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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
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2018

フローズン・タイム

CASHBACK / 2006年 / イギリス / 監督:ショーン・エリス / 恋愛、コメディ / 102分
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裸は出るのに、いやらしくならない不思議さ。
【あらすじ】
彼女に振られたら時間を止められるようになった。



【感想】
「ヴォーグ」や「ハーパース・バザー」などのファッション誌のフォトグラファーとして活躍したショーン・エリス監督作品。女性の裸がたくさん出るのに、なぜかいやらしさがない。どうしてなんだろうなあ。私など、辞書でいやらしい言葉を引くだけで興奮できるというのに。不思議! ごく普通のラブコメディとして楽しめました。

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美大に通うベン(ショーン・ビガースタッフ)は恋人のスージーと別れる。復縁を望むものの、スージーにはすでに新しい恋人がいた。ショックを受けたベンは不眠症になってしまい、眠れないついでにスーパーで夜勤を始める。スーパーには奇妙な同僚たちがいた。

原題の「CASHBACK」はとても秀逸なタイトルに思える。日本でいうキャッシュバックと同じ意味なのかな。ある商品を購入したとき、一定額が払い戻される仕組みですね。この映画の主人公ベンは、たびたび不幸な目に遭う。不幸といってもたいしたものではなく、私たちが日常で経験する程度のもの。

ベンは恋人に振られたショックで不眠症になってしまう。でも、どうせ眠れないからということでスーパーの夜勤のバイトを始める。そこでシャロン(エミリア・フォックス)と出会い、彼女に恋するようになる。

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シャロンのやる気のなさがすさまじい。勤務時間中にこの態度はなかなかのもの。これ、お客さんから見えないところではなく、レジなのだ。だが、それでもベンはシャロンに惹かれる。ここでも、キャッシュバックは起きているのではないか。不眠症のおかげで彼女に会えたと思えば、悪い事ばかりではない。

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さらにベンは、時間を止める謎の能力(なぜかほとんど説明がないし、ベンは自然に能力を受け入れる)を手に入れ、スーパーにいる女性の服を脱がし、デッサンをする。うっかりすると企画物AVのようになってしまいそうだが、なぜか下品な感じはしないのだ。

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スケッチするベンの眼差しは真摯であり、猥褻さが感じられない。でも、この人、たくさん脱がしているんですけどね‥‥。とんでもないスーパーである。

猥褻と芸術は本来スッパリときれいに区分できるものではなく、猥褻であり芸術であるという状態が正しいのだと思ってきた。でも、この映画に限って言えば芸術方向に区分されるように思う。いやらしさがないんですよね。なぜなんだろう。ベンが持つ眼差しの魅力なのだろうか。

下ネタというのも、言う人によって、エッチな冗談と好意的に受け取られもするし、嫌悪感をもって受け止められることもある。この映画の場合、好意的に芸術方向の評価を受けるように思える。うらやましい。

話がキャッシュバックから逸れてしまったが、時間を止める能力も不眠症になったからこそ手に入れられた。

いたずらばかりしている困った同僚たちも、それほどひどい人間でもなかった。

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彼らが悪ふざけで画廊に電話したことが、ベンの運命を切り開くことになった。人生は悪い事だけじゃない。悪い事があったとしても、ちょっとしたキャッシュバックがあるんだと言われている感じがする。それは、ただキャッシュバックを待っていればいいということでもないのだろうけど。彼は美術に関してはきちんと努力はしてるわけだし。無断で客を脱がしてはいるが。

ベンの性格に拠るところも大きいのかもしれない。彼は安易に人を敵味方に分けない。嫌っているように見えた上司の趣味のサッカーにも付き合うし、誕生パーティーにストリッパーだって呼んでやる。

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最初は、ただの嫌な人に思えた上司も、実はそれほど嫌な人間ではなかった。同僚たちも同じ。ベンの寛容さが、キャッシュバックをもたらしているようにも思える。悪い事をただ「ついてない」と受け止めるんじゃなくて、捉えようによってはそこから先へ行けるってことなのかな。人生万事塞翁が馬というか、それをキャッシュバックと表現したのかもしれない。

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時間が止まった世界の中、雪の夜を楽しむ二人の姿が美しい。

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時間が止まっているせいか、二人が通ったところだけ雪がなくなっており、人型になっているのも面白い。

派手さはないものの、ずっと観てられるようなラブコメディでした。あと、やたらに景気よく脱ぎますね。もうそれは脱ぐってんだから仕方ない。こっちはとめてるんだから。子供時代のベンの回想場面に出てくるお姉さんが、ものすごくスタイルが良いんですよ。ブリンブリンしたすごい体をしている。グヘヘヘ。あ、猥褻方向にもちゃんと行ってますね。

イギリス映画が好きな方は是非。ちょっと乾いた笑いのある作品。ベンの描いた絵も面白い。


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