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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
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2017

ブルースチール

BLUE STEEL / 1990年 / アメリカ / 監督:キャスリン・ビグロー / サスペンス / 102分
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暴走する主人公、話を聞かない警察、意味不明の連続殺人鬼。まともな人が一人もいない‥‥。
【あらすじ】
殺人犯に好かれてしまいました。



【感想】
キャスリン・ビグロー監督作品ということで鑑賞。2009年公開の「ハート・ロッカー」では女性初のアカデミー監督賞、作品賞を含めた6部門を受賞する。「ハート・ロッカー」は張り詰めた緊迫感がすばらしい作品でしたが、1995年に撮ったSF「ストレンジ・デイズ/1999年12月31日」も抜群に面白かったですねえ。そんなキャスリン・ビグロー監督だから、すばらしい作品に決まっている! と期待して観たら、とんでもない事故物件だったという‥‥。のけぞった。

この作品は話の展開に無理が多い。だが、こういった作品の脚本・監督をした人でも、やり続けていれば「ストレンジ・デイズ」や「ハート・ロッカー」などの作品を撮れたわけだからすごいことですよ。すばらしい作品だけを観て「あの人は天才」と褒め讃えることは簡単ですが、天才も最初から天才ではないという、いきなり最初からすごい作品は撮れないということを考えれば、なにやら励まされる気がしませんか。そうでもないですか。

ま、タランティーノみたいに初監督作品で「レザボア・ドッグス」撮るような人もいるけどー。最初から別格という。



◆「シリアルキラー」「男社会で戦う女」の二つの柱
この映画は、シリアルキラーと女性の社会進出という二つの売りがある。公開の翌年(91年)には「羊たちの沈黙」が公開され、以降はシリアルキラーものが流行ったように感じる。シリアルキラーをとりあげたのはこの作品のほうが早かった。だが、「羊たちの沈黙」の独特な美学を持つハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)とは違って、犯人はただの頭おかしな人なので注目されなかったのかな。

また、警察という男性社会の中で差別を受ける女性を取りあげている。「女なのに警官?」という描写が目立つ。キャスリン・ビグロー監督自身が美人で「美人なのになんで映画監督を?」という扱いを受け続けてきたのかもしれない。

時代に沿ったテーマを二つ絡めていることはいいけど、いかんせん無茶な展開の映画だった。うーむ、惜しい。

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◆タイトルの「ブルースチール」
ウィキペディアを見るとブルースチールとは酸化焼き入れ処理を施した鋼のことで、この処理が銃器の錆止め用表面処理として用いられることから、「銃の色」、ひいては「銃」そのものを指す言葉としても使われるらしい。


で、前置きが長くなりましたが肝心の内容。メーガン・ターナー(ジェイミー・リー・カーティス)はポリス・アカデミーを卒業し、憧れの警官となる。ニューヨーク市警に任官したメーガンは、初めてのパトロールで強盗を発見。自分に銃を向けた犯人に発砲し射殺。だが、メーガンの主張とは異なり、犯人の銃は発見されなかった。銃は、その場に偶然居合わせたユージーン・ハントによって持ち去られてしまう。証拠品の銃がなく、発砲行為の正当性を認められなかったためにメーガンは停職処分になる。

あれ、警察入ったばかりで光速で停職とは。ひょっとして勤務初日なのかな。

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銃を持ち去った男ユージーン・ハント(ロン・シルヴァー)。メーガンに一目惚れし、以降、銃の薬莢に「メーガン・ターナー」の名を刻み、連続殺人を重ねていく。迷惑な人だな。興奮すると筋トレに熱が入る変わった性格のお方。

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ニック・マン刑事(クランシー・ブラウン)は薬莢に「メーガン・ターナー」の名前が入っていたことからメーガンを監視する。真に受けてどうすんだ。で、警察がねえ、全然メーガンの話を聞いてくれないんですよ。ポンコツな警察というのは90年代映画・ドラマにとても多かったですが、ポンコツっぷりがものすごかった。どっかおかしいんじゃないか君ら、というレベル。

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入ったばかりで光速で停職になる、同僚は誰も信じない、自分の名前入りの薬莢が殺害現場に残されるなど散々のメーガン。だが、失意のどん底にいたメーガンに奇跡の出会いが。出会ったその日に高級レストランに連れていってくれるわ、ヘリコプターから夜景を眺めるロマンチックなデートも。メーガンの方から「家に寄ってく?」と誘っても、がっついておらずすぐには来ない。ああ、彼って最高!

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そう思っていたら、そんな彼は連続殺人鬼。しかも、メーガンの大ファンという。なぜ。

彼がメーガンに惚れた理由はよくわからないのだけども。とにかく好かれている。殺人鬼であるユージーンは自分が薬莢にメーガンの名を刻んで殺人を犯したことを告白する。当然、メーガンは警察に連絡して彼を捕まえる。だが、警察内部はメーガンを信用しておらず、さらにユージーンの社会的地位が高いこともあって釈放されてしまう。え、本人がやったってメーガンの前で告白したのに。

警察が全力でメーガンを信用しないのがすごい。男女差別とかそういうことでもなく、全員頭がおかしいのではないか。

自分もユージーンに襲われ、親友は殺され、ユージーンは実家まで押しかけてくるし、もう滅茶苦茶である。メーガンはメーガンでちょっとおかしくなっているのか、入院した病院でメーガンをガードしていた同僚をぶっ飛ばし気絶させ、さらに彼の銃とバッジを奪ってユージーンを捕まえに行く。おまえもおまえで滅茶苦茶だぞ。殴られて銃をとられた同僚、どうなるのよ。

同僚のニック刑事との恋愛も謎。二人でユージーンを追っていたが、メーガンはユージーンを見つけるとニック刑事の手首を車のハンドルに手錠で繋ぎとめてしまい、一人でユージーンを追いかける。自分で決着をつけようと思ったのかもしれない。結果、ユージーンは動けないニックを見つけ、彼を銃で撃ってしまう。絶句した。

ニックを仕留めようとしたユージーンをメーガンが撃ち、ユージーンは慌てて逃げ出す。この後ですね、みんなユージーンを追っているわけですよ。メーガンは撃たれているニックを自分の家に連れていき治療すると、そのまま盛り上がった二人はおっぱじめてしまう。若さかねえ‥‥。我慢できないよねえ‥‥、ってアホか!

みんな犯人追っている最中なのに。それに、いきなりニックを手錠で繋いだことも問題。メーガンは一応謝るが、ニックも「いいんだよ」とセックスのことしか考えていない。バカか、君らは。ほんとにもう! 全員辞めちまえと思いました。

うーん、どうなんだこの作品と思っていたら、二人の様子をメーガンの家の浴室からこっそり見ているユージーンという。おまえもどこに隠れてんだよー。なんだよー。もう頭おかしい人しかいないよー。やだよー。

最後はメーガンがユージーンを逮捕せず撃ち殺してましたが、もうなんでもいいんじゃない? と思いました。珍作ともいえる作品を撮ったキャスリン・ビグロー監督がのちに「ハート・ロッカー」で女性初のアカデミー監督賞を受賞することになるのだからつくづく面白いですね。

君ら、全員警察辞めてくれんか。


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