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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
08
2017

特捜部Q キジ殺し

Fasandræberne / 2014年 / デンマーク、ドイツ、スウェーデン / 監督:ミケル・ノガール、原作:ユッシ・エーズラ・オールスン / ミステリー / 119分
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特別な私たちは凡人を狩っても問題ない。
【あらすじ】
過去に起きた事件に納得いかないので捜査する。



【感想】
未解決事件を捜査する特捜部Qシリーズです。前作「特捜部Q 檻の中の女」も独特な雰囲気があって良かったですが、この二作目「キジ殺し」もなかなか。私は二作目のほうが好きでした。ハリウッドとは違った北欧ミステリーの陰鬱な感じがねえ、たまらないですよ。今回も主人公カール(ニコライ・リー・コス)は頑固で人嫌い。前作より磨きかかってない? より面倒な人になってます。

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カールの相棒である温厚なアサド(ファレス・ファレス、中央)も健在、そして新メンバーとして秘書のローセ(ヨハン・ローズ・シュミット、左)が特捜部Qに加わります。署内の鼻つまみ者が集まる窓際部署へようこそ。

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地下だから窓際ですらない。光が欲しい。でも、雰囲気いいね。

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カールたちは20年前に起きた惨殺事件を追いかけていくうちに、実業家ディトリウ・プラムにたどりつく。太ったジョニー・デップみたいな人だな。

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ディトリウたちは20年前の寄宿舎時代に何を行っていたのか。ハリーポッターにでも出てきそうな寄宿舎の雰囲気がいいですね。憧れるなあ。やってることは陰惨、悪辣としか言いようがないけど。

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ディトリウ(左)は有力者の息子。恋人のキミー(右)も裕福な家庭に育つが継母との折り合いが悪く、愛情には満たされない生活を送っていた。ディトリウたちは気に入らない同級生をリンチしたりレイプすることを繰り返していた。キミーもディトリウたちの行為に加わっていた。ディトリウにとって同級生をリンチすることは、趣味の狩猟(キジ撃ち)と変わらない程度のことなのだ。

ディトリウの同級生で悪役のウルレクも存在感がありました。彼は家にメイドを雇っていますが、自分が外出するときにメイドの髪の毛を何の気なしに触って確かめる。ただ、それだけの仕草で、自分が見下した人間は、人ではなく物としか見ないというウルレクの性格が表現できている。

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どう考えても善い事はしそうもない人たち。これでボランティアとかしてたらすごいけど。

特権階級のいけ好かない感じがよく出ていました。日本でも2016年に東大生強制わいせつ事件というのがありましたね。こういった事件を、自分を特別だと勘違いしたバカのやったことと処理するのは容易い。でも、ここまで極端ではなくても、他人を見下したり、自分を特別だと思う気持ちはどこかにある。学歴、家柄、職業、年収、性別、容姿、国籍、人が勘違いして思い上がる要素はそこら中に存在する。身近なところだと、店員に横柄な口をきく人などは、けっこうまずいところにいそうだけど。

本当にねえ、気をつけないとと思いますよ。「私は人間のクズ」と、一日百回唱えて暮らしていこうと思います。なぜそこまで。

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キミ―(ダニカ・クルチッチ)もディトリウたちの暴力に加担していたものの、殺人まで犯した彼らについていけなくなる。彼女は狩る側の存在であったが、狩られる側に立場が変わってしまうのだ。

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カール(左)とアサド(右)のコンビは今回も良かったですね。無愛想で無鉄砲なカールに対し、温厚で社交的なアサドがブレーキとなっていてバランスが良い。カールは極端な性格で世渡りも下手だが、頑固で曲がったことが大嫌いなカールだからこそ、この事件を追及できたように思える。

適当なところで事件を終結させようとするアサドに対し、カールは「君が疑問に思わないなら事件は終わりだ」と告げる。本当は薄々気づいていながら、面倒くさいことに蓋をしようとするアサドの良心に訴えかける。こういう部分も良かったですねえ。

カールの弱き者に寄りそう秘めた正義感がいい。ディトリウをどこまでも追っていく狂気じみた執念深さもすばらしい。おまえ、勘違いしたまま生きられると思うなよという。こんな人に追っかけられたら怖いわ。ディトリウに対して「(刑務所に入るだろうから)荷造りしとけよ」と、言い残して立ち去るのがしびれる。

ちょっと展開に無理がある(キミ―が留置場を抜け出したり、ウルレクの家に侵入して首尾よく証拠品を見つける)とは思うけど、それでも面白い作品でした。私はアサドが好きなのでもっと出してほしい。


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