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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
26
2018

男はつらいよ 純情篇

1971年 / 日本 / 監督:山田洋次 / ドラマ、コメディ / 89分
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若尾文子は出ているが。
【あらすじ】
通常営業の寅さん。



【感想】
先日、若尾文子さんのインタビューを読みました。これに少し寅さんのことが書かれており、マドンナの若尾さん目当てで観ました。若尾文子といえば男の人生を狂わせる魔性の女というイメージがある。でも、寅さんの世界はそういった魔性を発揮する場所ではない。若尾さんは寅さんの世界に馴染んではいたが、いつもの若尾文子ではなかった。だからか、この作品は寅さんの中ではわりと凡庸な出来になっている。

でも、好き勝手に魔性を発揮して、寅さんの世界を破壊するのは、それはまた違うと思うのだ。お客は、義理と人情、ほのぼのとした笑いを見に来る。これは若尾文子の使いどころが違うのだ。

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「しとやかな獣」での若尾さん。うーん、魔性! こんな女を寅さんに出してはいけない。作品がおかしくなる。

それにしても本当にきれいだなあ。ありがたいことに、動画配信の充実によって過去のものも関係なく観られる時代が来たわけで、そうすると新作も旧作も関係なくなるところがある。今、私の中に若尾文子ブームが到来。

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で、今回の寅さん(渥美清)は山口から長崎へ。そういえば寅さん、自分の年齢について「四十に手の届く」って言ってるんですよねえ。昔の四十歳は貫禄あるなあ。私よりも下ということになるのか。うーむ。

寅さんは、ふとさびしくなって妹さくらのいる浅草へ電話する。公衆電話からかけているから、10円玉を絶え間なくガチャガチャと継ぎ込みながら話している。そんな光景が懐かしい。

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実はマドンナの若尾文子よりも、冒頭の宮本信子、森繁久彌の親子のほうが目立っているし、話としてまとまっている。絹代(宮本信子)はギャンブル狂いの夫の元を逃げ出し、お金も持たずに実家のある長崎へと向かっていた。宿代もなく困り果てており、声を掛けて来た寅次郎に宿代を払ってもらう。

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実家では父親の千造(森繁久彌)が一人で旅館を経営している。千造は逃げ出してきた絹代に、夫のところへ戻れと厳しく諭す。

「おまえが好いて一緒になった男じゃろうが。そんならどっか一つぐらい良かところのあっとじゃろ。その良かところをおまえがきちーんと育ててやらんば。そん気持ちがのうて、どんな男と一緒になったって同じたい」

なるほど。結婚生活というのは覚悟なのだなあ。「いつでも帰っておいで。いいよいいよ」は、結局、本人のためにはならないのかもしれない。この場面は森繁に唸らされたものの、でも、この映画のピークは冒頭のこの場面だった気もする。

浅草に戻ってからは、独立を考えた博(前田吟、左)がタコ社長の印刷所を辞める辞めないで揉めたりするものの、話はたいした広がりを見せない。

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寅さんに独立のことを相談したおかげで滅茶苦茶になってしまい、怒る博。さくら(倍賞千恵子、右)は相変わらずよくできてる。「私たちがお兄ちゃんに相談したんだからいけないんでしょ」と、博をなだめる。さくらは、結局一番寅さんをバカにしているから面白い。

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若尾文子の魔性は発揮されなかったが、それでいいのだ。

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若尾さんのインタビューを読んだとき「普通に生活をしていると、女の人はうなじが日焼けしてしまう」というようなことが書かれていた。気を遣っているのだろうなあ。白く美しいうなじ。魔性の片鱗を感じる。

渥美清さんは10聞いても1しか答えてくれないシャイな人だったようで、若尾さんは撮影時には質問攻めにしたらしい。男はつらいよの撮影現場のことを楽しそうに述懐していた。

「若尾文子”宿命の女”なればこそ」(著:立花珠樹、若尾文子)

写真は「青空娘」ですね。この手の本は、ちょろっと本人のインタビューが載っていてあとは評論家の文章で埋め尽くされていることが多い。でも、この本は違う。大部分が若尾さんのインタビューで、他は写真、出演作品目録というファンに嬉しい構成になっている。読み応えがあります。溝口健二、増村保造、小津安二郎などを比較した監督論としても読める。お薦めです。

そういえば、二代目おいちゃんを演じる松村達雄(左)が、いやらしい医者として出演していた。新旧おいちゃん共演の図。

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この医者はやりたい放題やってて良かったですねえ。とにかく口が悪いよ。あまり寅さんについて書かず、若尾文子のことばかり書いてしまった。

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