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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
23
2017

籠の中の乙女

DOGTOOTH / 2009年 / ギリシャ / 2009年 / 監督: ヨルゴス・ランティモス / サスペンス、ブラックコメディ/ 94分
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健全な家庭は狂気に満ちていた。
【あらすじ】
子供たちを世間から守るため、外の世界と接触させない。



【感想】
珍しいギリシャ映画です。原題「DOGTOOTH」は犬歯の意味。ポスターも犬歯を示しているように見えます。すっきりした面白いデザインですね。しかし、センスはいいけどギリシャではこれで客を呼べるのかなあ。そういうことをまったく気にしてない作りで、たいへんよろしいと思います。

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厳格な父親は三人の子供を外部の影響から守るため、巨大な自宅内に幽閉して子育てを行っていた。父親だけが会社勤めをして外部と行き来がある。子供たちは学校にも行かせない。家にはテレビ、ラジオ、新聞、雑誌などもなく、情報は完全に遮断されていた。成長した息子の性欲を発散させるため、父親は会社の警備員クリスティーナを娼婦として雇う。今まで外の世界を知ることのなかった子供たちは、クリスティーナと接触することで外部に興味を持ち出す。

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塀の外は凶悪な世界と教え込まれている息子。なにせ外には猫という猛獣もいるのだ。

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父親は猫に襲われこんなことに! もちろん父親が自分で血糊を付けただけ。だからお外に出ちゃいけません!

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過去、猫に襲われて亡くなったという兄を弔っている。猫こわいよう。

子供をペットのように扱い、制限された情報の中で育てたとしたらというブラックコメディ。親は子供に汚れてほしくないかもしれないが、子供にとって無菌室のような環境で育つことは危険でしかない。一生、無菌室に居られればまだしも、親が死んだとき、彼らはどうなってしまうのだろう。カルト教団や独裁国家も、これと似たような構造ではないだろうか。

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こちらは、目隠しして母親の元に行くゲーム中の娘。退屈なので独自の遊びをいろいろ開発しますね。マニアックなプレイに見えないこともない。

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娘はクリスティーナにもらった映画の影響から、家を飛び出すことを思いつく。子供たちは父親から「犬歯が生え変わるまで外に出られない」と教えられてきた。犬歯は永久歯なので、若いうちに抜けることはほとんどない。ようするに父親は子供たちを外に出す気はない。彼女は、鉄アレイを口にぶつけて犬歯を強引に折ってしまう。そして父親の車のトランクにこっそり乗り込んだのだ。彼女が外の世界を目にしたとき、どう感じるのだろうか。

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子供たちはあまりに純粋で愚かなのだけど、それは外部の人間であるわたしたちが常識を知っているからそう見える。完全に情報が遮断された環境で育てられれば、何が常識かを知ることもできず、比較すべき基準を持たずに成長することになる。すべての情報は制限なく解放されていなければならない。

ギリシャ映画は初めてだと思いますが、かなり印象に残る作品でした。それと猥褻な場面が多々あります。けしからんなあ!

ちょっと変わった映画を観たい人にはお薦めです。姉妹のダンスや、奇妙な遊びの数々、笑いの場面もけっこう入っています。同時に麻酔薬をかいで失神して、どっちが先に目覚めるかの競争が面白かった。遊びが前衛的すぎるぞ。ガラパゴス的進化を遂げている。


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