FC2ブログ

旧作映画の感想、ネタバレしてます。
18
2017

イット・フォローズ

IT FOLLOWS / 2014年 / アメリカ / 監督:デビッド・ロバート・ミッチェル / 100分 / ホラー、青春
zL_.jpg
バカも突き抜ければ立派。
【あらすじ】
なんかついてくるんですけど‥‥。



【感想】
どうしようもないアイディアで撮られたホラーで、本当にくだらないんですけども好きか嫌いかでいえば好きです。なぜなら童貞の描き方が丁寧だから。実に童貞心を理解している監督ですよ。すばらしい。

s241.jpg

19歳のジェイ(マイカ・モンロー)は好意を寄せているヒューとデートをし、関係を持つ。だが、行為直後にヒューは態度が豹変。彼女を車椅子に縛り付けて「それ」について語り出した。

a1__20170619192637de5.jpg

「それ」はセックスをすることによって人に移る。感染した者は「それ」から追われ、捕まると殺されてしまう。「それ」の姿は知人だったり、見知らぬ人だったり、さまざまに変わる。「それ」の速度は遅く、歩いて移動する。ジェイが生き残るには、ジェイも誰かとセックスをして「それ」を移すしかないのだ!

なにこれ。企画物のAVか。

あまりにもな設定に唖然とした。しかし、よくこのアイディアで映画を撮ろうと思いましたね。偉い。バカは偉い。どんどん突き進んでほしい。人のいうことなど聞いてはいけない。

dL__20170619192638532.jpg

ヒューはジェイの前から姿を消し、ヒューによって「それ」を移されたジェイは「それ」に追われることになる。「それ」はある時は老婆、ある時は水に濡れた女。またある時は、全裸で屋根の上に立つ男にもなる。フルチンで仁王立ち。これ、絶対笑わせにきてるでしょう。随所に笑える場面がありますよ。

xs4.jpg

ジェイは友人たちに相談。感染した者以外「それ」の姿は見えない。みな、最初は信じていなかったものの、ジェイは見えない何かに襲われて危うく命を落としかける。

「それ」の姿は見えなくても攻撃は効くようで、撃たれてこけてましたね。ガソリンかけて燃やしてもいいんじゃないかな。どこかに閉じ込めるとか。

sws2.jpg

幼馴染のポール(キーア・ギルクリスト、右)が本当にいい童貞でねえ。近年まれに見る童貞力の高さ。国で保護せよ。子供の頃からずっとジェイに好意を寄せていて、ジェイが感染したときには「泊まりにいって寝ずに守ってやる」という。周りはしらけてるけど。下心はないんですよ。正確には、下心はあるがとても何かする勇気はないという状態。

aws01.jpg

途方に暮れたジェイは、隣に住むイケメンのグレッグ(ダニエル・ゾヴァット)に「それ」を移すんですね。グレッグは腕っぷしも強そうだから頼り甲斐がある。グレッグにしても、ジェイとやれるならいいかと思ったのだろう。それを聞いたときのポールの微妙なお顔。自分かと思ったらグレッグかよ! という。たまらん!

ポールは「なんでグレッグなの?」とジェイに訊ねる。ジェイはなんでもない様子で「前に一度やったことあるから」と答える。そのとき、ポールはあくまで平静を装って「ふ、ふーん‥‥、そうなんだ‥‥」という様子。とてもいい!

前に一度やってたんかい! と叫びたいが、そんなことをいえば小さな男と思われて嫌われるかもしれない。全然気にしてないですよと平静を装う。これぞ童貞の鑑。グレッグに嫉妬するが、表向きは普通に彼と話をする。不機嫌になっても、きちんと感情を抑えるのがまた童貞っぽくていいですよ。「それ」が現れたかグレッグに確かめて情報収集。これはジェイのためなのだ。わかるぞお。わかるぞお。

ポールが一途なのに対し、ジェイの態度がけっこう面白い。

ane.jpg

「それ」は移してしまえば終わりではない。「それ」に感染した者が殺されると「それ」は感染元の人間のところにまた戻ってきてしまう。だからグレッグに移しても、グレッグが殺されたらまたジェイのところに来てしまう。

ジェイはボートを浮かべて遊んでいる3人の男を見つけると、下着姿になって彼らの所に泳ぎ出すのだ。見ず知らずの3人の男に感染させたのでとりあえず安心安心。これでわたしはしばらく大丈夫。って、最低だな、おまえ。主人公がやることではないぞ。ポールを主人公にしろ。ジェイの貞操観念はどうでもいいとして、倫理観がガバガバなのだ。自分勝手な人の面白さが爆発している。

だがそんなジェイの努力も虚しく、グレッグが殺され、この3人も殺されてしまったのか、「それ」は再びジェイの元へ戻ってくる。

sws_20170619224706db7.jpg

彼らは「それ」を廃屋のプールにおびき寄せる。ジェイがおとりとなってプールに入り、「それ」が彼女を追ってプールに入ったら、家電製品を投げ込んで「それ」を感電死させる作戦を立てる。「それ」に感電は効くのかな? と思っていたら「それ」はプールに入らずに、プールの周りに設置した家電をジェイにガンガン投げつけていくんですね。これには笑ってしまった。

結局、「それ」は布をかぶされて位置を特定され、ポールに銃で撃たれてしまう。プールは「それ」の血で赤く染まるのだった。「それ」が死んだかどうかは定かではない。

x5.jpg 

ラストは含みを持たせる終わり方になっている。ジェイと関係を持ったポールは、車から娼婦たちを眺める。ジェイから「それ」を移されたわけだから、自分の身の安全を考えると娼婦を買っておいたほうがいいことになる。娼婦は「それ」をさらに拡散してくれるわけだし。

ただ、ポールが娼婦を買ったかどうかは明らかにされない。買ってないんじゃないかな。このときのポールはにやけていて、とても幸せそうに見える。ジェイと付き合えることになった幸せを抑えることができない様子。「それ」を持ち続けることが危険なのはいうまでもない。だが、ジェイと親しくなれたのも「それ」の騒動があったおかげで、おかしいかもしれないが好きな人と恐怖感を共有する感覚を持ち続けたいのではないか。わかるぞお。わかるぞお。

そしてなにより童貞は貞操観念が強い。ポールはジェイと以外、関係を持つことなど考えられない。よって、ポールは娼婦を買ってないとみた! 知らんけど。どうぞお幸せに。

ポールとジェイ、手を繋いだ二人の姿はペアルックのようにも見える。そんな幸せな二人の後ろに「それ」らしき人影が映り映画は終わる。


そうそう、この映画は時代設定がよくわからない。そこは重要ではないのでしょう。白黒のホラー映画が流行っていたり、貝殻のような形の端末で白痴(ドフトエフスキー)を読んでいたり、チャンネル式のテレビがあったりと新しいのか古いのかわからない独自の世界で面白い。こことは違う別の世界なのかもしれない。

ホラーとしてはさして怖くもなく、序盤の死体の場面もどこかおかしみがあって笑えてしまう。何よりセックスで移るという設定がバカバカしい。細かいところを考え出すと気になる。セックスで移るとは、挿れた瞬間に移るのか、射精した瞬間なのか、イチャイチャして1時間ぐらいたってしまい途中で邪魔が入って中止した場合はセックスとみなされるのか、片方が寝ていた場合はどうか、挿れる前にうっかり出てしまった場合はどうなのか、「それ」は「はい、今セックスしました」と電波のようなものを受信して新しいターゲットを殺しにいくのかなどなど、真面目に考えれば考えるほどバカになるので、考えないで観た方がいいと思います。


関連記事
スポンサーサイト



2 Comments

magro  

好きな子とやれるけどその代償として化け物に追い回されるってなったら、
ヴァージンの方はどんな選択をしますか?
私がその立場だったらポールと同じことをするかもしれないです。

2017/07/19 (Wed) 03:44 | EDIT | REPLY |   

しゅん  

>好きな子とやれるけどその代償として化け物に追い回されるってなったら、
ヴァージンの方はどんな選択をしますか?

僕は男ですのでなんとも。ちょっと性転換してきてから考えてみたいと思います。

ポールはいいキャラでしたね~。
高校生ぐらいが持っている、寿命縮んでもやりたい感じがよく出ていて親近感がとまりません。

2017/07/20 (Thu) 00:29 | EDIT | REPLY |   

Leave a comment