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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
02
2018

ヴィジット

THE VISIT / 2015年 / アメリカ / 監督:M・ナイト・シャマラン / サスペンス / 94分
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引っ掛かりはあるけれど‥‥。やっぱりシャマランは変な人。
【あらすじ】
おじいちゃんとおばあちゃんに会いに行く。



【感想】
いまだにファンから「シックス・センスは良かったのにな~」と言われ続けるM・ナイト・シャマラン監督作品。さて、今回は「シックス・センス」の呪縛を払うことができたのか。シャマラン監督は毎回何か引っ掛かる部分を作っていてくれて、それでついつい観てしまうんですよねえ。今回もいろいろありました。面白いかというと‥‥ 。

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休暇を利用して、断絶していた祖父母の家に泊まることになった姉のベッカ(中央)と弟のタイラー(左)。母(右)は駆け落ちしてしまったので両親とは断絶しており、姉弟にとってはこれが祖父母との初対面になる。母親は来ずに、いきなり子供たちを祖父母に預けてしまうというのは「そりゃないだろう」という話ですが、ストーリーの展開上しかたのないところかもしれませんね。強引。

子供たちを駅のホームで見送る母が、最初はふざけて笑っていたのに列車が走り出すと並走しておいかけてきて笑顔から泣き顔に変わっていくところ。ああいうのが、うまいんですよねえ。ちょっとしたことですが、巧みに人物を描写している。そんな細やかな描写があったかと思えば、とんでもない物件を登場させてしまうシャマラン監督なのですけども。

優しく二人を迎え入れてくれた祖父母だったが、日を追うごとにおかしな行動が目につくようになる。

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人は自分が信頼しているものを信じ続けようとする。排泄物がついたオムツを山盛りにしているおじいちゃんを見ても「おじいちゃんがちょっと変なのは失禁癖のせい。あれは悪いことじゃなくて、かわいそうなことなんだ」とか「おばあちゃんが夜に奇妙な行動をとるのは、日没症候群という病気で」というように、祖父母の奇行に理由をつけて現実から目を反らそうと無意識にがんばってしまうのだ。危機から目を反らす正常性バイアスというやつである。

ここらへんの孫の心情が、かわいらしくもあり、微笑ましくもあり、「おいおい大丈夫か」という。おじいちゃんとおばあちゃん、かなりの変人なのである。ちょっとずつ、変人ぽさを小出しにしていくところがいいですね。

軒下で姉弟は追いかけっこをしているのだが、無言で祖母がその追いかけっこに加わる。髪を振り乱して真剣な様子で弟を追い回す姿が怖い。ところが憑き物が落ちたように追いかけっこをやめると、何も言わずプイっと自宅に戻ってしまう。で、スカートが破れて下半身に何も付けてない様子がチラッと見える。姉弟は祖母の異常さに言い知れぬ不安を覚えるものの、それでも「偶然なのかなあ」という気持ちも半分ぐらいある。このね、祖父母を信じたいという気持ちと不安感のせめぎ合いが見事でしたね。でも、こっちは祖父母に思い入れがないもんだから、完全に変な人を観る気分でしたけど。頭おかしいんだよ、あの二人。

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伏線はこれでもかというぐらいに丁寧に張り巡らされている。そのおかげで、オチを予想出来てびっくりすることはなかった。これがいいのか悪いのか。フェアだとは思うのですが。

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鏡で自分の姿を見ることができない姉、潔癖症の弟。二人の困難を克服する成長譚ともとれる。二人は、父親が出て行ったことが心の傷となっており、それぞれ心に問題を抱えているのだ。弟が的確な分析で、姉の問題(鏡を見られない)を指摘するところは、的確過ぎてちょっと気味が悪いんですよね。これもシャマラン監督の計算なのだろうか。

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姉のベッカが撮影にはまっているという設定で、今作ではPOV(主観による手持ちカメラなどの撮影方法)が多用される。POVというと、どうしても「予算がなかったのかなあ」という感じですけども。あまり予算の少なさは感じませんでした。

エンディングでは父親の誕生日の姿を、母親の視点から撮影している場面が映る。ベッカはこの映像の影響を受けて撮影にはまったのかな。無意識に父親の姿をレンズから覗いた先に追い求めているという。ただのホラーではなく、家族の在り方なども絡めてくるのがうまい。

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ちょっとした引っ掛かりといえばここもですが、ベッカにオーブンの中に入って掃除させる祖母。ベッカがいるのにオーブンを閉めて火を点けるというのは、誰もが予想することだと思う。これを2度も行うものの、結局何もやらないという。やらんのかーい! ってなる。いっそ点火してくれないか。

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こちら銃口を口にくわえこんでまさしく自殺しようとしていた祖父。銃の手入れをしていただけかなと思うベッカだが‥‥。本当にねえ、やりそうでやらないとか、どこかおかしい、の繰り返しなのだ。大きな恐怖というよりも、小さな違和感がフラストレーションとなって降り積もっていくような作品で、それが驚天動地のトリックで炸裂する、ということなのかもしれないけど、トリック自体はみえみえなので「やっぱりなー」となってしまった。

奇行というのは怖いだけでなく、ちょっと笑える。怖さと面白さが同居する奇妙さがあって良かった。

こういった引っ掛かりを残した煮え切らなさが、やっぱりシャマランぽいわけで、なんでもかんでもすっきりサッパリしてしまったら、それはそれで後に何も残らないようにも思う。実にシャマランぽい。だまされてんのかなあと思いながら、それでもシャマラン作品を観続けてしまうのだ。

最後の弟のラップ(歌詞の内容から潔癖症を克服し様子)だとか、そのラップを聴きながら鏡を見つつ身だしなみを整える姉の姿は、冒険を終えて成長した姉弟の姿を現している。ホラー映画というだけでなく、家族映画であり、少年少女の成長を描いたジュブナイル映画という観方もできる新しいシャマラン作品かもしれない。面白いかどうかは、本当に人によると思います。私は「変なのー」と思って、観ておりましたよ。シャマラン作品の中では好きなほうです。


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