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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
05
2018

女囚701号 さそり

1972年 / 日本 / 監督:伊藤俊也、原作:篠原とおる / 犯罪 / 87分
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おまえは、アツアツ味噌汁の刑じゃ~!
【あらすじ】
男に裏切られて投獄されたので復讐したい。



【感想】
今まで観た邦画の中でもあまりに異色な作品。主演の梶芽衣子をはじめ、女優陣が脱ぎまくるわけですが、だからといってただのピンク映画になっているわけではない。何がそうさせるのかと考えると、やはり梶芽衣子の存在感なのではないか。あと、変な脚本。

思春期で頭のおかしくなった男子中学生を捕獲して、無理やり書かせたような脚本がすごい。とにかくやたらに脱がすのと、奇妙な罰の数々。いやらしさよりも、なんでこんなことするのだろうという奇妙さが先に来る。理解ができないのだ。

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松島ナミ(梶芽衣子)は、刑事で恋人だった杉見に利用され、おとり捜査の道具とされてしまう。出世のために自分を裏切った杉見への復讐を企てるが失敗。投獄されてしまう。刑務所でナミを待っていたのは、恐ろしい看守と女囚たちによる恐怖のイジメだった。

まあ本当にねえ、出てくる人がどいつもこいつも、みんな頭がおかしいという。すばらしいですねえ。オープニングから、裸の女囚たちが雲梯につかまって障害物をまたいでいく。下半身に物を隠さないようにという安全検査なのでしょうが、こんな検査あるわけない。いったい、何をやってるんだ、君らは。スケベジャングルジムの刑と名付けたい。

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ちょっと遠慮して、画像を小さくしてみました。よく見ると看守役で小林稔侍さんも出ています。

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ベッドシーンも謎が多い。ナミが愛した刑事、杉見(夏八木勲)。ナミがくるまっている純白のシーツを手繰り寄せると、ナミの体はゴロゴロと転がっていく。ずいぶん変わった愛の営みですね‥‥。あと、この部屋どうなってんの?

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ナミの長い髪が顔にまとわりつき、みょうなエロティシズムを感じさせる。ナミは杉見を愛していたが、杉見はナミを利用していただけだった。麻薬捜査のためにナミをヤクザの元へ潜り込ませるが、ナミはヤクザ達に凌辱されてしまう。ガラスの床に組み敷かれ、それを下から映すという変わった手法がとられる。ナミの復讐心と怒りで床が赤く照らされるのが面白い。ナミが人形のように見えて怖い。

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犯罪の証拠をつかみ、ご満悦の杉見(右)と、ヤクザに凌辱されて床に横たわるナミ(左)。ここで予想外の展開に。

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なんと壁が周り出すのだ。

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ドーン! 壁が回転して違う部屋に。これドリフで見たやつー。コントじゃんかあ! 真面目な映画でこれをやってくるとは。恐るべし。斬新すぎる演出。高笑いする杉見と悪い人。笑いたいのはこっちだ。そして復讐を誓うナミであった。

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杉見を警察署の前で待ち伏せするナミ。真昼間に黒マントって、目立ちすぎるぞ。黒い車の横に黒マントでうずくまって保護色のつもりかもしれない。交通量がかなり多い場所で、どう見ても不審者。杉見がやってくると、マントを放り投げて包丁で襲い掛かる。マントの下は衣服がはだけており、なぜか片チチを見せるというサービス。隙あらば脱いでくる。しかし、杉見の殺害に失敗し、投獄されてしまうのだった。

刑務所では脱獄に失敗。独房に監禁されてしまう。そこには恐怖の味噌汁ババアが待っていた。

アツアツの味噌汁を顔にかけてやるぞお! 真っ赤な口紅がイカス。実にいいお顔!

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アツアツ味噌汁の刑である。ババア、嬉しそうだなあ! 本当にねえ、しょうもない嫌がらせ。ナミの体に掛かっていたボロ布に足を乗せていた味噌汁ババア。ナミがボロ布を思いっきり引っ張った勢いで、足を滑らせて転倒。味噌汁を入れたずんどう鍋を頭からかぶってしまう。

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味噌汁をかぶっただけなのに、なぜか血まみれになるババア。どういう仕組み?

三人がかりで激しくナミを責め立てる看守たち。

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「両手両足しばられていながら、どうして味噌汁かけることができたんだ!」

あまりの名ゼリフに腰が抜けそう。あのね、そんなことは味噌汁ババアに聞けばいいだろうよ。いちいちくだらなくて、いいですねえ。

他にもナミをイジメぬく罰が。生意気なナミの態度に業を煮やした看守は、穴を掘っては埋め、掘っては埋めという嫌がらせを女囚たちに仕掛ける。ナミにだけは休憩を許さず、一人で穴を掘らせ続ける。

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「閻魔落としだよ」「閻魔落とし」女囚たちが口にする閻魔落としという罰がナミに与えられる。刑務所名物なのかな。しっかり名前が付いているところが面白い。

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ナミだけは中心で穴を掘り続け、他の女囚たちは外から穴の底にいるナミに向かって土を掛けていく。恐るべし閻魔落とし! なんだこれー。

他にも歌舞伎の隈取をしたような女囚がいたり、見どころ満載である。

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迫力がすさまじい。プロレスラーの佐々木健介がパワーウォリアーとして戦っていたとき、こんなメイクをしていたような。グレートムタにも似ているかもしれない。こんな恐ろしい顔をしつつも、凶器を持ってナミを追い回すときはノタノタしてんですよね。殺陣は全体的にノタノタしてる。殴り合ってるのに、まったく拳が当たってないのが見えてしまう。安全。

女囚たちはやがてクーデターを起こし、それに乗じてナミは脱獄に成功する。警察への通報を勧める部下たちだが、所長(渡辺文雄)は通報しない。

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「暴動、火事、死亡事故、すべて明るみに出てしまうじゃないか!」

隠蔽しすぎだろうよ。刑務所という名の犯罪組織である。そして脱獄したナミは男たちに復讐を果たすのだった。

あまりに滅茶苦茶すぎて、よくこれを映画化したなあと感心してしまった。突き抜けすぎている。誰かまともな人がいればストップがかかったはずだが、誰もとめなかった。偉いと思います。まともな人など害にしかならない。

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そしてなんといっても梶芽衣子がすばらしい。ほとんどセリフがないことがナミの魅力を増幅させている。それと、今観ても際立って美しい。長く美しい黒髪、復讐にかける眼光の強さが並みではない。目力という言葉はまさに梶芽衣子のためにあるような言葉ではないか。

実際はそんなことはないのだろうけれど、梶芽衣子がこの映画の被害者のようだと感じてしまった。「梶芽衣子の無駄遣いに見える。もっといい映画に出てればなあ」という。だけど梶芽衣子をとても美しく撮っているし、ここまで突飛な設定だからこそ今でもファンがいるシリーズとなったわけだから、この映画は成功なのだろう。

とにかく奇妙な映画でした。異様なエネルギーに満ちた70年代作品。万人にお薦めとはとても言えない作品ではあるものの、一度観ておいてもいいかもしれません。予告編だけでも。梶芽衣子が歌う「恨み節」も聞けます。

2018年4月3日 00:00~2018年4月16日 23:59の期間、GYAO!で無料配信中。
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