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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
06
2017

Dearダニー 君へのうた

DANNY COLLINS / 2015年 / アメリカ / 監督:ダン・フォーゲルマン / ドラマ、音楽 / 106分
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有名人にはなったけど‥‥。
【あらすじ】
地位も名声もある歌手だけど、このままでいいのかなあと思います。



【感想】
アル・パチーノももう70代後半なので、出られる映画が限られてくる。ほんと淋しいなあ。一本一本、楽しんでいきたい。

ポスターの画像(↑)はアル・パチーノが観客席を向いた写真なんですね。左側に大きく役者名が書いてあるから、アル・パチーノが出ることはわかるものの勇気あるデザインに思える。これじゃ誰だかわかんないので。

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こちらは日本版のもの。アル・パチーノが出ていることを伝えたいし、ミュージシャンの映画だからピアノを置いて、ジョン・レノンからの手紙が鍵になるから手紙も置いて、他の出演者の写真も載っけて、ストーリーも書いて、となるのはわかる。そうやってわかりやすくしたほうがお客を呼べるのだろうけど。日本版のポスターやDVDジャケットが似たようなデザインになるのは、各要素をわかりやすく配置するためかもしれませんね。なんかゴチャゴチャするのよ。

でも、観てくれないとさあ、というのはわかるのだけど。

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で、あらすじ。歌手として人気はありながら、過去のヒット曲を歌ってツアーをこなすだけのダニー・コリンズ(アル・パチーノ)。そんなある日、マネージャーから古い手紙を渡される。まだ、歌手として駆け出しだった頃の自分に向けてジョン・レノンが送ってくれた手紙だった。事情があってダニーの元には届かず43年経って、手紙を目にすることになった。

手紙には、富や名声を得ても自分を見失わずに音楽を続けてほしいということがしたためられていた。それを読んだダニーは人生をやり直すことを決意する。ツアーはキャンセルし、ホテルに篭もって作曲を始め、一度も会ったことのない息子を訪ねることにした。

成功者というのは、最後に何を欲しがるのかなあ。やはり行き着くところは家族なのだろうか。ダニーには若く美しい恋人(ただし浮気している)もいるし、富や名声も十分にある。もう欲しいものは何もないように見える。ただ、本心では満足していない。

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有名人としての苦労がうかがえるところもある。恋人が開いてくれたサプライズパーティーに、驚いたフリをして周囲に気遣いをする。ファンに対しての態度もそうで、いつも冗談を言って笑わせようとする。本当のダニーではなく、世間が求める有名人のダニー・コリンズを演じているようにも見えるのだ。

王・長嶋の対談を観たとき、二人とも王貞治・長嶋茂雄を演じていたということを言ってるんですね。世間が期待する像を演じ続けるというのは大変なのだろう。それが100%苦痛というわけではないだろうし、好きで演じている部分もあるのだろうけど、たまには疲れるんだろうなあ。

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ダニーに対して、わりと厳しい態度で接するのが、ホテルの支配人メアリー(アネット・ベニング)。いやあ、良かったですねえ。歯に衣着せぬ女であるよ。再三、ダニーに迫られて断り続けるのだけど、断り方もおしゃれなんですよね。

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ダニーの息子にはトム(ボビー・カナヴェイル、左)。名脇役という印象。本当にこの人はいろんな映画に出てますよね。もうそろそろ、この人の主役も観たいなあ。トムの妻サマンサ(ジェニファー・ガーナー、右)も相変わらずいいですね。名作「ダラス・バイヤーズクラブ」にも出ていますが、芯の強い女性を演じることが多い印象。

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ダニーは新曲を作り、小さなライブハウスで演奏する。息子家族や支配人などを招き、自分が生まれ変わった姿を見せようとする。だが、観客は彼が新しく書き上げた曲ではなく、過去のヒット曲を歌うことを望む。ここが残酷でねえ。
観客からの「(過去のヒット曲である)Hey,Baby Dollをやれ」と言う声に負けて、ダニーは新曲を歌うことを諦める。このときのダニーの淋しげな表情。すぐに気持ちを切り替え「おまえたちが聴きたいのは、こっちだよな!」と会場を盛り上げてヒット曲を歌う。プロですよ。ここはべつに泣かせる場面ではないのだけど、ちょっと悲しくなってしまった。

ファンの残酷さを感じる。年末に紅白を観ると、自分が子供の頃からずっと同じ歌を歌っている歌手がいる。そういう人も、ヒット曲にすがっているということもあるかもしれないが、ファンが新しい曲をなかなか受け入れてくれないというのもあるのかもしれない。恋人と聴いたとか、青春時代に聴いたとか、自分たちの人生の思い出を華やかに飾ってくれたのがヒット曲だった。だから、観客は「あの頃のあの曲」を望むのであって、それ以外はいらないのだろう。

ダニーは新曲を歌うことを諦めた自分が許せなかったのか、再びドラッグに手を出してしまう。その姿を息子に見られ、信頼を失う。親密になりかけていたホテルの支配人メアリーにも失望されてしまう。最終的には息子の信頼は取り戻せたので良かったと思うが、曲についてはどうなのだろう。ダニーは再びツアーに出ることを決意するが、今までのように過去のヒット曲をやってMCで繋ぐようなやり方をするのか、自分の新しい曲をやるのか、そこら辺ははっきり示されないんですよね。ジョン・レノンの手紙「音楽に誠実であれ」はダニーに届いたのだろうか。

久しぶりのアル・パチーノ主演映画でしたが面白かったです。この映画のために書き上げられた「Hey,Baby Doll」もいいですね。ダニーの人柄を表したような陽気な曲でした。アル・パチーノファンは是非是非。


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