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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
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2018

先生を流産させる会

2011年 / 日本 / 監督:内藤瑛亮 / サスペンス / 62分
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気持ち悪さの正体はなにか。
【あらすじ】
先生が妊娠したので流産させたい。



【感想】
2009年に愛知県で起きた事件をモチーフにした作品。実際の事件は男子生徒が起こしたものだが、この映画では女子生徒が加害者となっている。実際の事件の動機とこの映画の加害者の動機は、かなり異なるのではないかと思いました。関係者が未成年で、取材もできなかったでしょうし。

女子中学生の反抗的な態度が憎たらしく、モンスターペアレンツも発狂しているので、なんだか観ていてげんなりする作品。先生は先生で、ちょっとツンケンした態度で、誰も好きな人が出てこないのがつらいところ。ううう‥‥。

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女子中学校教師サワコ(宮田亜紀)は妊娠。どことなく険のある表情がいいですね。生徒のことをまるで信用してないぞという。目力がすごい。

サワコの妊娠を知った不良グループのリーダーであるミヅキ(小林香織、左)はサワコに嫌悪感を抱く。

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「サワコ、セックスしたんだよ。気持ち悪くない?」と、仲間たちに同意を求める。十代特有の潔癖さが裏返り、担任に対しての嫌悪感が募っていく。彼女たちは指輪を万引きして誓いを立て「先生を流産させる会」を結成する。こわーい。

女子生徒たちの容姿は、本当にそこら辺にいそうで好感が持てる。映画に出てくる人物は美男美女揃いか、そうでなくともそこそこレベルになってしまうものだけど。実にいいですね。右から二人目の女の子なんて、将棋が好きな友人の小原君にそっくりである。見事なモブキャラ顔。

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のんびりとした田んぼの風景と、物騒なタイトルのアンバランスさが奇妙な雰囲気を醸し出す。「ぼくは怖くない」では美しい稲穂が広がってましたが、田んぼや畑を風が渡っていくところがたまらなく好きです。

高校時代、先生が妊娠したことはあったけれど嫌悪感というのはまったく感じなかった。私が大人だったというよりも、先生というもの全体についてそれほど興味がなかったからかもしれない。あくまで学校は生徒が主役であり、先生は生徒を補助する役目としか見ていなかった。それはそれで嫌な生徒だな、オイ。

だからか、彼女たちの嫌悪感の正体がよくわからない。親がセックスをして自分が産まれたという生々しさを嫌がる感情に近いのだろうか。

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ミヅキは親から育児放棄を受けていることを臭わせる場面がある。彼女にとって親はもはや信用できる存在ではなかった。担任のサワコに対して無意識に親の役割も求めていたが、そんなサワコが妊娠したということで裏切られた想いがあったのだろうか。

ミヅキは自身も生理を迎え、体が変化していく。今まで嫌悪していたサワコの側へ自分も行くことになったのだけど、その移行について感情がまだ追いついていけないのかもしれない。観ていても、何を考えているか本当によくわかんないんだよなあ。ミヅキが自分で自分のことを扱いかねているところがあるから、こちらがわからないのは当たり前か。

ちょっと面白かったのが、担任のサワコから「どうして気持ち悪いと思うの?」と訊かれたミヅキが「知らん!」と叫ぶところ。急にオッサンみたくなったと思いました。

そもそも、十代そのものが理解不能なところがある。みょうに悟り切ったところと、感情の制御ができないところが同居している。今まで完全だと思っていた親の不完全なところも見え出して、反抗的になることもある。十代特有のわけわからなさがよく出ているように感じた。

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これはショッピングカートを道に倒す迷惑行為をしているところ。同じ悪さをすることで絆を深めるような。「おまえもやれよ」という同調圧力のようなものを感じる。そんで、見て見ぬフリをするやる気のない警官がいいですね。注意せよ。

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で、モンスターペアレンツですよ。本当にねえ、怖い。発狂ぶりがたいへんすばらしかったです。怒鳴りこんでいけるメンタルの強さがすごい。観ていて本当に嫌な気分になるという。相手するのが大変だからとりあえず謝っちゃうという学校側の姿勢もわかる気はするのだけど、こうやって謝ることでますます事態が悪化するのかなあ。

終盤、ミヅキはサワコのお腹を叩いて流産させる。そこへ乗り込んできたモンペのおばちゃんは、自分の娘を閉じ込めたミヅキに対して攻撃を加える。このときサワコは、たった今、自分を流産させたミヅキをかばうんですね。

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発狂するおばちゃん、恐ろし。ミヅキは、こんな状況なのに自分をかばってくれたサワコに心を開き、和解して映画は終わる。

身を挺して守ってもらって、初めて自分の重要さも他人の重要さも認識できるという話なのだろうか。また、教育者の困難さも感じさせる作品。今の学校の状況がどんなものかは知りませんが、こんな魔空間になっているとしたら恐ろしい。だけど、問題のない子供など一人もいなかったはずだし、そもそも大人自体が問題があるものである。問題のある人たちが、より問題のある人を育てているのが教育ということで、それは昔からそうだったように思う。なんとかなる。などと、何もしない私が。

セリフが棒読みだったり、げんなりする場面も多い映画でしたが、粗削りで魅力も感じる作品でした。おばちゃんが怖すぎるわ。


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