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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
02
2017

偉大なるマルグリット

MARUGUERITE / 2015年 / フランス、チェコ共和国、ベルギー / 監督:グザヴィエ・ジャノリ / ドラマ、実在の人物を基にした映画
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裸の王様のジャイアンリサイタル。
【あらすじ】
音痴な人が歌っているけど誰も指摘できない。金持ちだから。



【感想】
アメリカに実在したフローレンス・フォスター・ジェンキンスという音痴のソプラノ歌手をモデルにし、大幅に脚色した作品。

・実際のフローレンス・フォスター・ジェンキンス
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そもそも、音痴で歌手などできるのかという疑問があったのですがウィキペディアを見ると、彼女には十分な遺産があったとある。自分でリサイタルのお金を出してたのかな。

で、そんなジェンキンスがモデルになったのがこの人、マルグリット・デュモン男爵夫人(カトリーヌ・フロ)。人の良さそうなおばちゃん。とても素直な人なんですよね。

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大の音楽好きで自宅でサロン音楽会を開くほど。マルグリットは音楽会でモーツァルトの『夜の女王のアリア』を披露する。高音のところは本物のオペラ歌手が歌うと、人の声ではなく楽器のように聴こえる。しかし、マルグリットはなぜこんな難易度が高い曲を‥‥。

高音部は苦しそうで息も絶え絶え。音程も外れて、リズムも狂い散々ですが、観客たちは拍手で彼女を讃える。彼女は大金持ちで、周囲には彼女が音痴だと指摘する人が誰もいないんですね。

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サロン音楽会でのマルグリットの歌を褒めたたえる記事を書いたボーモン(シルヴァン・デュエード、左)。おまえの罪は重い。サロン音楽会で歌った貧しい歌手アゼル(クリスタ・テレ、右)。彼らも悪い人間ではないのだけど、野心があったり、雇用される側だったりで本当のことが言えない。

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マルグリットの夫ジョルジュ・デュモン(アンドレ・マルコン)。熊みたいな毛皮着てる。妻の歌声を聴きたくないので、車が故障したという嘘までついて音楽会から逃げております。そこまでして‥‥。執事やメイドたちはマルグリットにばれないように耳栓をしているのだった。完全にジャイアンじゃん。

最初、コメディかと思っていたのですがそれほど笑う部分はないんですよね。みんながみんな、彼女の財力が目当てで調子のいいことしか言わない。褒められていくうちに、だんだんと彼女は勘違いしていき大きいリサイタルを開こうと考えるようになる。観ていて、ちょっと切ない気分になってくるんですよ。

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執事の男性(左)だけはお金目当てではない。献身的にマルグリットに仕える。マルグリットに想いを寄せていたのかもしれない。でも、彼女を傷つけたくないと思ったのか、音痴ということは伝えられないのだ。

リサイタルで聴衆が彼女の歌を聴いて嘲笑する場面は悲しくなってしまった。たしかに彼女の歌は下手なのだけど、彼女は歌が好きで一生懸命歌っている。それを嘲笑う人々の醜さ。笑われる者と笑う者の逆転が起きたように感じた。彼女は本当に笑われるべき存在なのか。彼女の歌う姿を観て笑う私たちのほうが、本来は笑われるべき卑しさを持っているのではないか。

彼女は舞台で血を吐いて倒れるのだけど、倒れる前のほんの一瞬だけ音程があって見事な歌声になるんですよね。あれはどういう意味なのだろう。監督が見せたマルグリットに対する一瞬の優しさ、敬意なのかなあ。

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彼女が歌にすがる理由の一つは夫の冷たさにある。むしろ夫にしてみると「なんで妻はあんな下手な歌を‥‥」ということで距離をおいたのかもしれないけど。

彼女は精神を病んで妄想の世界に生きることになる。彼女を現実に呼び戻すため、蓄音機で録音した彼女の歌声を本人に聴かせる。彼女は自分の歌声のあまりの酷さにショックを受け、気絶してしまうのだ。マルグリットを夫が介抱する場面で映画は終わる。真実を知った彼女はこれから幸せに生きられたのだろうか。

メリル・ストリープも「マダム・フローレンス! 夢見る二人」でフローレンス・フォスター・ジェンキンスを演じていますね。見比べたい。


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