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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
02
2018

二ツ星の料理人

BURNT / 2015年 / アメリカ / 監督:ジョン・ウェルズ / ドラマ / 101分
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罵倒しまくる料理人の料理は、楽しんで食べられる?
【あらすじ】
前にやらかしたけど、再起して三ツ星を狙いたい。



【感想】
プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」「アメリカン・スナイパー」「世界にひとつのプレイブック」など、代表作に事欠かないブラッドリー・クーパーが主演。出ていると、とりあえずは観てしまうのだった。いやあ、しかしどうなんだこれは。本当にねえ、滅茶苦茶にキレる人ですよ。皿も料理も投げまくって部下を罵倒しまくり。たはー、一緒に仕事したくないランキング第一位なのではないか。

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一流の腕を持ちながら性格に問題のある料理人アダム(ブラッドリー・クーパー)。前の店でも問題を起こしている。店にネズミを放ったあとに保健所に通報して店をつぶしたという。お、おまえ、犯罪者やんけ‥‥。というわけで、同業者からはとても嫌われています。当たり前。あんた、いつか刺されるぞ。

この人ねえ、心を入れ替えるつもりか、みずからを罰するためか、アメリカに渡ってひたすら牡蠣を剥きまくっていたんですね。百万個の牡蠣の殻を剥き終わり、自分を許せたのか、ロンドン料理界に復帰するのだった。だがですよ、この牡蠣の店すらも百万個目を剥き終わるやいなや、店の人間に何も言わずに飛び出しているんですよ。勝手。治ってないわー、この人。

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友人のトニー(ダニエル・ブリュール、左)の店に強引に潜り込み、スタッフをかき集めて三ツ星レストランを目指す。トニーは同性愛者で、アダムのことが好きなのでそこにつけ込んでいるのだった。まあ、いいけども。トニーさん、いい人だったなあ。

しかし、みんなアダムに甘すぎるぞ。

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アダムが作る料理はすばらしく、批評家たちからも絶賛される。

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だが、厨房からは常に料理の皿を投げつける音、部下を罵倒する声が聞こえるのだ。芸術への妥協なき姿勢といえばそうなのだけど、自分の前に出された料理が、誰かを罵倒しまくって出来上がったものだと考えるとなんとも言えない気持ちになる。

でも、陶芸家が気に入らない作品を叩きつけたり、映画監督が俳優やスタッフを怒鳴りつけるのと何が違うのかと言われると難しい。作品とは出されたものを評価するべきで、その裏側のことに目を向ける必要はないのかもしれない。とはいえ、映画だとその嫌な裏側が見えているわけで、私はご飯にサバ缶で十分ですとなってしまう。

少し引っかかるのは、スタッフたちが努力してアダムの過酷な要求に応える技術を身につけたというより、アダムの性格がマシになったからうまくいくようになったという描写。そもそも業務が滞るのであれば、人を増やすとか、予約を制限するとか、もちろん個人の技術を上げるという方法もあるけど、そういったいくつかの方法を組み合わせて問題を解決すべきに思える。改心してうまくいくって‥‥。すべてをアダムの人格の問題に押し込めているように映る。

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それと面白いなと思ったのは、アダムの部下の女性や、三ツ星レストランのシェフが喫煙者ということ。ドキュメンタリーの「二郎は鮨の夢を見る」でも、すきやばし次郎の店主・小野二郎さんは煙草を喫っていた。私も学生時代、料亭でバイトをしたことがあるが板前の喫煙者は多かった。味覚にそれほど影響はないのかな。料理に煙草の臭いがつかないのかも気になる。

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芸術品とはどうあるべきなのだろう。家庭を犠牲にしたり、誰かを傷つけても、追求すべきなのだろうか。この問題は解決されてないように見える。

最終的にアダムは周囲とうまくやりつつ、最高の料理を作ることができるようになる。そりゃ、そうできるならなんの問題もない。じゃあ、おまえ、最初からやりなよ、っていう。原題は「BURNT」(焦げ)。アダムは焦げのない人間になれたのか。でも、その狂気ともいえる焦げの部分があったからこそ芸術に挑めたようにも思えるから難しいよ。

そうそう、この映画で描かれるミシュランの調査員たちの行動は本当なのかな。従業員の優秀さを確かめるため、そっとフォークを床に置く。必ず午後7時半に店に2名で訪れる。頼むメニューにも決まりがあった。

アダムはミシュランの調査員以外、お客のことを気にする様子がないのも面白い。そういうのは給仕の仕事と考えているのかも。美味い料理を作るのが目的で、お客に楽しんでもらうとか、そういった方向にまったく行かないのは潔いとすら思えた。人としてどうかというのは、もちろんありますけども。芸術家について考えさせられる映画でした。


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