FC2ブログ

旧作映画の感想、ネタバレしてます。
24
2017

おっぱいとお月さま

La Teta y la Luna / 1994年 / スペイン、フランス / 監督:ビガス・ルナ / ドラマ、コメディ / 90分
33a.jpg
自分だけのおっぱいが欲しい。
【あらすじ】
弟が産まれ、おっぱい所有権を失ったので、新たなおっぱいを所望する。



【感想】
母のおっぱいは産まれたばかりの弟のものになってしまった。兄になったテテ(ビエル・ドゥラーン)は、月に「僕だけのおっぱいをください」とお願いする。おまえ、もっと他にお願いすることあるだろ。バカはいいなあ!

おっぱいの恨みから、テテが弟のことを豚呼ばわりするのが最高。豚て。いやあ、なかなかいい方向にこじらせてますねえ。

4_20171124143316127.jpg

なんだかよくわからない話でして、おっぱいに執着する少年をファンタジックに描いた物語。テテがかわらいらしいのですが、本当におっぱいのことしか考えてない。

3_20171124143317bee.jpg

皿に乗ったプリンをプルプル揺らし「おっぱい‥‥」と思うテテであった。病気一歩手前ではないか。おっぱいに憑りつかれた男。おっぱい好きが高じて、将来何か偉大なことをやり遂げるか、ラッシュの小田急線で痴漢で捕まるか、どっちかだと思います。

クリップボード023

テテの狂気の願いが通じたのか、お月さまはテテの元に見事なおっぱい(マチルダ・メイ)を遣わす。さっそくおっぱいにタッチするテテ。やりたい放題だな。パリからやってきた踊り子のエストレリータは、旅芸人モーリスと暮らしている。エストレリータや、テテの母が惜しげもなく美しいおっぱいを見せてくれます。

少年の視点から描いているせいか、おっぱいが出てもそれほどいやらしさを感じない。と書くのが感想として正解なんだろうと思う。そう書くのがスマートというか。だがですよ、こっちは学生時代に卑猥な言葉を辞書で引くだけで興奮できた前科を持っているわけだし、辞書とはそういったものと信じて育ってきた。そんな人間からすると、やはり見事なおっぱいが登場すると猥褻な視点で眺めてしまう。心が汚れているので、美しいものもいやらしく見えてしまう。

この映画のおっぱいは芸術的に描かれているとは思う。しばしば猥褻か芸術かという議論があるけれど、男にとって猥褻と芸術はすっきりと区分できるようなものではなく、猥褻であり芸術であるというように感じるし、だから面白くもある。これは女の視点から見れば、まったく別なのだろうか。女であれば、同性愛者を除けば女性との性行為はしないから、純粋に芸術的におっぱいを眺めることができるかもしれない。それとも性行為を伴わなくても、おっぱいに猥褻さを感じたり、猥褻と芸術の同居を感じる瞬間があるのだろうか。おまえ、なに一生懸命に書いてんのという話ですけど。

02_201711241433135ba.jpg

エストレリータは旅芸人の夫モーリスを強く愛していながら、電気工の青年ミゲル(ミゲル・ポヴェタ、右)と不倫する。ミゲルの熱烈で純粋な求愛にエストレリータは心を打たれる。

y_20171124160635223.jpg

モーリス(ジェラール・ダーモン、右)も妻を愛しているが、妻を性的に満足させられないことに良心の呵責を感じている。

エストレリータのモーリスの愛し方が面白い。夫の足の指の臭いが好きで、足の指を執拗にしゃぶる。夫の涙をビンに溜めて、舐めたりする。夫の職業は旅芸人で、おならを使った芸をしており、彼女はその芸を愛している。

普通は欠点とされる足の臭い、おなら、弱さとも言える涙、エストレリータは夫の駄目なところすべてに愛おしさを感じているのだ。結局、性的な満足を与えてくれたミゲルではなくモーリスを選ぶのも、二人の間に性愛だけではない家族としての深い絆が築かれていたということなのかなあ。

03_2017112414331430c.jpg

冒頭、テテが挑戦した人間の塔は崩れてしまう。これはテテの幼さ、未熟さを表しているようにも見える。また、この塔は屹立した男性器の隠喩としても見ることができる。崩れてしまうことでテテがまだ子供であるという。

結末は冒頭と対比になっている。もう一度、テテは人間の塔に挑戦し、今度は見事に頂点に立つ。テテの人間的成長と取れるし、彼が大人になったことを示すようにも見える。だが、テテの妄想で、テテが赤ん坊のようにエストレリータと母のおっぱいを飲む場面が映し出される。これがよくわからないんですよね。テテが成長したのであれば、おっぱいからの巣立ちを映すべきなのに、なぜか二人のおっぱいを飲んでいるのだ。

こうなってしまうと成長も何もない。それとも、成長しようがどうしようが男は結局おっぱいが大好き、という身も蓋もない話なのだろうか。実に不思議なファンタジーでした。今まで生きてきた中で、もっともたくさん「おっぱい」と打った日になった。

関連記事
スポンサーサイト

0 Comments

Leave a comment