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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
18
2018

Seventh Code セブンスコード

2013年 / 日本 / 監督:黒沢清 / サスペンス / 60分
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前代未聞、驚愕のラスト。
【あらすじ】
ロシアまで男を探しにきました。



【感想】
「回路」「クリーピー 偽りの隣人」などの黒沢清監督。黒沢監督というと、とにかく奇妙な作品を撮るイメージがある。あと廃墟。廃墟大好き。今回も廃墟は出てますね。奇妙さに惹かれて観てしまいます。最初はサイコサスペンスかと思いましたよ‥‥。

主演は元AKBの前田敦子さん。ストーカーチックな不思議ちゃんという役がとても合っていました。無表情で怖いのだ。

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秋子(前田敦子)は、東京で知り合った男・松永(鈴木亮平)を追いかけてロシアのウラジオストクまでやってくる。知り合ったといっても、酔っぱらった松永が声を掛けた女子グループの中に秋子がいただけで、松永は秋子のことを憶えていない。

一回会っただけなのに情報を集めてロシアまでって、こわー! と思うものの松永は不快感を出すこともなく秋子の相手をする。

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松永は紳士的で優しい。秋子に日本に帰るよう穏やかに諭す。松永の爽やかさと秋子の不気味さが対照的。松永は「あっちでお勘定してくるから待ってて」と、支払いを済ませに席を立つ。支払いを済ませた後は、秋子の元に戻らず黙って店を出てしまう。この爽やかに平然と嘘をつける松永の変人ぷりが、黒澤監督らしく期待をそそられます。いいぞお~。

今まで松永はまとも、秋子はストーカーと思い込んでいた構図が揺らぎだす。秋子は変人だが、実は松永も? と変な気持ちになる。秋子は松永の後を追うが追い返される。建物に不法侵入してまで松永を追う秋子。あかん人やないか‥‥。ところが不意に現れた謎のロシア人? たちに捕まった秋子は拉致され、荷物も奪われ、車でどこかに捨てられてしまうのだ。

一文無しとなった秋子は住宅に忍び込み、衣服を盗み、さらに日本人が経営するレストランで無銭飲食をはたらく。タダ飯は美味いの図。

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金はない、男を探してる、ここで働かせろ、と滅茶苦茶言う秋子だったが、なぜか店主は怒りもせずに秋子を受け入れるのだった。不思議ー! 考えてみればこの人がもっとも不思議ちゃんでは。

秋子は「レストランの窓から通りを眺めていれば松永が見つかるかも」と言うのですが、なにその斬新な探し方。というか、拉致されたことについて警察に行かんのか‥‥。いろいろ疑問があるのだった。ところが、窓から通りを眺めていると、松永の乗った車が通りすぎるのだった。見つかるんかーい! ってなりますよ‥‥。世の中、間違ってる。

無表情で松永をひたすら追う秋子だったが、その謎も後半で明かされる。彼女は凄腕の殺し屋で、ロシアの政治家の依頼を受けて松永を追っていたのだ。松永はクライトロンという謎の兵器をマフィアと取引していた。秋子は松永を倒してクライトロンを取り戻すことに成功する。

殺し屋なのに武器なしで松永に会いに行くのは不自然だけど、格闘場面を見せたいとかいろんな思惑があるので仕方がない。松永とのスピード感のある格闘場面は良かったですね。総合格闘技を取り入れた殺陣があります。鈴木亮平さんの受け方もとても上手い。秋子の華奢さでは松永を抑え込めるようには見えないのですが、それでもがんばっていたと思います。フロントチョークからの肩固めという渋い倒し方。

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が、驚いたのはここからで、突如前田敦子がギターを抱えて出てきて「Seventh Code」という曲を歌い始めるのだ。いきなりどうした。狂ってしまったか。斬新すぎる演出に度肝を抜かれた。なにこれー。まだ映画やってますけど。まさか、これは映画ではなく長尺のPVなのか‥‥。企画には秋元康さんの名前がある。元々、PVという話があってこの奇妙な展開を許したのかなあ。監督は、映画の途中に突然歌を入れることに抵抗はなかったのかなあ。

ちょっとずるいというか、面白いのは、序盤に松永を追う秋子の姿を、後から手持ちカメラで撮っているところ。画面がブレて見えにくい。異国で独りぼっちの秋子の不安な心情を表現しているのだろう。カメラを揺らして登場人物の不安を表現する方法は、他の映画でもしばしば見かける。だけど、秋子が凄腕の殺し屋ということが後でわかるので、この表現はトリックということになる。凄腕の殺し屋ならば動揺することもなく、ブレる表現はフェイクということになる。うまくだまされてしまった。

序盤は秋子のストーカーチックな感じ、そして殺し屋への変貌、最後は歌い出すという謎の展開。60分ですっきりとまとめられた作品。前田敦子さんは独特の雰囲気があって良かったです。アクションやサスペンスとして面白いかというと、ちょっとどうだろう。前田敦子さんのファン向けの作品かも。しかし、突然歌い出す奇妙さは面白い。なに急に歌ってんだ、おまえは、ってなる。その驚きだけで観た価値はあった。


2018年5月15日 00:00~2018年5月21日 23:59の間、GYAO!で無料配信中。
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