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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
17
2018

BIUTIFUL ビューティフル

BIUTIFUL / 2010年 / スペイン・メキシコ / 監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ / ドラマ / 148分
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【あらすじ】
お金がないのでたいていのことはやります。



【感想】
スペイン、バルセロナで暮らすウスバル(ハビエル・バルデム)は、妻と別れ、幼い子供二人を育てていた。生きるためにときには非合法な仕事にも手を染め、なんでもやってきた。ある日、ウスバルは末期癌で残り二か月の命と宣告される。

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「ノーカントリー」では、毒キノコみたいな髪型の殺し屋を演じたハビエル・バルデム。今回は毒キノコから人間に。重苦しい映画でしたねえ。貧困層の暮らしに焦点をあてた作品。貧しさから犯罪に手を染める人間は、映画でよく取り上げられる。粗暴な性格として描かれる者が多いが、この映画の人物たちは普通なんですよね。ドラッグを密売する者も、不法入国者の元締めも、そこまで悪い人間には見えないのだ。彼らにも家族はいて普通の暮らしを営んでいる。食べていくために悪事を重ね、それを取り締まる警官たちが彼らの上前をはねている。悪とは何かを考えさせられる。

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ウスバルの元妻は売春をして生計を立てている。彼女は躁鬱病を患っており、ウスバルや子供たちとうまくやっていくことができない。売春もやめられない。子供を置いて飲みに行ってしまったり、子供が少しでも逆らうと強く当たってしまう。かといって子供が嫌いでもないし、一人で生きる強さもないのだ。彼女をどうしようもない女と断罪するのは簡単なものの、かわいそうな気もするんですよね。

裕福な家に生まれて全てが与えられてきた者と、たとえば移民となって他国で暮らすことになった者とでは、スタート地点が違う。スタート地点が遥か後ろにある者が悪事を働くことが、本当に悪かというと難しい。もちろん、悪事を見逃せというわけではないのだけど。

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子供から「Beautiful」の綴りを訊かれて、誤った綴り「Biutiful」を教えてしまうウスバル(左)。彼は「Beautiful」の綴りは知らないが、美しい生き方は知っている。犯罪に手を染めても、直接的に人に危害を加える犯罪は行わない。それが彼のせめてもの道義なのだろう。とはいえ、ドラッグをさばく手引きはするし、不法移民たちも結果としてウスバルのせいで命を落とすことになるのだが。

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貧しければ犯罪にも手を染めざるを得ない。生きていくことの救いのなさをひたすら見せつけられる作品に思えた。だが、他人からみればどんなに貧しく救いのない生活に見えても、その生活に価値はある。美しさは存在する。裕福で余裕のある人間が美しくあることは容易く思えるが、貧しい人間が美しくあろうとするのは難しい。しかし、それでも美しさをあきらめてはいけないのだろう。あきらめたときに、人は人でなくなるのではないか。

贅沢なんてしなくていいし、ただ生きて死ねばいいと思うものの、それでも私はまだ楽しいものや面白いものを観たがっているし、ときには美味しい物を食べたがっている。そんな余裕がすごく贅沢なことかもしれない。もっとシンプルに生きることを目指したほうがいいのだろうかとも思う。こういう映画を観ると、自分が人生を怠けているという軽い罪悪感を感じてしまう。少し後ろめたさを覚える映画でした。

パアッと景気よく人が死ぬ映画を観たくなりますなあ! 


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