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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
15
2018

ハイエナ・ロード

HYENA ROAD / 2015年 / カナダ / 監督:ポール・グロス / 戦争 / 120分
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正しい答えがわからないもどかしさ。
【あらすじ】
アフガニスタンに駐留してタリバンと戦っています。



【感想】
アフガニスタンのカンダハルに派遣され、復興道路「ハイエナ・ロード」の建設に携わるカナダ軍兵士たち。タリバンの襲撃を受けた狙撃部隊のライアンは、逃げ込んだ村で長老に救われる。大規模な戦闘場面などはそれほどなく、地元の長老との交渉、現地の慣習などに焦点をあてた少し変わった戦争映画になっています。

狙撃任務に従事するライアン(ロッシフ・サザーランド、左)。直情径行型の性格で、曲がったことが嫌い。規則違反だが同僚とも恋に落ちてしまう。わかりやすい人だな。

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サザーランド家は俳優一家なんですね。父はドナルド・サザーランド、異母兄としてキーファー・サザーランド(「24」のジャック・バウアー)がいる。

どうもわかりにくい話で、観ていて釈然としない気分になる。アフガニスタンの価値観をアメリカや日本の価値観にあてはめて理解しようとすると、無理が生じるのではないか。彼らはまったく別の価値観に従って生きているように映る。

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タリバンの襲撃を受けたライアンたちを助けてくれたパシュトゥーン人の長老がいる。彼らはパシュトーンの掟というパシュトゥーンワーリに従って生きている。その掟の中には「敵から追われている者は自らの命を懸けても助けよ」というものがある。このパシュトーンワーリのおかげで、マーカス・ラトレル一等兵曹は命を救われており、その話は映画「ローン・サバイバー」の基になっている。ライアンも同様の掟によって命を救われたわけだ。

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情報将校のピート(ポール・グロス、右)は、この長老を利用してBDKという有力者を排除しようとする。このピートの動きがねえ、非常にイライラさせられるんですよね。長老の親族の娘たちがBDKに拉致されようとしているのに狙撃命令に許可を出さない。ライアン(左)の主張はわかりやすい。自分の命を救ってくれた長老を助けたいし、娘たちも助けたい。

ピートは、BDKたちが武器を持っているか確認できず、交戦規定に違反するから攻撃できないと主張する。それは建前にすぎなくて、カナダ軍の手を汚さずに長老にBDKを排除させたいのだろうけど。ピートはCIAとBDKの関係も見据えているが、現場のライアンたちには何が起こっているのかまったくわからない。なんだか難しそうな話ばかりしている間に娘たちが売り飛ばされてしまうことに苛立ちを感じるのだ。現場と上層部の乖離もそうだが、さらに事態が錯綜してしまうのがパシュトゥーンワーリの存在に思える。

情報将校であるピートはパシュトゥーンワーリについて一応は知っており、だから長老がBDKを排除すると予測したのだけれど、長老はピートが想像するよりも早く過激な手段(BDKの息子の首を斬る)を選択してしまう。これをただ残酷で野蛮という価値観で捉えるのは、間違いなのだと思う。彼らの掟に従えば、これこそが家長として当然のことかもしれないのだ。だが、長老の行為により戦闘が始まってしまうのだ。誰も事態をコントロールできてないんですよね。

文化の問題がねえ、想像以上に隔たりがあるんじゃないのかなあ。街に潜入したライアンたちは「絶対に女を見るな」と注意される。高い所に上がって監視をしていても、女が目に入るからやめろと言われる。いつ撃たれてもおかしくないぐらいの口調で言われるんですよね。現地のルールを無視して、この地方では活動できない。そのルールに関して、外国人はあまりに無知なのかもしれない。

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ライアンは長老を救うために命令を無視してBDKを狙撃してしまう。ライアンは一発の銃弾が人生を変えることがあると言っていたが、まさに彼の狙撃がその一発となってしまう。結果として命を落とすことになる。

難しいのがライアンの判断で、彼が間違ったことをしたかといえば、それは上官の命令を無視したわけだから軍のルールから見れば間違っている。倫理的には間違っていないように思える。そもそも長老の親族の娘たちがさらわれそうなとき、狙撃をしておけばこのような複雑な事態にはなっていなかったようにも思うのだ。映画を観ていてモヤモヤするのは、どうすれば良かったのかまったくわからないからだろうか。

上層部は上層部で何を考えているかわからないし、長老やBDKというアフガニスタン人の価値観も独特なのだ。その独特な価値観を利用し、うまくことを進めようとピートはたくらむが結局のところうまくいっていない。そのせいで正義感の強かったライアンは命を落とすことになる。どこでどう間違えたのか、何が正しいのかわからぬまま死んでいく。やっぱりねえ、死ぬにしても納得して死んでいきたいですよ。誰も事態をコントロールできていない。それが苛立ちに繋がるのかな。モヤモヤしますが、よくできた映画に思えました。


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