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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
24
2018

柳生一族の陰謀

1978年 / 日本 / 監督:深作欣二 / 時代劇、アクション / 130分
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親に会えば親を殺し、仏に会えば仏を殺す。
【あらすじ】
二代将軍徳川秀忠を毒殺したら家が揉めた。



【感想】
脚本がとても良くできた時代劇。黒澤映画の全盛期もそうですが共同脚本だと、やはり良い作品ができるのでしょうか。野上龍雄、松田寛夫、深作欣二の3名が脚本を担当。歴史を大幅に脚色、改変した完全なフィクションですが面白かったです。配給収入は16億2100万円で、1978年の邦画配給収入3位のヒットになっている。容姿の整った若手俳優が出るでもなく、ド渋いおじさん連中が出てこのヒットとは。おじさん天国である。観客もこういう作品にお金を落としていたのだなあ。

初代将軍徳川家康から三代将軍家光ぐらいまでちょっと知っていると、より楽しめるかと思います。どうなんだろ。わからなくても面白いのかな。この話は、二代将軍徳川秀忠の跡目争いが基になっている。秀忠の長男である家光は吃音(どもり)があり、顔にも痣があった。対して弟の忠長は容姿端麗で頭の回転も速かった。秀忠のあとに誰を擁立するか、家光派と忠長派の対立があった。

家光を担ぎたい知恵伊豆こと松平伊豆守信綱(高橋悦史、右)と春日局(中原早苗、左)は、秀忠が忠長に家督を継がせることを決めたことを知り、秀忠に毒を盛って殺害してしまう。

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秀忠の突然の死に疑念を抱いた忠長派は、密かに秀忠の死体から胃袋を摘出して死因を調べようとする。忠長派と同様に秀忠の死に疑念を抱いていた家光の兵法指南役である柳生但馬守宗矩(むねのり)は、忠長派が秀忠の死体を調べに来ることを先読みし、柳生の配下を配置してこれを妨害。秀忠の胃袋を手に入れる。これを検分したところ、秀忠の死因はヒ素によるものだった。

毒殺について松平伊豆守と春日局を問い詰める宗矩(萬屋錦之助)。声もいいが肝の据わり方もいい。これぞ悪役という。

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二人の暴走によって秀忠を暗殺してしまったが、このまま家光を担ごうという話になる。

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秀田暗殺を知った家光(松方弘樹)は激怒して宗矩らを斬ろうとするものの、宗矩らが自分を将軍にするために暗殺を行い、またいつでも腹を切る覚悟と聞き、将軍になる決意を固める。もう、こうなっちゃうとしょうがないのかなあ。家光が腹をくくる様子が良かったですね。もう、ここまで来たら一蓮托生だ! という。

犯罪と言えばもちろん犯罪なのだけど、慕っている人間を将軍にするために悪事を働き、するすると抜き差しならぬ深みに飲み込まれていくさまが面白い。

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対して、家光の弟忠長(西郷輝彦)がまたいいんですね。積極的に将軍になろうとしていたわけではなく、むしろ周りが自分を将軍に担ごうとすることを嫌がっていた。それでも秀忠毒殺の疑いを知ってしまうと、これを糺さないわけにはいかない。兄をきつく問い詰めるのだ。兄にもそれなりの正義があり、弟にもきちんとした正義があった。いや、脚本がいいじゃないの。わはー。

でも、ちゃんと観てないとついていけないんじゃないかと心配。だいたい整理すると、上のような感じですよ。あとは、家光派と忠長派がチャンチャンバラバラの展開に。やたら高く飛んだり跳ねたりも多く、殺陣の緊迫感はそんなに感じられなかった。

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そんな中、柳生十兵衛(千葉真一)はやはり顔がいいなあ。千葉真一の他にも丹波哲郎、三船敏郎、成田三樹夫、真田広之(声変わり前?)、山田五十鈴、原田芳雄、大原麗子、志穂美悦子など役者が豪華ですよ。

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三船敏郎(左)は声量があり、存在感が並外れている。

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忠長に心服するあまり、忠長の命令を無視して主従の縁を切ってまで家光派に打ちかかる別木庄左衛門(夏八木勲)。それぞれが主君や家の為を行い、ときに悪逆非道な行いもしてしまう。何が善で何が悪かと、簡単には言い切れない部分がある。複雑玄妙さを秘めつつ、派手なアクションもそこかしこにあり楽しめました。

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そして萬屋錦之助のやりすぎとも思える顔芸である。やっぱりね、顔が面白いというのは断然の正義ですよ。なんでここまでやってしまったのか。

宗矩の考え方がねえ、やっぱり好きなんですよね。将軍殺しという許されない事実を受け入れ、それを主君のために利用する。そのために自分が汚れることもかまわないし、家の安泰を願ってか、口封じのために自分の里の者たちもためらいなく殺す。ひどい人間ではあるが筋は通っているのだ。これぞ娯楽時代劇という作品でした。


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