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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
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2017

イップ・マン 最終章

葉問 終極一戦 / 2013年 / 香港 / 監督:ハーマン・ヤウ / アクション / 100分
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弱さを許す強さ。
【あらすじ】
詠春拳を教える。



【感想】
詠春拳の達人イップ・マンの人気は高く、何作もの作品が撮られている。三人の監督が撮影している。どれが本家とか分家とかではなく、統一されたシリーズというわけでもない。分類すると以下になる。史実ではなく大幅に脚色された娯楽作品。


イップ・マン 序章 監督:ウィルソン・イップ、主演:ドニー・イェン
イップ・マン 葉問 監督:ウィルソン・イップ、主演:ドニー・イェン
イップ・マン 継承 監督:ウィルソン・イップ、主演:ドニー・イェン

イップ・マン 誕生 監督:ハーマン・ヤウ、主演:デニス・トー
イップ・マン最終章 監督:ハーマン・ヤウ、主演:アンソニー・ウォン

グランド・マスター 監督:ウォン・カーウァイ、主演:トニー・レオン


今のところ映画は三系統(この他に中国制作のドラマ「イップ・マン」もある)。シリーズとして観たい人は、それぞれ序章、誕生から入るといいかも。でも、順番に観ることにこだわらなくても問題ないと思います。特に前作の知識が必須ということはない。「継承」だけは観てないので断言はできないのですが。

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「最終章」のイップ・マンはタイトルが示すように、香港に越してからの晩年のイップ・マン。演ずるのは「インファナル・アフェア」で悪徳警視を演じたアンソニー・ウォン。いやあ、更生しましたねえ。あと、痩せた。

どうしてもドニー・イェンのイップ・マンと比べてしまうが、さすがに若さと経験も違うことがあり、カンフー場面の迫力は一歩譲る。新聞紙一枚の上で戦うのは良かったけど。だが、アンソニー・ウォンのイップ・マンは、年齢を重ねて陶冶された人柄の温かさに魅力を感じる。

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香港に呼び寄せた妻と久しぶりに同衾したときも、苦労で老けた妻が「しわが多いから、よく見ないで」と言うが、イップ・マンは「私は老眼だから、よく見えない」と妻を見つめる。もうねえ、とぼけた返しがしゃれてますよ。こんなこと言えたらいいなあ。

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汚職を憎んでいた警官タン・セン(ジョーダン・チャン)は、悩みつつも次第に自分も汚れていく。イップ・マンは彼に「善人でなくていい。ただ、人を傷つけるな」とだけ言う。

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酔客に絡まれていたところをイップ・マンに救われた歌手のセイムイ(ジリアン・チョン、右)。彼女はイップ・マンのところに昼ご飯を届けて甲斐甲斐しく世話をする。セイムイは手作りのご飯だと言うのだけど、イップ・マンは彼女の嘘を知っていながら何も言わない。困窮に喘ぎ、我が子を売った父親に無言で酒を注いでやる場面もある。

人の欠点を責めるのではなく、許す優しさを持っている。この映画は力で悪者を倒すという場面も出てはくるのだけど、それよりも力の使い方に重きをおいている。イカサマ将棋からトラブルになり、相手を叩きのめした弟子をイップ・マンは「自分が泳げるようになれば、相手を水に突き落としてもいいのか」と諭す。力を手に入れたのならば、力を使わないことを考えねばならないのだ。

これは腕力だけの話ではないのだろう。学問でも、経済力でも、社会的地位でもそうだけど、自分が人より有利な何かを得たとして、その力を使って相手より上に立つとか、相手の嘘を暴くとか、欠点を突くとか、そのようなつまらぬことに力を使ってはならない。相手の欠点に目をつぶり、世のため人のために力を使いなさいということだろう。私なんて、贅沢をして愛人をたくさん囲うためだけに力を手に入れたいですからね。そのために部長の靴を舐めまくる毎日。本当にねえ、なるべく早く死ぬようがんばります。

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九龍を仕切るボス、ドラゴン(ホン・ヤンヤン)との雨の中の戦いは良かったですね。ホン・ヤンヤンは相変わらず動きにキレがあります。看板が落ちてきてドラゴンに当たりそうになると、イップ・マンはドラゴンを突き飛ばして助ける。相手を殺して終わりにするのではないのが、他の作品との違いを感じる。

オープニングもちょっと面白い。まるでドローンを使ったような香港の空撮から入るのだけど、どこまでがCGでどこからが実写か、切れ目がわからない。オモチャのように見える香港の街並みが楽しい。上空から香港の街を捉え、大通りへとカメラは滑空していく。

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そして、香港の街を歩くイップ・マンに継ぎ目なく繋がっている。ワクワクするなあ。当時の街並みや、小物、衣装も美しい。

後味も良く、とても楽しめる作品でした。お薦めです。


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