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2017

ディーパンの闘い

DHEEPAN / 2015年 / フランス / 監督:ジャック・オーディアール / 移民、ドラマ / 115分
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違う国に行けば道は開けると思っていた。
【あらすじ】
スリランカからフランスに逃げてきた。



【感想】
スリランカの内戦を逃れ、フランスに渡ってきた偽装家族の物語。社会問題を描いた映画は戦争や差別というテーマが多かったですが、これからは移民について取り上げることが増えるのでしょうねえ。

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主演のアントニーターサン・ジェスターサンは、スリランカの内戦を16~19才まで少年兵として戦い、今は作家として活動している(映画.com)。すさまじい経歴の持ち主。見た目はむさくるしいおっちゃんなのですが、経歴を聞くとよりすごみが増しますね。演技経験はないそうですが、そのままで十分いけるという。

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ディーパン(アントニーターサン・ジェスターサン、右)はスリランカ内戦で、タミル・イーラム解放の虎の兵士として戦うが妻子を失い絶望していた。ヤリニ(左)とイラヤル(中)もそれぞれ家族を失っている。まったく面識のなかった三人だが、他人のパスポートを使って偽装家族となり、スリランカからフランスに逃れる。

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言葉の問題もあるし、満足な職には就けない。違法に土産物を売って警察に追われもする。このふざけたかっこうと、おかれた境遇の差があまりにも大きい。しかし、頭にウサギの耳を付けてると顔が怖いだけに余計おかしいという。土産物を売らないために生まれてきたような顔をしている。

難民として逃れてきたら、受け入れ先の政府が職の斡旋、訓練、言語学習などをさせてくれるかと思いきや、そう簡単ではないようです。もちろんそういったサポートもやっているのだろうけど。現地の人からは煙たがられ、周囲と馴染めずに孤立感を深めていくこともあるだろう。

移民がどう現地に溶け込み、職を得て生活をしていくか、この映画を観ると受け入れ環境の整備が重要なことがわかる。

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妻(偽装ですが)のヤリニは、老人介護の仕事を引き受ける。老人の息子は麻薬取引をしているギャング(右)なんですね。この人が、冗談をいったりちょっと親しみやすくさえ見える。ギャングでありながらただの悪人として描いてないのも良い。一応は父親を大切にしているようでもあるし、またヤリニにも差別的な扱いをせずに接している。ただ、銃撃戦が起こったりですね、やはり職場としてまともではないという。

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いろいろありましてディーパンはギャングたちと戦うことに。ここから急にアクション映画のようになってしまうのだけど、それはそれで面白い。元兵士ということもあり、ためらいなく敵を排除していくディーパンが頼もしい。サクサク行きますね。

ラストはどう解釈すれば良いのだろう。イギリスに移り住み、ホームパーティーを開いて幸せに暮らしている様子が映し出される。だが、これはディーパンの願望で現実は‥‥、というオチなのかもしれない。そもそも、フランスがこうなのだから、イギリスだってどうだかわからない。それではあまりに希望がなさすぎるから、ディーパンの望みが叶ったようなラストにしたのかなあ。三人が本当の家族のようになっていくのも良かったですね。

故郷を失い、すべてをなくした人たちが新しい土地でも苦しみを強いられる。それでも移民に対して厳しい目を向ける人は多い。受け入れるか受け入れないかではなく、どうやったら馴染めるか、職を得られるか、そのためにはどんな整備が必要かということなんでしょうねえ。内容は暗く、あまり楽しい映画とはいえないですがいい映画でした。


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