07
2017

鬼畜

1978年 / 日本 / 監督:野村芳太郎、原作:松本清張 / サスペンス / 110分
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親は子供を捨てられても、子供は親を捨てられない。
【あらすじ】
愛人が子供を置いて逃げてしまい、子供が邪魔になったので殺す。



【感想】
原作は松本清張の同名小説。清張が検事の河合伸太朗から聞いた話が基になっているという。サスペンスですが謎解きに重きはおかれておらず児童虐待が主題です。岩下志麻の子供への虐待ぶりがすごいですねえ。

気の弱い宗吉(緒方拳、左)が愛人菊代(小川真由美)に子供を産ませてしまい、それが本妻のお梅(岩下志麻、右)にばれる。愛人は子供をおいて姿を消し、子供たちは宗吉と鬼のようなお梅の元に残された。

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小川真由美(下)からにじみ出る愛人感がいいですねえ。ザ・愛人という雰囲気。3人の子供を抱えて生活に苦しみ、ついに宗吉の元に押しかけることを決意する菊代。

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菊代と三人の子供たちに押しかけられ、呆然とする宗吉。

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宗吉の「え? おまえ、なんでここにいるの!」みたいなキョトン顔がいいですねえ。当然、この後は修羅場ですよ。派手な戦争が始まるぞお~、とワクワク。

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本妻、愛人に囲まれうなだれる宗吉。地獄である。わはは。宗吉は気はいいが無責任な男で、愛人に3人もの子供を産ませてしまう。本妻のお梅との間には子供ができず、お梅はそのことを引け目に感じている。それが余計に子供への憎悪に向かうのだろう。翌日には愛人菊代は姿を消し、子供たちだけが残された。

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笑っていたのはこの辺までで、子供たちを虐待するお梅のすさまじい迫力に圧倒される。

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赤ん坊の口に無理やりご飯を押し込む場面は本物の赤ん坊を使っている。今、これは撮影できないでしょうねえ。本当に泣いてしまっている。

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東京タワーで捨てられる次女。自分が置き去りにされることをわからず、宗吉のことをじっと見つめる無垢な瞳がつらい。

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父親に崖から投げ落とされ殺されかかるが、それでも父親をかばう長男利一。そこまでされてなぜ、というのはいくらでも選択肢がある大人の考え方なのだろう。こんな目にあっても利一はまだ宗吉が好きなんですよね。自分を殺そうとした親をかばってしまう子供が悲しい。

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宗吉は自分で利一を殺そうとしたにもかかわらず、利一が木の枝に引っかかって一命をとりとめたと聞いて安堵する。そのときの表情がとてもいい。どうしようもなく勝手な男であるのは間違いないが、その弱さがわからないこともないんですよね。

緒方拳さんにしろ岩下志麻さんにしろ、うまく演じれば演じるほど損をする役を引き受けるところに役者の心意気を感じる。

ひたすら子供が虐待されているのを観続けるのでお薦めはしないですがいい映画だと思います。埼玉県川越市の昭和の風景なども観られます。



◆参考
厚生労働省の「児童虐待の現状」という報告を見ると、平成11年から平成24年まで虐待死については高い水準で推移し減少してないことがわかる。このファイルは興味深いデータがいくつかある。まず、虐待者の項目ですが、実母以外の母(映画でいうお梅)は548件であり0.8%しかいないんですね。意地悪な継母というのは物語の世界のことなのかな。実母と実父の数値を合計すると虐待の86.3%になり、大部分を占める。

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ファイルの2ページ目を見ると「児童虐待に関する相談対応件数は、児童虐待防止法施行前の平成11年度に比べ、平成24年度は5.7倍に増加」とある。これはどう解釈すればよいのだろう。相談件数だけが増加し、肝心の虐待死については高水準で推移しており、平成11年からあまり変わってない(平成11年はデータが半期のため2倍して考えるとする)。

これは世間の虐待への関心が高まり、児童相談所への通報が増えはしたものの、有効な手が打てず虐待の現状を変えられていないということではないか。虐待する親と子供を引き離せない現実があるように思えるのだ。



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