴えるため、暴力を映し続けるということは暴力の抑止に繋がるものだろうか。本当のところはわからないものの、試みは面白いし、映画はとてもよくできていると思いました。ただ、まあ、本当に不愉快でねえ。これ観る必要あるー? ってなりますけど、それも監督の狙いなんだろうなあ。そういうことも含めまして、ちょっと変わった映画を観たい人、話のタネにという人にはいいかもしれません。

それにしても、ふ・ゆ・か・い! この嫌悪感すら監督の掌の上なのだろうけど、それはわかったうえで監督をビンタしたい。あ、暴力を肯定してしまった。


同じ監督がリメイクした「ファニーゲームU.S.A.」という作品もあります。内容はほぼ同じようです。アメリカでは自分の映画はあまり観られないと思ったため、わざわざアメリカ版も撮るという親切なんだか変人なんだかよくわからない監督である。その執拗さにちょっと引く。

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