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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
17
2018

サンセット大通り

1950年 / SUNSET BOULEVARD / アメリカ / 監督:ビリー・ワイルダー / サスペンス / 110分
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私はかつて輝いていた! みんなもっと私を見て!
【あらすじ】
女優として返り咲きたい。



【感想】
過去の栄光にすがる狂気というと、最近でいえばケイト・ブランシェット主演の「ブルージャスミン」がすばらしかったですね。「ブルージャスミン」が好きな人は是非是非。たはー、やるせないわーという気分が味わえます。

この「サンセット大通り」は、サイレント映画の時代に一世を風靡した女優ノ―マ・デズモンド(グロリア・スワンソン、左)が、もう一度映画で輝きたいと若い脚本家ジョー・ギリス(ウィリアム・ホールデン、右)に自分の脚本を手直しさせるという話。お金に困っているジョーはうまく彼女に取り入って金を貢がせるが、束縛の強いノーマとの共同生活にしだいに嫌気がさしてくる。

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嫌気さし中のジョーさん。鬱陶しいわー、早くこの時間過ぎんかなー、とか思ってそう。ノーマの淋しさと狂気がすばらしい。サイレント映画時代の成功が忘れられず、ファンはいまだに自分を待ち望んでいると信じ込んでいる。サイレント映画からトーキーに時代は代わり、ファンはもう彼女のことなど憶えていない。彼女は過去の人なのだ。

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今では美貌も衰え、ノーマにあるのはお金と過去の栄光だけ。ひたすら自分の出演作を観続けるノーマ。過去の美しかった自分、楽しかったあの頃にすがる様子は滑稽で物悲しい。なまじお金があるから、ジョーは本当のことを言えず、ノーマも目を覚ませないのかもしれない。もうねえ、ノーマを持ち上げた周りの人たちは反省してください。

「ブルージャスミン」を撮ったウディ・アレンもそうだけど、監督にある種の残酷さがないとこういった映画は撮れないのかもしれない。ノーマの独りよがりなところが、観ていて恐ろしくもあり、またかわいそうになってくる。もうとことんノーマを追い込んでいくのだった。

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お金があることでノーマはジョーから優位に立っている。あなたはこれを着ていればいいのよとばかりに、ジョーの着る服までノーマが決めてしまう。でもその優位というのは、ジョーがお金を欲している間しか保たれない。彼がすべてを捨てて出ていくことを決めたとき、二人の関係は脆くも崩壊する。この力の逆転は残酷ですね。ノーマにはもう覚悟を決めたジョーを引き留める手段がない。

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ノーマの狂気の淵に佇む女王然とした様子はすばらしい。誇り高く、気品があり、でももはやその目は現実を見ていない。彼女はかつて自分が君臨した理想の王国にいる。ノーマは愚かではあるが、どこか憎めない。何も持ってない人は没落のしようもない。彼女はいっときすべてを手にしていたのだ。だから、その高みから足を踏み外したとき、狂気の世界に転落してしまったのかもしれない。誇り高き狂気の女王に拍手を。美しくも物悲しい物語。


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