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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
20
2017

CAGED ‐監禁‐

CAPTIFS / 2010年 / フランス / 監督:ヤン・ゴズラン / サスペンス、ホラー / 84分
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現実との地続きを感じさせる怖さ。
【あらすじ】
覆面の男たちに拉致されました。



【感想】
「CAPTIFS」はフランス語で「捕らわれた者」という意味。

ホラー映画にもいろんな怖さがある。残虐な描写だったり、効果音が派手だったり、人間性の怖さを感じさせたり。だけど恐怖の演出が派手であればあるほど、同時に現実と隔絶したものであることも感じさせる。実際にはこんなことは起こらない、こんな狂った人などいないという。映画が終われば安心感が得られる。

この映画は、ホラーとしてみるとそんなに怖い映画じゃないんですよね。グロい場面もあるが淡々としているし。でも、こういったことが現実に起こるのではという、現実との地続き感が強い。それが怖さと後味の悪さになっている。

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医療従事者であるキャロル(ゾエ・フェリックス、左)、マシアス、サミールの3人は旧ユーゴスラビアの病院で働いていたが任期を終えた。医療従事者と書いたのは、マシアス(エリック・サヴァン、右)は医者なのですが他の二人はよくわからないため。看護師なのかな。

また、舞台となった旧ユーゴというのもよくわからないんですよね。なぜ現在の国名にしないのだろう。セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、マケドニア、スロベニア、モンテネグロ、そしてコソボの7か国が旧ユーゴスラビアになる。コソボについては国として認めていない国もある。この映画の舞台となるのもありがたくないので旧ユーゴとぼかしたのかなあ。

キャロルたち3人は任期を終えて、どこかへ移動している。目的地は語られていない。移動中、軍の車に停められる。地雷の除去中なので安全が確保できるまで通せないといわれ、3人は迂回して別ルートを進むことに。地雷除去という理由も穏やかではないが、向こうではよくあるのかも。

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で、迷いました。サミールさん、車を降りて怒り出す。
「だってマシアスがさあ、道わかるっていうから!」

道に迷ったときは性格が出ますよねえ。でも、サミールさんにいいたいのは、運転は人まかせで、おまえ、寝てただろという。

しかし、日本とはレベルが違う広さ。人がいないのは仕方ないとして、看板も舗装もないという。こういうところで車が故障したらどうすんだろ。ようやく民家を発見し、道を訊くことができた。ただ、何か怪しい集落なんですよね。目に包帯した子供がいたりして、どこか違和感を感じたキャロル。

集落を出ると、さきほどの集落に停まっていた一台のバンが後を付いてくる。彼らはキャロルたちの車を追い抜くと、車を停めた。中からは覆面をかぶって武装した男が現れ、キャロルたちは拉致されてしまう。

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牢屋のようなところに閉じ込められます。キャロルとサミールはセットで、マシアスは別。

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他にも囚人はいるようで、電話が鳴るたびに囚人たちはどこかへ連れていかれ、内臓をくりぬかれた姿で彼らの前を通り過ぎる。ここは臓器売買の解体現場で、さらわれた者たちは臓器を抜かれ、死体は番犬が食べます。うーん、無駄のないリサイクル。

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何が怖いって、悪い人が淡々としているんですよね。怪我の手当てもしてくれるし。それは商品に死なれると困るからだけど。この医者?などは、敵対的な様子もなく事務的に解体していく。仕事だからやっているという感じ。

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この味のある電話に連絡がくると、性別や年齢が適合する囚人が選ばれて臓器を抜かれる。注文を受けてからさばかれる。ウナギ屋と同じで鮮度が命。恐怖の受注生産方式。

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この映画はあまりグロテスクではないがどこか不気味で怖い。どうもこの地域は臓器売買のコミュニティが成立しているように思える。キャロルたちが道を訊いた集落も怪しい。キャロルたちを監視している男たち、摘出手術を行っている医者はどこからか指示を受けているし、外部と繋がっている様子がある。頭のおかしい個人がやっているのではなく、組織が行っている商売というのを感じる。

検索してみると、旧ユーゴでの臓器売買の記事(医療NEWS)なども出てくる。生活費のために腎臓や肺を売る人がいるのだ。これは映画だから、当然大幅な脚色がなされているはず。でも、「これは完全なフィクションでこんなことは絶対に起こらない」といいきれない。それは、わたしが旧ユーゴについて何も知らないせいでもあるのだけど。そこが怖さに繋がっている。

ホラー映画につきものの罰当たりなバカ、いちゃつくカップルなど、定型となっている犠牲者が出てこないというのもある。定型から外れ、きちんと作ってあるのも不安感を煽る要素になっているのかもしれない。

映画自体は、そんなに怖くはない作品だと思います。


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