09
2017

サスペクト 哀しき容疑者

용의자 / 2013年 / 韓国 / 監督:ウォン・シニョン / サスペンス、アクション / 137分
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アクションが凄すぎて死人が出てないか心配。
【あらすじ】
妻を殺した犯人を探すため脱北した北朝鮮エリート工作員。韓国でも陰謀に巻き込まれ、殺人事件の犯人に仕立て上げられ逃亡する。



【感想】
韓国アクション映画のレベルは高い。特に北朝鮮工作員を扱ったものはいいですよね。この作品はそんな作品の中でも飛び抜けている。いやあ、すごかったですねえ。「アジョシ」もすごかったですけど、これもがんばってますよ。

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国際社会でさまざまな軋轢を生み出す北朝鮮ですが、韓国映画の世界ではいつも見事な悪役として機能している。北朝鮮という国家がなければ、これほど韓国のアクション映画は発展しなかったかもしれない。銃の使用も違和感がないし、格闘術に精通していても説得力がある。それが韓国にとって幸せなことかいうと、また違うのだろうけど。

脱北した元北朝鮮エリート工作員チ・ドンチョル(コン・ユ)。憂いを秘めた表情がいいですね。必要なことしか言わない。だいたい脱北した工作員はこの手のパターンなのだった。おしゃべりで陽気、いつも鼻水を垂らしているバカみたいな工作員はいないものか。

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手錠してプールに沈められた上に電気を流されたり、断崖絶壁に上らされたり、絞首刑にされたり(根性で関節をはずして脱出)。もう本当にえらいことになってますよ。

韓国映画で「不必要に脱ぐ」というのが前から気になっていたのだけど、やっぱりこれは必要なのかもしれない。黒人や白人に比べてアジア人は体格的に劣っていて、服の上からでは筋肉がわかりにくい。だが、脱いでみると、とんでもなく鍛え上げているということがわかる。説得力が増します。ドンチョルを演じたコン・ユは3か月でこの体を作り上げたそうですが、3か月でこんなになるのかあ。すごいですね。よって、どんどん脱いだらよろしい。

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カーチェイスも凄まじい。バックしつつ巧みなハンドリングで大通りを逆走し、坂まで降りてみせる。車はひっくり返るし、危ないことやってるなあとハラハラする。

ドンチョルを始末しようとする北朝鮮工作員の面々も濃くていいですね。ごくごく平凡なおっちゃんに見えるタクシー運転手が格闘技のとんでもない達人だったり。この映画はロシア特殊部隊の格闘術システマと、北朝鮮軍人が使う近接格闘術の主体撃術が使われている。システマは「ジョン・ウィック」でも使われてましたね。もう最近では総合格闘技は当たり前なので、システマなどに移行しているのかな。

狭い部屋で肘を巧みに使って戦う場面が面白いです。「ザ・レイド2 GOKUDO」でも刑務所の狭い部屋で戦うところがすごく面白いんですよね。幕末の日本でも、狭い日本家屋内で戦うときは小太刀が多く用いられた(大刀は鴨居に当たる)そうですが、広い所とはちょっと違った戦い方が必要になる。体の使い方も自ずと異なってくる。それが独特で面白い。ひたすら狭い部屋で戦う映画、作ってくれないかなあ。需要なさそうだけど。

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ドンチョルを追うミン・セフン大佐(パク・ヒスン)。渋い! 無精髭、ぶっきらぼう、凄腕、男臭さプンプンですよ。部屋、汚そう。

この人は登場場面のスカイダイビングから最高でしたね。登場直後に無茶苦茶やらされてる。ドンチョルを追っているうちに、彼が犯人ではなく他に黒幕がいるのではないかと疑い出す。お互い軍人ということもあり、ドンチョルとの信頼関係のようなものも良かったですね。

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黒幕の対北情報局室長キム・ソッコ(チョ・ソンハ)。これでもかというほど憎らしい悪役を演じてくれて、ありがたい。こんな憎たらしい人おるー? ってぐらいなので、殺されてもすっきり爽やか後腐れなしという。ありがたい話。

かなり予算がかかった大作かと思いきや、実はインディーズ映画並みの予算だったということがコン・ユのインタビューで語られている。とてもそんなふうには思えないんですね。話の規模が大きく、韓国軍、韓国警察、北朝鮮軍、マスコミ、最後には中国まで出てくるので狭い感じがしない。南に潜伏している北朝鮮工作員たちも大学で教鞭をとっていたり、タクシードライバーをしていたり、そういったところも世界の広がりを感じさせるのかな。北朝鮮工作員たちがやむなくドンチョルを追う悲しさも出ていて良かったですね。特にこの白シャツの人。「すまない‥‥、俺も生きたかったんだ‥‥」みたいなことを言ったような。泣かせますなあ。

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ラストのドンチョルとの子供との再会場面は、妻が「お腹の子供に話しかけていると、顔を見ていなくても父親のことがわかる」という伏線が見事に生きています。そんなわけあるかい、という話でもあるんだけど、でもね、なんだか許せるのだ。で、また子供を監禁しているのが、いかにも悪人という感じで、あ、この人たちドンチョルにボコボコにされるな、グフフフという終わり方なのもまたよい。後腐れなくスッキリと楽しめるアクション映画。

ド派手なCGを使ったハリウッド映画とはまた違う魅力で、緊迫感のある近接戦闘、無茶なカーチェイスなど勢いがものすごくて惹きつけられます。お薦めです。


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