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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
27
2017

ギリシャに消えた嘘

THE TWO FACES OF JANUARY / 2014年 / イギリス、フランス、アメリカ / 監督:ホセイン・アミニ、原作:パトリシア・ハイスミス / サスペンス / 96分
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惹かれるのは似ているから? 憎いから?
【あらすじ】
セレブ夫婦を助けたい。



【感想】
原作はパトリシア・ハイスミスの「殺意の迷宮」。「太陽がいっぱい」や「リプリー」で有名なミステリー作家ですね。Yahoo!のレビューを見たところ、地味で退屈と評判があまりよくないのです。悲しいなあ。たしかに地味な話で、アクションや爆発などの派手さはない。だが、登場人物の繊細な心の動きには共感するところもあった。

1962年、ギリシャ。大学をほっぽり出し、アテネでツアーガイドをしているライダル(オスカー・アイザック)。旅行に来た大学生をナンパしたりして、楽しそう。こういう暮らし方もありなのかー。わたしにはない人生である。

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アイザックは旅行に来ていた裕福そうな夫婦のガイドを申し出る。

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地味な映画といえばヴィゴ・モーテンセン(左)でしょうか。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズを除けば、あえて地味なのを選んで出ているような。そういう人、好き。奥さんのコレット(右)はキルステン・ダンストが演じている。歳の差夫婦ですね。

当初、ライダルはコレットの美しさに惹かれてガイドを申し出たように見えた。ライダルは夫のチェスター(左)と会話するうちに彼が父親と似ていることに気づく。ここが物語の重要なポイントになっている。ライダルは父と仲違いし、仲直りしないうちに父は亡くなってしまう。父の葬式に出なかったことも彼の心の傷になっている。

チェスターは自信に満ちた成功者に見えたが実は詐欺師だった。それなのにライダルはチェスターの正体を知った後でも彼らを助けてしまう。コレットに惹かれたのはもちろんだが、チェスターが父親に似ていたというのも助けた理由の一つではないか。

チェスターにしてみても、料金を吹っ掛けてきたりするライダルの抜け目なさを、過去の自分を見るように見ている。生意気だとも思うが、かわいいんですよね。

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お互いに警戒して騙し合い、コレットのことで嫉妬して罵り合いもするが、心の底ではどこかで惹かれ合っている。憎みつつも離れがたい不思議な関係。彼らは似ているように見える。

サスペンスなのだけど、実にのんびりと物語が進んでいく。ギリシャの荒涼とした風景も美しい。セピア色の場面が多く、日射しの強い乾いた印象を受ける。監督はこの色が好きなのかな。

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チェスターは息を引き取る前、ライダルは事件に無関係だと言い残して死んでいく。彼らはお互いに憎み合っていたものの、最後に和解できた。ライダルはチェスターを通して父を許し、また父の葬儀に出なかった自分も許せたように思う。チェスターは嘘だらけの人生で最後に少しだけマシなことをして死んでいけた。

チェスターがライダルにとって特別な人に似ているからといって、犯罪の片棒を担いでまで助けるのはおかしい。それでもライダルの気持ちがわかるような気がするんですね。これ、わたしも父親との間に溝があったからだろうか。大人になってからは父の気持ちも少し理解できた。やはり、対立したまま生きていくのは苦しくて、どこかで理解して許したい気持ちというのはあるのだ。

とはいえ、普通の映画として観た場合、たしかにちょっと退屈という人は多いかもしれません。うーむ、親子関係がねじれちゃった人などにお薦めでしょうか。いや、でもそれほど親子という描き方もしてないんですよねえ。じゃあ、もう薦めなくていいか。


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