18
2017

エール!

LA FAMILLE BÉLIER / 2014年 / フランス / 監督:エリック・ラルティゴ/ ドラマ、コメディ / 106分
33_AL_.jpg
娘はどれぐらい家族のために尽くせばいいのか。
【あらすじ】
酪農一家で働く娘。歌の試験を受けるためにパリに行きたい。



【感想】
ジャケットが家族の絆を感じさせる雰囲気。ところが、けっこう性的な冗談が多いので油断して家族で観たら変な空気になりそう。いろんなところに罠があるものよ。そういうのやめて。ジャケットに性器のマークとか書いといてほしい。

x_201704181901193e1.jpg

フランスの片田舎にあるベリエ家は一家で酪農を営んでいる。高校生の長女ポーラ(ルアンヌ・エメラ)以外、家族は全員聴覚障害者。

aqx.jpg

商売にも彼女の通訳は欠かせない。もう立派な戦力なんですね。みな、聴覚障害に対して前向きで、家族は耳が聞こえないことも「個性」といいきっている。

この家の両親のオープンさが、うーん、なんだろ。ちょっと苦手というか。ポーラは両親に付き添って医者に行って、医者と両親の間で性病の通訳をするんですね。親の質問で「セックスはどれぐらい我慢したらいい?」というのを訳させられたり。これを微笑ましいジョークととるか、ほんと勘弁してほしいととるかは観る人によるのだと思うけど。親がそんな話をしだしたら、出家したい。

友人が来ているときに両親がセックスを始めてしまうのも、なかなかの罰である。ポーラ以外は聴覚障害者なので音が聞こえないんですね。だから、派手に音を出していてもまったく気にならないのだ。障害者も性欲はあって当然で、恥ずかしいことでもなんでもないが、そういうことではない。お昼で友達も来ているわけで、これは一般的な常識の問題として、いっぺん死んでほしい。


気になる男の子がコーラス部に入部したのを見て、ポーラはコーラス部へ入部。

zvx.jpg

不純な動機だったものの、先生からも歌唱力を評価される。ポーラが歌い出すと明らかに実力が違うので、おっ! と思わされます。親には内緒でコーラスの練習をすることに。

ccxx.jpg

一癖ありそうな先生が良かったですね。地方に追いやられて屈折した先生。面倒臭そうな人だと思ったら、冷たそうに見えて実はかなり親切なのだ。

zxxx.jpg

両親、特に母親のポーラに対する束縛の強さにはちょっと気味の悪さを感じた。彼女はポーラに、家族のそばにいて家業を手伝ってほしいと願っている。ポーラにしてみれば、今でも家業を手伝い、彼女の時間の多くをとられている。先生からは実力を認められ、パリで歌の試験を受けるよう勧められて迷う。簡単にいえば家族か夢かという。

家族がポーラの発表会を観る場面がある。ここの演出はすばらしかったですね。ポーラが男の子と歌ったデュオは観客から喝采を浴びる。だけど、家族にはポーラの歌声は届かず、風がうなる轟々という音しか聞こえない。娘の実力がどの程度かもまったくわからない。大勢の観客の中にいるが、かえって家族は孤独に見えた。残酷な場面だった。周りの人たちが喜んでいる反応を見て、家族はポーラが見事に歌いきったことを知り拍手を送る。

1x.jpg

両親は、娘が好きなことを理解してやれないやるせなさがある。努力ではどうにもならないわけで、つらいですよね。

bxx.jpg

母親は娘がパリで試験を受けることに反対する。彼女からすると娘に捨てられるような気持ちなのだろう。娘を批難してしまう。「子育てを間違えた」「おまえが生まれたとき、耳が聞こえると知って泣いた」という。これは、耳が聞こえるから喜んだと思ったら違うんですね。耳が聞こえる子を、耳が聞こえない自分たちがどうやって育てたらいいか悲しんだという意味だった。

娘にとってあまりに残酷な言葉だと思うが、親からしてみればそんな気持ちになることもあるのだろうか。

axx.jpg

父親は娘の喉に手を当て、娘に歌わせる。娘の喉の震えで何を感じ取れるのかはわからない。だが、彼は娘の夢を応援することに決め、試験へと送り出す。試験では娘が手話を交えて歌い、それを観客席から観ていた家族は感動して拍手を送る。めでたしめでたしという。

たしかに映画としてはきれいにまとまっていたように思うのだけど、でも、彼らがポーラの歌を理解できたかといえば違うように思う。歌詞を翻訳した手話の意味を理解しただけで、ポーラの歌を理解したことにはならない。ポーラの歌声を聞かなければ、ポーラのやりたいことを本当には理解できないのではないか。そこはちょっとはっきりさせておきたい。

だが、わからなくてもいいんじゃないか。わからなくても、誰かを応援することはできるように思う。音のない世界にいて、歌う娘を応援できたら、それこそ本当の愛情に思えるのだ。

ポーラの歌声はすばらしく、もっといろんな歌が聞きたかったです。いろいろモヤモヤするところがありましたが、なんでしょうか、両親の性欲が強すぎる。弟も強いしな!


関連記事
スポンサーサイト

0 Comments

Leave a comment