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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
24
2017

血と骨

2004年 / 日本 / 監督:崔洋一、原作:梁石日 / ドラマ / 144分
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だいたい殴ればうまくいく。
【あらすじ】
周りの人間を力ずくで支配しようとした男の人生。



【感想】
ワクワクしたり、主人公の生き方に感動したり、そういった映画はもちろん大好きだけど、最近惹かれるのは「とんでもない人」である。もう本当に無茶苦茶な生き方をしているなという。その強烈なエネルギーにあてられたようになってしまう。主人公の金俊平には尊敬できるところはまったくない。ただ、あまりにも眩しすぎて直視はできないが、かといって目を逸らすこともできない不思議な魅力がある。

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1923年、済州島から日本へ渡ってきた金俊平(ビートたけし)。無理やり強姦した妻と結婚し、愛人は家の正面に住まわせる。かまぼこ屋を経営し、文句をいう従業員には顔に炭を押し付けていうことを聞かせる。気に入らないことがあれば酒を飲んで暴力を振るう。とんでもない人間なのだが、ただひどい男というわけでもなさそうなのだ。

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癌になった愛人を見捨てずに看病してやる優しい一面も見せる。金盥に入れて体を洗ってやる。そうかと思えば、愛人の看病をさせるためにさらに愛人を雇うという。優しいのかなんなのか、よくわからない。

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借金の取り立ては鬼気迫るものがある。自分の腕を茶碗で切って血を注ぎ、債務者に飲ませようとする。
「さあ、これ飲めぇ! わしの金を食うものは、わしの血を吸うのと同じじゃあ!」
あまりの剣幕に凍りつく債務者。そりゃそうなるよね‥‥。

うーん、前衛的な取り立て。怖いよー。もう、ほんと頭おかしいよー。この人からだけは借りてはいけない。アコムかアイフルにしとこ。血を飲まそうとはしないので。

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朝鮮人集落の様子も興味深い。豚の解体は、これは本当に解体したのかな。心臓を刺すと鮮血が滝のように流れる。お腹を切り裂いて灰色の内臓を取りだす。俊平は、豚の生肉を発酵させたものが好物。蛆虫がわいた生肉をむさぼる姿はまさに怪物。もう、絶対に勝てる気がしない。

俊平はただの暴れ者かといえば、よくわからないところがある。自分の娘を階段から突き落として歯を折ったかと思えば、娘が嫁ぎ先の夫にいびられて自殺したときには、葬式に乗り込んでこの夫をたこ殴りにする。

なんだかんだいって娘のことを愛していたのだ、というのは違う気がする。俊平には愛とか思いやりとか、そんな甘ったるい言葉はないように思える。タイトルにあるように、まさしく血と骨なのではないか。自分の血と骨を分けた存在を殺されたため、その仕返しをしただけという。娘を半殺しにするのも、自分ならば良くて他人がやることは許さない。所有物ということかな。

今まで何度となく対立してきた息子に、自分の商売を継がせようとするのも不可解だった。息子は父親を憎んでいるので当然断るのだ。金と女を得るためなら手段を選ばず、すべてを暴力で支配してきた男が、最後には肉親の情を求めたのだろうか。

息子には拒絶され、愛人には金を持ち逃げされ、金俊平は失意のまま北朝鮮へと帰る。その際には、貯金七千万、時計、車などを国に寄付するのだ。あれほど金だけを頼みに生きてきた男がどうしてなのだろう。普通の人間であれば、せめてもの罪滅ぼしということも考えられるが、金俊平には似合わない。すべてがどうでも良くなってしまったのか。どうしても理解できない人間というのがいるが、まさに金俊平がそうですね。暴力を言語とするような人間を演じると、ビートたけしは本当にうまいなあ。

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一カ所、気になったのが妻(鈴木京香)を犯すところ。妻が脱がないんですね。これは、わたしが鈴木京香の裸が観たいとか、そういった下劣な感情でいっているのではない。鈴木京香の裸が観たいとか、そういった下劣な感情でいっているのではない。鈴木京香の裸が観たいとか、そういった下劣な感情で。何回いう気だ。

愛人二人は景気よく脱いでいるというのもあるけど、金俊平の獣性を際立たせるためには脱いだ方が自然だったように思える。脱がないのは事務所の意向なのかな。滅茶苦茶な男なのに、ちょっと気をつかって襲っているような変な感じになってしまう。

万人にはとても薦められない、怪物を観たい人向けの映画。当時の大阪朝鮮人社会の様子が描かれているのもいい。この時代を美化する気も、金俊平を賛美する気も毛頭ないが、とにかく過剰でエネルギーに溢れていたのだと思う。現代にはいない人だろう。


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