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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
04
2017

その夜の侍

2012年 / 日本 / 監督:赤堀雅秋 / サスペンス / 119分
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「平凡な日常は必死で勝ち取るもの」
【あらすじ】
妻が轢き逃げされたので復讐する。



【感想】
堺雅人さん、山田孝之さんの共演ということで期待して観ました。妻を失った男の復讐劇ですが、堺さんの壊れ方が怖いし、気持ち悪い。同様に山田さんもぶっ壊れているのですが、こちらは元からな気もする。モラルがない。主役の二人だけでなく、脇を固める人も変。

小さな鉄工所を経営する中村(堺雅人)は、5年前に木島(山田孝之)に妻を轢き逃げで殺される。木島は、轢き逃げ当時、車に同乗していた小林の証言により逮捕されて服役した。妻を失った喪失感から抜け出せない中村は、出所した木島をつけ狙い、復讐を開始する。

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妻を失った男・中村を演じる堺雅人さんの心ここにあらずな様子が怖い。不細工な男とか、不潔な男とか、そういった設定でも俳優が演じるとどうしてもかっこよくなってしまう。無精髭が生えていても「ありだな‥‥」と思う。ところが、この中村という男は本当に汚らしくて気持ち悪いんですよ。よくここまでやりましたねえ。

髪も脂でテカテカでゴキブリのような光り方だし、襟足も伸びていて汚らしい。メガネもぶ厚い。わたしも気をつけよ。

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どう見ても、あかん人ではないか。

最愛の妻が殺されて無気力になってしまったとすると、身だしなみもどうでもよくなるかもしれない。無気力という設定なのに、みょうに髪型が決まっていたり、お洒落だったりすると、なんだかよくわからなくなってくる。おまえ、本当はモテる気マンマンじゃないかと言いたくなる。ここら辺が映画やドラマの難しいところですよねえ。あんまり汚くしてスクリーンに出ていいのかという問題もあるし。

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中村の妻を轢き逃げして放置した木島。倫理観が欠落したような人格で救いようがない。山田孝之さんて、本当になんでもできるなあ。なんでもできる人でなしである。

人を轢いた後に車から降り、遠くを見つめたかと思えば「今日、どっかの家、サバ味噌だな‥‥」と言う。いや、今そんなのどうでもいいから! ってなる。

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木島の周囲にいる人間がまったく理解できない。木島は言い掛かりをつけて、警備員の女性(右)を強姦同然で犯す。女の行動が不可解。女は、自分の家に居ついた木島に「有り合わせでしかできないけど、ご飯作りましょうか?」とか「家に人がいるっていいですね」などと言っている。

いや、君、どこかおかしいのでは‥‥。どうもここら辺がついていけない。木島の同僚の男(左)も何か変だ。木島の誤解によって、なんの過失もなくボコボコに殴られる。こんなひどいことをされた上に、パシリのように用事を言いつけられるのに、木島をまったく恨んでいる様子がない。この二人の奇妙さはなんなのだろう。

自分という存在が世間で軽んじられ、居なくてもいいような扱いを受けているとする。年収や社会的地位も低い。家族もいない。世間から無視されるのであれば、いっそ木島のような狂った男からひどい扱いをされるほうが自分の存在を確認できるからいいとでも言うのか。孤独感とはそこまで堪えがたいものなのだろうか。よくわからない。

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いつもは怖い役が多い新井浩文さん(右)は、中村の義理の兄なのかな。精神を病んでいる中村を見守り、なんとか立ち直らせようとしている。同僚を中村に紹介したり面倒見もよい。当の中村は木島への復讐しか考えてないから、まったく女性には興味がない。この同僚の女性(左)は、なぜか中村に興味を持つのだった。中村は言動も見た目もかなりいっちゃってるのだけど。なぜ興味を持ちましたか。

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中村は犯人の木島に対し「他愛もない話をしよう」と迫る。これがまあ、よくわからないんだけど。誰かと他愛もない話ができる日常というのが、当たり前に見えて手に入れがたい幸せで、その平凡な幸せを木島は奪った。木島にそれがどんなに貴重なものか知ってほしかったのかな。

当の木島には中村の言葉はまったく響かない。中村と殴り合った後、友人に電話をかけて「カラオケ行かない?」みたいなことを言うのだ。人は全くわかりあえないということなのか。

だが、中村は木島と対決したことで立ち直りのきっかけを得たように見える。何度も再生を繰り返した亡き妻の留守電を消したことにそれが表れている。頭からプリンをかぶってグシャグシャにする。「プリンを食べすぎるな」というのは妻が留守電に遺していた言葉で、それまでの中村はあえてプリンを食べすぎることで妻との繋がりを得ていたように思う。留守電で叱ってほしかったというか。

プリンを食べるのをやめ、義兄(義理の弟かも)から注意されていたタバコもやめたというのは、生きる意志の表れなのだろう。

「平凡な日常は必死で勝ち取るもの」というセリフが印象的だった。他愛もない話をできる誰かを作るというのは、当たり前なことではなくてすごく難しいことなのかもしれない。木島のように一度ドロップアウトした人間なら尚更だろう。正社員になることが難しい場合があるし、職がしっかりしてないと結婚も‥‥ということにもなる。たしかに、平凡な日常や安定した生活は必死にならなければ手に入らない時代なのだろう。何十年か前は、みんなそれほどの苦労もなく平凡な幸せを手に入れていたとしたら、ほんと何やってんだろうなあということになる。

でも、平凡な日常というのは幻想にも思える。そんなもの昔から存在しないんじゃないのかなあ。楽に生きられる人も中にはいるけど、大半の人はいろいろ抱えながらそれを表に出さないように生きているだけではないか。

映画は木島の滅茶苦茶さと、中村の不気味さが光ってましたね。ちょっと変わった映画が観たい人にはお薦めです。面白いかというと、うーん‥‥変ではあるけど。たまには変なのもいいんじゃないの。



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