FC2ブログ

旧作映画の感想、ネタバレしてます。
23
2018

ゴースト・イン・ザ・シェル

GHOST IN THE SHELL / 2017年 / アメリカ / 監督:ルパート・サンダース、原作:士郎正宗 / SF / 107分
xAL__20180124003107448.jpg
攻殻機動隊の場面を寄せ集めたら‥‥。
【あらすじ】
事件の捜査をしていたら、記憶を操作されていたことに気づきました。



【感想】
テレビシリーズの「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」が放送されたときはリアルタイムでは観ておらず、DVDをレンタルして毎週少しずつ観た。合宿も行われて練り上げられたという緻密な脚本、詳細な設定と世界観、今までになかった電脳戦、魅力的な小道具の数々、愛敬のある思考戦車タチコマ、一癖も二癖もある公安9課の面々の魅力にしびれた。とにかくすべてが新しいと思ったし、こんなに面白いアニメがあるのかと嬉しくなった。

ハリウッドで攻殻機動隊の実写版を作ると発表があったとき、嬉しさ半分、不安半分というのはあった。思い入れのある作品がハリウッドに認められたというファンの勝手な喜びと、あとはですね、アニメの実写化はほとんど間違いなくこけるという前例の多さ。これはもうかなりの確率で煮え湯を飲まされるわけである。煮え湯率、高し。思い入れの強さがときにあだとなる。

攻殻機動隊は押井監督、神山監督(テレビシリーズ、SAC1と2)、アライズ、とおおまかに3つに分類できる。攻殻の広大な世界をどう2時間でまとめてくるかという興味もあった。それはかなり難しい挑戦に感じる。

zV1w_.jpg

今作は他の攻殻シリーズの世界観を引き継ぎながらも、少佐(スカーレット・ヨハンソン)の過去はオリジナルの設定となっている。クールな少佐とスカーレット・ヨハンソンのイメージは近い。いいキャスティング。今までの少佐というと、冷静沈着で判断力に富み、銃器の扱いにも優れ、格闘術と電脳戦のエキスパートだった。だからこそ、腕は立つがならず者の集まりの公安9課を束ねることができた。

だが、今回の少佐はドジばっかりという。ううう‥‥。行き当たりばったりでクラブに乗り込んでやられちゃうしさあ。電脳戦でも亡者が蠢く地獄のようなところで呑み込まれそうになってバトーに救われる。

少佐があんなに行き当たりばったりでいいのか。少佐の圧倒的な実力ゆえに、9課の面々は少佐に絶大な信頼を寄せていたはずだった。それが、ここまでドジっ子だとどうしたものか。2時間という制約もあるせいか、9課のメンバーはバトー(中央)以外にほとんど出番がなかったのも残念。トグサにいたってはラーメン食べてるだけという。

zV1__20180124110108511.jpg

と、文句ばかり書いてしまったものの、ビジュアル面ではがんばりを感じた。テレビ版1話の芸者ロボなんて、かなりよくできてましたね。蜘蛛のように変化するところもすばらしい。

aAL__20180124110107371.jpg

やっぱりロボなどは実写のほうが面白いのかな。タチコマが出なかったのは残念だけど。

bL__20180124110114c51.jpg

街並みに巨大広告が出てくるのも独自性があって良かった。でも、未来都市というのは何をやってもブレードランナーっぽいんだなあ。ブレードランナーの呪縛。あとやたらの芸者推し。日本人て、外国人が考えるほど芸者に馴染みがないような気がするのだけど。

cAL__201801241101159ee.jpg

少佐の光学迷彩についても、挑戦はしていたように思う。疑似的な透明化により周囲と同化してカモフラージュする技術だが、アニメでは違和感なく表現されるものの、実写ではかなり難しいですよねえ。場合によっては裸に見えたり、ババシャツとステテコに見えることも。ヨヨヨ‥‥。

クリップボード02ew3

公安9課のトップ、荒巻課長役はビートたけし。“BEAT” TAKESHI KITANOと出ていた。荒巻課長というと、力ではなく、持ち前の粘り強い交渉力と胆力でトラブルを解決していくはずが、なぜか銃の早撃ちをするという。アウトレイジじゃんかあ! また、ビートの滑舌が悪いんですよ。日本語字幕が欲しかった。

今まで、たけしさんが出演する邦画では滑舌の悪さを感じたことはない。チェックしようにも、今回は監督が外国人なわけで、日本語の滑舌の悪さを誰も指摘できなかったのかな。

過去作と比べてどうこう言うのは野暮だが、それでもストーリーは残念だった。過去作のさまざまな場面を切り貼りして、無理に話を繋げているが強引で凡庸になってしまった印象。模倣するなら押井版か、神山版のメインストーリーとなる笑い男事件を実写化してほしかった。そうでなければ完全オリジナルを目指してほしかった。たとえ失敗するにしても、前のめりに死んでほしかったのだ。これまでの攻殻に特有な哲学やゴーストについての話がほとんどないのは、シリーズを観てない人でも楽しめるようにという配慮かな。それはそれでいいかも。

まったく攻殻機動隊を観たことがない人はどう感じたのだろう。案外、普通に楽しめてるのかも。うーむ、作品への思い入れが強すぎるのも困ったもの。最後は「私の好きな攻殻と違う!」みたくなってしまった。ファンというのは結局、原作に忠実かどうかより、作品として面白いかどうかが大事で、面白くなかったときに文句の一つとして「原作と違う!」が出るのかなあ。

監督の数だけ作品はあっていいわけだし、もっといろいろ楽しみたいもの。心が狭いファンである。


攻殻機動隊は全話観るとけっこう大変なので、笑い男事件だけをまとめた「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man」というのがあります。これだけ観てもいいかも。




・これから攻殻機動隊を観ようと思っている方に。
勝手な分類ですが、映像化された作品は今作「GHOST IN THE SHELL」を含めると、監督別に4系統に分類できます。観る順番というのは特にないし、全部観る必要もありません。同じ監督のものはリリース順(上に書いてあるものから)観ていったほうがいいかと思います。それぞれテイストが違います。押井監督の独特な世界もすてきですが、神山監督のSACが好きなので、是非テレビ版のシーズン1、2をお薦めしたいです。長いけど、観てほしい。


◆押井守監督
・映画「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」
・映画「イノセンス」

◆神山健治監督
・テレビアニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」(全26話)
・テレビアニメ「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」(全26話)
・PPVおよびOVA「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」(105分)
・「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man」(160分)テレビアニメのシーズン1「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」から笑い男事件のエピソードを集めたもの。
・「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Individual Eleven」(161分)テレビアニメのシーズン2「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」から Individual Elevenのエピソードを集めたもの。

◆黄瀬和哉総監督
映画「攻殻機動隊 ARISE」(全4作)

◆ルパート・サンダース監督
映画「GHOST IN THE SHELL」
関連記事
スポンサーサイト

0 Comments

Leave a comment