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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
28
2018

プラダを着た悪魔

THE DEVIL WEARS PRADA / 2006年 / アメリカ、フランス / 監督:デヴィッド・フランケル、原作:ローレン・ワイズバーガー / ドラマ / 109分
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センスゼロの奴は死刑!
【あらすじ】
カリスマパワハラおばちゃんの下で働く。



【感想】
ナインティナインの岡村隆史さんが好きな映画として挙げていました。なんでこの作品、選んだのかな。岡村さんは「めちゃイケ」で過酷なオファーシリーズをこなしていたため、主人公アンドレアが滅茶苦茶な要求に応えてがんばる姿に共感したのだろうか。

名門ノースウェスタン大学を卒業し、ジャーナリストの道を志すアンドレア(アン・ハサウェイ)。アンドレアは女性の憧れであるファッション雑誌「ランウェイ」の編集部へ就職した。アンドレアは鬼編集長にしごかれ、彼女の理不尽で公私混同な要求にも必至で応えていく。

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女性の人気が高い作品のようで、Amazonのレビューでも高評価が多かった。アンドレアがどんどん垢抜けていく様子や、華やかなファッションが受けたのかなあ。最初は「太目の垢抜けない女」という設定なんですけども、これ、もう十分魅力的なような。これで太目てオイ。これで太目てオイ。二度では足りん。

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何をやってもハズレがないのがメリル・ストリープのすごいところ。今回はファッション誌のカリスマ編集長ミランダを演じる。絶対に上司にしたくない。眼鏡の外し方、スピーチでのささやくような喋り方など、仕草の一つ一つで高慢さや上品さを表している。

ファッションにまったく興味のなかったアンドレアは、ちょっと仕事を馬鹿にしているところがある。この職場では、ある服にどのベルトが合うかで議論し、命をかけている。ところがアンドレアはみんなの様子がおかしくてたまらない。

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そんな彼女をたしなめるのがナイジェル(スタンリー・トゥッチ、右)。仕事に悩み落ち込むアンドレアに「君は努力なんてしていない。愚痴を並べ立ててるだけだ」と厳しく言い放つ。たしかに一般人の眼からすれば、ベルト一つでああでもない、こうでもないと言っているのは馬鹿らしい。でも、彼女はその業界に身を投じたわけで、それで「ファッションなんてどうでもいい」という姿勢は怠慢にすぎないように思う。

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ナイジェルから、おまえはこれを着とけと毎回服を渡されているうちに、どんどんきれいになっていくアンドレア。ファッションに興味を持ち始め、どんどんオシャレさんに。そりゃ、土台がいいからなあ。彼女が別人のように美しくなっていく様子は観ていて嬉しくなる。ナイジェルは口は悪いけど優しいんですよね。こういうキャラ好き。

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で、彼女が死に物狂いでやっている仕事なんですけども、これがねえ、なんだろうなあ。雑用ばっかりで正直なところよくわからないのだ。ミランダは洋服を無造作にアシスタントの机の上に放り出して片付けさせる。自分の子供のためにハリーポッターの新刊(発売されてない次の作品)を手に入れろなどと滅茶苦茶を言う。それができなければクビにされてしまう。自分でやれば? ってことが多いのだ。パワハラ全開ババアである。

果たしてこれって本当にがんばる必要があるのかな、という仕事が多いんですよね。そこがこの作品に乗れるかどうかの分かれ目に思える。私はあまり乗れなかった。

業界がまったく違うけれど、板前の世界に少し近いように感じた。学生時代に料亭でアルバイトをしていたけれど、ミランダのような鬼板前がいた。挨拶をしても無視されるし、最初は名前も呼んでもらえない。だけど3か月ぐらい経つとようやく名前を呼んでもらえるようになる。悔しいけど、それは本当に嬉しかったんですよね。DV後の男の優しさのような。知らんけど。

で、名前を呼ばれるようになってからは割とトントン拍子で、その板前の御造りは私が指名されて運ぶことが多くなる。認められたのだ。アルバイト仲間に対しての優越感もあった。閉鎖的な世界ほど、一度認めてもらうと居心地がいい。新人にとってはつらい場所だけど。私はそこでのいい思い出も多いけど、働いているときから仕組み自体には疑問を感じていた。名前を呼ばないとか、挨拶を返さないとか、そりゃおかしいんじゃないのかなという。そこにはそこのやり方があるということでしょうけども。

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アンドレアもミランダの無茶な注文に腹を立てつつも、お洒落になり、どんどん業界に染まっていく。この変化はわかるような気がするんですよね。彼女は最後にはミランダの生き方についていけなくなり辞職する。そして、当初の目標だったジャーナリストを目指すことになる。アンドレアを面接した採用担当者がミランダのところに電話をかけ、ミランダは「彼女(アンドレア)を採用しなかったら、あなたはバカよ」と言われてアンドレアの採用が決まるのだ。ここは良かったですね。

後ろ足で砂をかけて退社したようなアンドレアだったが、ミランダはきちんとアンドレアを認めていた。彼女の服に対する審美眼は誰よりも厳しい。同様に、人に対しても厳しい。ミランダは公平なのだ。良ければ良いと言うし、悪ければ見向きもしない。

ミランダがアンドレアを好きでも嫌いでも、アンドレアに能力があればためらいなく彼女を推薦するだろう。嘘がつけない人なんだと思う。ミランダは嫌な人間で、人間としては尊敬できない。でも、何かを極めた人間はどこか欠落を抱えている。ミランダは問題が多いが、一本筋が通っているのは間違いない。それを演じきったメリル・ストリープはさすがでした。

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もうちょっとアンドレアの仕事に意味があればなあ。あまりに変な雑用が多すぎる。でも、仕事なんて当人にとっては重要だけど、他人から見ればどれもこれもどうでもいいものかもしれない。それを極度に戯画化して描けばこういった形になるのだろうか。

しかし、アメリカってパワハラにうるさいと思うのだけど、このパワハラ地獄はいいのかなあ。不思議。

KT Tunstallが歌う主題歌「Suddenly I See」は元気が出ますね。


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