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2017

イン・ザ・ヒーロー

2014年 / 日本 / 監督:武正晴 / ドラマ / 124分
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裏方の苦労。
【あらすじ】
ヒーローの中の人。



【感想】
ヒーローの中に入っているスーツアクターという職業を取りあげた作品。普段表に出ない職業の裏側を知ることができるのは嬉しいですね。寺島進さん(左から2番目)のピンクが見られただけでもありがたい。真顔でブラ付けているのが微笑ましい。楽しく観られたのですが、乗り切れない点もちょこちょこ。いや、けっこうあったかも。

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スーツアクターで25年のキャリアを持つ本城渉(唐沢寿明、右から2番目)。あるヒーロー番組の劇場版作品に久しぶりに顔が出る役で出演することになり喜んでいたが、一ノ瀬リョウ(福士蒼汰、下)という若手人気俳優にその役を奪われてしまう。

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一ノ瀬リョウはヒーロー番組を子供向けと馬鹿にしているが、本城をはじめ他のスタッフの姿勢をみるうちに考えを変えていく。

ちょっと気になったのはスーツアクターという職業の立場で、この映画では俳優の下に位置付けられているのですが本当にそうなのだろうか。なりたくても俳優になれない人たちのように描かれている。子供の頃、ヒーローに憧れて中に入って演じたいと思った人たちもいるんじゃないかなあ。

それと、日本ではアクション俳優が育たないということもいわれており、これも気になる。たしかにハリウッドや韓国映画に比べて邦画のアクション映画はかなり減ったように思える。もう西部警察みたいなのもまったくやらないし。あれはリアリティの問題なのでしょうか。

日本はアメリカのように銃社会ではなく、テロリストの脅威もアメリカほどはない。韓国映画は北朝鮮の諜報部やヤクザを扱ったものが多い。日本にはアメリカや韓国ほど差し迫った危険が少なく、アクション映画が成立する舞台が少ないからなのかな。そのせいでアクションスターの活躍の場が少なく、育ちにくいという。安全なのはありがたいが映画にとっては残念でもある。

で、福士蒼汰演じる若手人気俳優の一ノ瀬リョウである。最初こそ反抗的だったものの、すぐにいい人になってしまった。もっとも、彼の気の強さというのは母親が家を出てしまい、二人の幼い兄弟を自分一人で育てなければならないという責任感の裏返しでもあった。ここ、ちょっと同情できそうな空気なのだけど、二人の兄弟がですね、一ノ瀬が売れっ子ということもあってかなりいいマンションに住んでいる。本城など、いまだに木造アパートで自転車通勤だというのに。

一ノ瀬がロケ弁を持ち帰った際に、兄弟は「え~、叙々苑の焼き肉弁当が食べたい~」などというのだ。ここで同情する要素がゼロになった。両親がいなくてかわいそうという設定のはずなのに、どうもブレる。おまえたちがどうなろうと、おじさんは知りません。あ、ロケ弁、食べないんだったらこっちにくれる?

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あと疑問だったのが、ハリウッドスターが撮影の危険さからオファーを断り、代わりに本城が受けるところ。同僚は「スタントマンは使い捨てじゃない」と怒る。そうなんですよね。これを「根性で乗り切る」というのは正しいのだろうか。

プロならば100%の安全を目指してやるのが正しいように思える。だから寺島さんの結婚式でケガをした回数を輝かしい経歴とするような場面が出たときも、ちょっと違和感はあった。どんなに用心しても怪我は出てしまうだろうけど、やはり表に出さないほうがいいように思うのだ。

誰かが無茶苦茶なスタントを命がけでやると「おまえはできないのか」ということになり、他のスタントマンにも無茶をさせてしまうことに繋がりそうで怖い。本城がどうしてもハリウッド映画に出たいのなら仕方ないが、本人は一ノ瀬に向かって「日本映画じゃ駄目なのか」といっているし、よくわからない。

それと、CGもワイヤーも使わないアクションを撮りたいから本城を起用したという流れなのですが、その場面は明らかにCGもワイヤーも使っている。これ、ギャグなのかなあ。あんだけいっといて、オイ、使ってるだろう! という。壮大な前フリだったのか。

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本城には別居する妻(和久井映見)がいる。本城の撮影を見守っていた妻は、本城が炎に包まれ池に落ちると、自分の体が濡れるのもかまわず池の中に飛び込んでいく。ここはスローモーションで叙情的な音楽がかかる。よくある泣かせ場面に対する皮肉としてこれを入れたのかなあ。けっこう皮肉っぽい描写が多いせいか、どこまでが真面目でどこまでが本気かわかりにくい。

エンドロールの最後に監督が「ハリウッドにはわがままな俳優やプロデューサーが多すぎる。~中略~ 映画は監督のモノだ」といって終わる。俳優やプロデューサーを皮肉っているようで、この監督の存在自体も同じですよと皮肉っている。監督だけで映画は撮れず裏方の苦労もあってこそといいたいのだろうけど、ちょっと皮肉が多すぎるようにも思えるのだ。

きれいごとをいえば裏も表もなければ映画はできないだろうし。本当に裏方を使いたいのであれば、唐沢寿明さんのような売れっ子を使うのではなく、それこそスーツアクターから主演を選べばよかったように思う。そんなことをすれば誰も見に来ないし、そもそも予算がつかないだろうけど。だからこそ表も裏も大切なのではないか。

なんだかどうも乗り切れないところがありました。松方弘樹さんと唐沢さんの斬り合いの場面は嬉しかったですね。



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