08
2017

ドリーム ホーム 99%を操る男たち

99HOMES / 2014年 / アメリカ / 監督:ラミン・バーラニ / ドラマ、社会問題 / 112分
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勝者によって作られた勝者のための国。
【あらすじ】
家を差し押さえられました。差し押さえた男の下で働きます。



【感想】
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主演はアンドリュー・ガーフィルド。今までの印象はIT企業の若きCEOというものでしたが、この映画ではブルーカラーで一人の子供を抱えるシングルファーザーを演じている。いろんな役を演じると、幅が出ていいですよね。

痩せていて華奢なイメージがあったのですが、脱いだら上腕二頭筋も太く意外といい体をしている、ジュルルルル。って、なんか変なことを書いているような。

賃金不払いのためローンが払えず、家の差し押さえを受けたデニス・ナッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)。保安官を従えて執行にきたリック・カーバー(マイケル・シャノン、左)は丁寧な口調ながら、容赦ない厳しさでデニスたちを追い出す。

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アメリカの差し押さえは本当に容赦がないですね。保安官は「二分間だけ待つから重要な物だけ持って退去してください。さもないと不法侵入で逮捕する」とまでいう。あっという間に住むところを失い途方に暮れたデニスたちだったが、ひょんなことから差し押さえに来たカーバーの元で働くことになる。

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カーバーとデニスはよく似てるんですよね。貧しい家に育ち、教育があるわけでもない。カーバーの父親は職人で、屋根から転落したケガがきっかけで仕事を失ってしまう。真面目に働いてきたが政府は何も保障してくれなかった。それがカーバーの政府への憎しみに繋がっている。違法すれすれ、ときには違法なことを行い、荒稼ぎをしていく。

カーバーは冷酷非道で悪辣な男ながら、そのカリスマ性には惹きつけられる。金持ちになった彼はアメリカに復讐しているように見える。金を手に入れるためならば手段を選ばない。なぜならアメリカは敗者に救いの手を差し伸べない。アメリカは勝者によって作られた勝者のための国だからだ。ノアの箱舟に乗れるのは1%の人間だけだ!

カーバーの憑りつかれたような演説に、カーバーを否定しつつも傾倒していくデニス。あの演説場面は良かったですね。「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のディカプリオの演説を思い出しました。わたしはこういうミニ独裁者みたいな人が大好きなのだ。

やがてデニスはカーバーの優秀な右腕となり、みずからも冷酷な差し押さえを実行していく。

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でも、こういった価値観の中で生きていくのは苦しそうでもある。おまえは富裕層を目指すのか、搾取される貧困層でいいのかといわれているようで。多くの人間はタイトルにある「99%」の操られる側にいるわけですから。

デニスは、最後にはカーバーの犯罪行為に抵抗する。デニスの裏切りにあったカーバーは逮捕されることになる。このときのカーバーは「見事にやってくれたな」というだけで、デニスを恨んでいる様子は感じられなかった。そりゃ、頭にはきてるんだろうけど。

カーバーは、どこかで「お金がすべて」という価値観を否定してほしがっているように感じられる。カーバーがデニスに目をかけたのは能力があったのはもちろんだけど、かつての自分と似ており、どこか青臭さを持っているところに惹かれたのではないか。自分が失ったものを信じ続けているというのは、うらやましくもある。

DVDについていたインタビューの中で、カーバー役のマイケル・シャノンは「あなたにとって家とは?」という質問を受ける。

「家そのものは入れ物にすぎない。一緒に過ごす人が重要なんだ」というようなことを答えている。マイケル・シャノン、顔芸が面白いというだけではなかったのか。ちゃんとしてた。カーバーは豪邸に住んでいても常に脅迫電話におびえる。彼が強引に家を取りあげた人からの復讐を警戒し、外で食事するときは安心できず、拳銃は手放せない。奥さんは離婚したがっている。たとえ贅沢な生活を手に入れても家族がバラバラになったとしたら、そこにはなんの意味も感じられない。

これからも格差は拡大していくのだろう。格差社会が進んでいくことの恐ろしさは二極化なのではないか。搾取する者とされる者以外の価値観、お金はほどほどでのんびりそこそこ生きていくみたいなのが許されなくなってしまうような。けっこうね、そこそこ組が多いと思うんですよ。

カーバーが具体的にどう収益を上げているかが今一つわからなかったのですが、アメリカ人なら簡単に理解できるのかもしれません。でも、地味ながら面白い映画でした。


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