06
2017

カットバンク

CUT BANK / 2014年 / アメリカ / 監督:マット・シャックマン / サスペンス / 93分
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一面に広がる菜の花と田舎町の息苦しさ。
【あらすじ】
報奨金欲しさに偽装殺人を計画した。


【感想】
ぐにゃぐにゃとした柔らかい飴が飴職人の手によってみるみるうちに形を変えていく。最後にどんな形になるのか想像もつかない。そんなイメージの映画。主人公ドゥエインが立てた犯罪計画は穴だらけ。事態は錯綜し、新たな犯罪を作り出していく。生み出された混沌を楽しめる人、よく映画を観る人向けの作品だと思いました。なにせお話が地味なので。

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モンタナ州カットバンク。アメリカ一の寒さしか誇る点がない田舎町。郵便配達人のジョージーが射殺され、たまたま恋人と動画を撮影していたドゥエインのカメラに犯行の様子が映り込む。ドゥエインは動画を警察に提出し報奨金をもらおうとするが事態は思いもよらぬ方向に。

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主人公ドゥエインを演じたリアム・ヘムズワースは「ハンガー・ゲーム」でカットニス・エヴァディーンの恋人ゲイル役を務めた。なぜかパッとしない役が多いのだけど今回もパッとしません。パッとしない人が好きなのかな。

お兄さんは「マイティ・ソー」「ラッシュ/プライドと友情」などのクリス・ヘムズワース。こちらはパッとしておる。

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事件を捜査するボーゲル保安官(ジョン・マルコヴィッチ)。平和な町だったのに初めての殺人事件で緊張。死体を見つけるたびに吐いてしまうのがかわいい。

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ドゥエインの恋人の父親ビッグ(左)には「スリング・ブレイド」のビリー・ボブ・ソーントン。名優揃いの映画ですねえ。しかし、話はどこまでも地味ですよ。

ドゥエインが立てた報奨金目当ての偽装殺人計画によって本当に殺人が発生してしまう。計画した本人もまったく手に負えない状況になる。計画も適当だし人選もよくない。この人と組んだら絶対に失敗するという人と組むのだった。バカなのかな。バカなのです。

でも、ドゥエインはそんなに悪い人でもないんですね。父親の介護に押しつぶされ、それでも父親を捨てることはできない。この町では給料もたいして上がりそうにない。自分の未来が閉ざされていく絶望感にうちのめされている。誰もが知り合いという窮屈な町を恋人と脱出し、都会へ出たがるごく普通の若者なのだ。

報奨金を渡すために来たジョー(オリヴァー・プラット)に、ドゥエインは都会のことを訊ねる。ジョーはあんまりいいことをいわないんですよね。都会は汚いし、人々はギスギスしていてみたいな。だが、ドゥエインが「都会は嫌いか?」と訊くと「大好きだ」と即答。このひねり方がいいですね。

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オタクは腕力が弱いという定説をくつがえす殺人犯ダービー(マイケル・スタールバーグ)。世捨て人のような生活を送っており、久しぶりに町に出てくるとみんなから「死んだと思った」といわれる。ひどい町だよ。

ダービーが作っていた男女のフィギュアはなんなのだろう。あれは彼の両親で、幸せだった頃の生活を再現したかったのだろうか。だから、フィギュアに持たせるハンドバッグが届かなかったことに激昂し、行方不明の郵便配達車を探しに行って殺人まで犯してしまうのかな。彼の出現により物語は収拾がつかない方向に。

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面白いのは、ボーゲル保安官とドゥエインの恋人の父親ビッグ。彼らは若い頃にセリーナという同じ女性を愛していた。セリーナはボーゲル保安官を愛していたが、セリーナが町を出るときにボーゲル保安官は付いていかなかったんですね。だから彼は独身なのだけど。

ドゥエインの幼稚な犯罪をボーゲル保安官とビッグは見逃す。そして恋人と町を出るように促す。かつて自分たちもドゥエインのような事情があり、町を出られなかったのだろう。だからこそ自分たちの思いを託してドゥエインの背中を押してやっている。厚味のある背景を感じさせる二人のたたずまいが良かった。

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犯罪映画ではあるけど、どこかのんびりしている。田舎の閉塞感はあるが、それでも気のいい人たちもいる。ちょっとしたユーモアがそこかしこにある。菜の花畑の鮮やかな黄色の美しさ。観る人によっては地味すぎて面白くないかもしれないけど好きな映画でした。


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