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2017
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カリフォルニア・ダウン
SAN ANDREAS / 2015年 / アメリカ / 監督:ブラッド・ペイトン / 災害 / 114分







愛の力でなんとかしちゃうアメリカ的家族愛。娯楽として割り切れないモヤモヤ感。
【あらすじ】
巨大地震と津波がやってきた。家族を助けるぞー。
【感想】
東日本大震災があったので、公開当時、日本ではあまり派手な宣伝はなかったように思います。それでいいんですけども。こういう映画は観たい人が観ればね。津波や崩れ落ちるビルといった恐ろしい映像が頻繁に出ますのでご注意ください。
アメリカ西部にマグニチュード9.5という観測史上最大の巨大地震が発生。レスキュー隊でパイロットを務めるレイ(ドゥエイン・ジョンソン)は妻と娘の救助に駆けつける。本当にね、ストーリーはこれだけなんですよ。

で、まず納得がいかないのがここなのだった。困った。レスキュー隊のパイロットが家族を優先していいのだろうかという。一応、本部には家族を助けに行きたいという連絡は入れる。本部も「よし、行ってこい!」みたいな感じなんですね。ほんとか。
彼がはるばる妻と娘を助けに行く間、もし現地で救助任務にあたっていれば多くの人を助けられるように思う。警察、消防、軍隊などがそれぞれ自分の家族の救出に向かうとすれば、災害時には大変なことになってしまう。むしろ、現地の警察、消防、軍隊がそれぞれきちんと活動することでより多くの被災者が救える。主人公のレイがやっていることは小学生のサッカーと同じで、球のあるところにみんなでワー!って集まるようなものである。戦術も何もない。
そういう正論ばかり言いたがるうるさい脳みそは、いったん摘出して、素直な気持ちで観ることをお薦めします。娯楽映画なんだよ、これは!
レイが妻と娘の救出を優先してしまうことの言い訳として、過去に末の娘を事故で失っていることがあったのだろう。それでも、やっぱりちょっと苦しい気はするんだけども。

もう一つ気になったのは悪人の扱い方。悪人と言っていいかわからないけど。レイと妻・エマの関係はうまくいっておらず別居中。エマには新しい恋人ダニエル(ヨアン・グリフィズ、中)がいる。ダニエルはエマとも、エマの娘ブレイクともうまくやっている。3人は新しい家族として出発しようとした矢先、地震に巻き込まれてしまう。
ダニエルとブレイクは一緒にいたが、彼は地震でパニック状態に陥ってブレイクを見捨てて逃げてしまう。ダニエルは一応は車に挟まれたブレイクを助けようとしたし、ブレイクを助けるために人を呼んでくるという判断は間違っていないように思える。ただ、あまりの地震の被害の大きさに地上に出た途端、パニックになってしまったのかもしれない。

ダニエルがブレイクを見捨てて逃げたと聞いたエマ(カーラ・グギーノ、右)は「殺してやる!」とダニエルを罵るのだった。そーなんだけどー。いや、ま、その、うーん、あの状況ではねえ、とちょっとダニエルに同情もしてしまう。おまけに、ダニエルはコンテナに潰されてプチっと死んでしまう。
人の弱さ、脆さみたいなのをこの映画は全然許してくれないんですよね。悪人は悲惨な死に方で死んでよし! ということかもしれないけど。わたしが弱さを抱えたダニエル側の人間なのかもしれん。ダニエルに感情移入してしまった。

とにかく災害描写がよくできてましたねえ。ここまでなる? ってぐらいに滅茶苦茶に壊れてました。「2012」でも崩壊する地球が大迫力で描かれましたが、この映画の描写も怖かったですねえ。

特に津波の場面はすさまじいですよ。
この映画のモヤモヤ感というのは災害を娯楽として描いており、アミューズメントパークのアトラクションに近い感じ。大自然の驚異という面だけをうまく切り取っている。だから、津波で亡くなったであろう何万人の死体などは一切出てこない。ビルから落ちる人はいたけれど、悲惨な死についての描写がほとんどない。最後はアメリカ国旗が翻り「俺たちはまたこの国を再建できる!」という、災害に負けない強いアメリカをアピールして映画は終わる。
それでいいんだと思います。ただ、あまりに災害描写が迫力があって、それを娯楽として割り切れない。津波の映像を思い出してちょっと気持ち悪くなってしまうような。これは作っている人たちの責任ではなくて、鑑賞する側のわたしの問題なのだろうけど。観終わって「楽しかった! スッキリ!」とはならなかった。アメリカがこの映画を純粋な娯楽として楽しめるのは幸せなことに思える。

娘のブレイク(アレクサンドラ・ダダリオ、中)がかわいかったですね。隙あらばチチを揺らしてくる。ませた弟くんもかわいかったです。
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