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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
26
2018

哭声 / コクソン

곡성(哭聲)/ 2016年 / 韓国 / 監督:ナ・ホンジン / ホラー / 156分
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誰を信じる? 信じた中に正解はある?
【あらすじ】
村で殺人事件が起きています。



【感想】
観終わったあとに、ああでもないこうでもないと想像を広げられる作品が好きです。でも、いかにも思わせぶりに、いろんな謎を羅列して投げっぱなしにして終わると「結局何も考えてないんかい」となる。この映画は、その投げっぱなし加減がちょうどいい。投げっぱなしに近くともギリギリ意味がわかりそうなという。結局何もわかってないんだけども。監督は「チェイサー」「哀しき獣」のナ・ホンジン。これは期待してしまいますよ。

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特に名物もない田舎の村、谷城(コクソン)。村の中で、家族を惨殺する事件が連続して発生。幻覚性のキノコが原因とされたが、あまりにも不可解な事件であったことから、村人たちは山中で暮らす日本人を疑い出す。村の警察官ジョング(クァク・ドウォン)は、日本人の男の家を訪れる。男の家の中にあった祭壇や写真などの異様さから、ジョングは男に疑いを抱く。

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山中に住む謎の日本人は國村隼。ふんどし一丁で鹿を食べたり、山中をかけまわったりの大活躍です。よく頑張りましたねえ。

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ジョングの娘の病気を治すために相談した祈祷師イルグァン(ファン・ジョンミン)。いやあ、この人、好きなんですよねえ。「新しき世界」「国際市場で逢いましょう」「ベテラン」など、面白い作品に出ています。今回は癖のある祈祷師でしたね。詐欺師なのかな。

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謎の白衣の女ムミョン(チョン・ウヒ)。「サニー 永遠の仲間たち」に出ていましたね。

ジョングはあまりに不可解な事件に巻き込まれ、3人のうち誰を信じてよいのかわからなくなる。芥川の「藪の中」のような話かと思ったが、どうもそうではないらしい。話はどのようにも受け取れるように作られており、これといった正解はないのかもしれない。

無理やり解釈すれば、祈祷師が日本人の家にあった写真を持っていたこともあり、二人はグルだったのかな。祈祷師のカラス、日本人の黒犬というのは黒が悪魔を表し、女の白衣は天使を表すのだろうか。天使と悪魔の間で、人間はどちらを信じるのか。天使と悪魔に翻弄され、答えのない問いへの答えを求められる人間の哀れさを描いたのだろうか。バカなんだから、人間を試すんじゃないよ、本当に。困った連中である。

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ただ、ちょっと気になるのがジョングの行動なのだ。彼は令状もとらず、何の権限もなく、日本人の家へ押し入って家を破壊。犬も殺してしまう。また、仲間と共に日本人を殺そうとする。日本人は白衣の女に追われたのか、ジョングたちの車の前に飛び出し、はねられて死んでしまう。ジョングは警官でありながら、日本人の死体を山の斜面へ転がして捨ててしまう。

彼がそうするに至る動機はわからないでもない。あきらかに日本人は怪しい。でも、怪しいだけであって彼が本当に一連の事件の犯人かはわかっていないのだ。映画を観ていると、祈祷師、日本人、白衣の女のうち、誰が天使で誰が悪魔かということに関心がいくが実はジョングこそが気づかぬうちに悪魔のような行動をとっている。そのことについて本人は、良心の呵責がまったくない。

最後、日本人はキリストの言葉を唱える。彼は悪魔の容貌をしながらその手には、キリストが磔にされたとき、手に釘を打たれた痕(聖痕)が見えるのだ。彼はキリストなのか悪魔なのか。もし、人間が悪魔のような行動をとり、邪な存在となってしまえば、たとえキリストが目の前に現れたとしても、キリストの方を悪魔とみなしてしまうのではないか。などと書いてみたものの、この解釈は違うような気がする。

まあ、よくわからん話でしたよ。村人がゾンビ化したり、血みどろで死んだり、変な祈祷したり、悪霊の仕業と騒いだり、なかなかにぎやかなホラー映画になっています。最近ちょっと悪霊もおとなしい気がするんですよね。心霊、宇宙人、巨大生物というのは、現代の価値観ではさすがにリアリティがなくてとりあげにくくなっているのかもしれない。そんな中、悪霊をがんばって押し出してくれたことにありがたさを感じる。よくやってくれましたなという。エクソシストとか好きな人はいいんじゃないでしょうか。國村さんもふんどし一丁で奮闘しておりました。

韓国映画を観ているとたまに祈祷師が出てきますが、彼らが社会的にどんな立場なのかというのも気になります。


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