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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
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2018

バチェラー・ジャパン(シーズン1)

2017年 / 日本 / プロデューサー:飯島章夫, 仲良平, 菊井徳明, 鳥澤晋, 橋本淳司, 篠田学, 楠本直樹 / リアリティ番組 / 全26話
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勝ち抜き恋愛格闘技。
【あらすじ】
25人の女性と完璧男の恋愛。



【感想】
自分が絶対に観たくないものを観るというのを課していて、その一つがリアリティ番組なのだ。まあね、観たってろくなことはないですよ。美男美女がキャッキャウフフでしょ? そうでございましょ? というひがみ根性丸出しで観たわけですが、うーん‥‥、ちょっと思ってたのと違いました。

リアリティ番組の視聴者は二種類いるように思う。一つは登場人物の恋愛模様を純粋に楽しみたいという視聴者、もう一つはどこかで揚げ足をとってバカにしてやろうという性格の悪い視聴者。後者の人間はとてもかわいそうな連中で、そもそも観なければいいのだ。己のモテなさが限界に達した結果、そういったキチガイ行動をとるのだろうか。私だけど。

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東大から東大大学院卒という完璧な学歴。アパレルサイトを成功させて売却。若くして成功者の仲間入りを果たした久保裕丈さん。趣味はキックボクシングと剣道。容姿端麗、服装もセンスがいい。温厚かつ爽やかな性格。笑い皺が優しそうで俳優の田辺誠一さんに似ている。なにそれー。そんな完璧な奴おるー? ロボではないか? と疑う。

久保さんは25名の華やかな女性たちとデートやパーティーを重ね、理想の女性を探していく。一定期間ごとに「ローズセレモニー」という選別が行われ、久保さんの好みの女性たちは彼から薔薇を受け取ることができる。薔薇をもらえなかった女性は脱落していく。

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バチェラーは元はアメリカの番組なんですよね。アメリカは男女差別に相当厳しい印象がある。そんなアメリカで、男性が一方的に女性を選んでいくという差別的内容をよく許したなあという。許してないのかな? ものすごく怒っている人いそうだけど。アメリカ人は面白かったら多少、人が死んでもいいぐらい思ってるからな。そのまま突き進んでほしい。

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とても興味深かったのは久保さんの人柄。25人の女性を次々に振るい落としていくわけで、彼女たちはライバルへの嫉妬心やら、うまく久保さんにアプローチできない己の不甲斐なさ、その場のプレッシャーによってボロボロになっていく。中には涙を流す子もいる。久保さんの態度は思わせぶりとも言えて、いろんな子に「魅力的だよ」とか「好きだよ」とか、甘い言葉で粉をかけていく。久保の野郎~。

二股どころか二十五股的行動をとる久保さんですが、不思議と嫌な感じがしないんですよねえ。なんだろう。普通ならば人間のクズと罵倒されても仕方ないはずなのに、久保さんに対する嫌悪感はなかった。これはもう持ち前の爽やかさとしか言えない。

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それは女性陣も同じで、この番組の仕組みのいびつさや、久保さんに憎悪が向かうのではなく、怒りの矛先はライバルの女の子や自分自身へと向かう。どうしても直接の被害を受けているところにいってしまうのかな。ラッシュアワーで乗客同士がトラブルになることに似ている。本当は、電車の座席に余裕がないことや、企業の勤務時間に幅があれば、あんな争いはしなくて済む。頭ではわかっていても、実際は直接足を踏まれたとか、肩がぶつかったとかで乗客同士が揉める。実は仕組みそのものに欠陥があるのだ。もちろん番組はそれを欠陥ではなく、揉める装置として使用しているのだけど。

気の合う人とワイワイ突っ込みながら観るのが楽しい番組かも。毎度貸切りで行われる豪華なデートの際、久保さんが「今日は〇〇を貸し切りにしました」などと自信満々で言うが「おまえの金じゃねえだろ」などとブツブツ言いながら観るのも楽しい。久保さんが乗る白いスポーツカーもレンタカー(ナンバーが「わ」か「れ」はレンタカー)だし。

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女性陣のメンツが濃くて面白かった。久保さんの好みというより、話を面白くするために残したのかな? と思う人選(ギャルの木村有希さんとか、古賀あかねさん)も多かったのだけど、面白くなったのでいいと思います。最初は女性の数が多くてよくわからないのだけど、人数が絞れてからは個性が出て面白くなる。ギャルは人柄が素直で面白い。

鶴さんや岡田さんは特に良かったですねえ。鶴さんの計算高さや情念の濃そうなところが魅力的。バーベキューでそれぞれの得意料理を披露する場面がある。鶴さんは、久保さんがみんなの料理を食べてお腹いっぱいだろうと、自分の料理を少しだけよそっていくんですね。その控え目なところに計算を感じる。細やかな心配りができる人なのだろうけど、反面、心配りができる私をアピールしているようにも見える。鶴さんは、いつも演技しているようにも見え、本当はどういう人なのか気になる。

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この番組を面白くした理由の一つは森田紗英さんだと思う。序盤は、ライバル女性から「自分より下」とバカにされ続け、あまりの押しの強さに女性陣や久保さんから引かれていたように見える。女子から嫌われるという、ちょっと問題ありそうな性格も面白い。その無様さがひっくり返る瞬間がある。あまりになりふり構わない姿に、感心させられてしまう。番組とはいえ、ここまで久保さんにのめり込んでしまうと、その姿もすてきに見えてくるのだ。後半は森田さんを応援していました。

恋愛は人を成長させるというけれど、恋愛というより、徹底的に考えることが成長に繋がるんじゃないのかな。森田さんは番組終盤に大きく成長したように見えた。

この番組は下世話だし、それは出演者も制作者もそうだが、こんなものを観ている人間がもっとも下世話な人間なのは間違いない。最初は、出ている人が盛大に揉めるのを楽しみにしていたのだけど、後半はこちらの想像を超え、出演者たちがそれぞれ成長していく姿、家族の姿にもいろいろ考えさせられるところがありました。

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なんだかんだで、もっとも興味深いのが久保さんの存在だった。なぜこんな番組に出るのか、動機がわからなかった。候補者のご家族に会ったときに一応の説明はするが納得がいくものではなかった。ネットでなんでもかんでも広まってしまう時代だから、彼だけでなく出演者の情報は、一生ネット上に残っていくだろう。この番組に出ていたこともそうだし、番組でひどい振る舞いをすれば、その姿も何かあるたびに蒸し返されてしまう。あまりにリスクが大きすぎる。

久保さんは優しそうに見えて、いろんな女性に甘い言葉をかけ続け、勘違いさせていく。番組の性質上、仕方のない行為だけども。また、自分とデートする女性を、女性たち自身に決めさせて、彼女たちがケンカする要素を作っていく。久保さんの優しそうな人柄と、この卑劣さが同居しているのがよくわからない。恋愛サイコパスなのかな。

彼ほどの経歴なら、そもそもこんな番組に出る理由などないわけで、意図がよくわからないんですよね。案外、動機は素朴で「面白そうだったから」というだけかもしれない。今は個人をブランド化してお金を稼ぐ手法が確立しているので、番組に出て有名になることも狙いの一つなのかな。元ライブドアの堀江さんもそうですが、その人の存在自体が価値となっている。この番組で名前を売った久保さんは、これから何をやっても食べていけるだろう。クラウドファンディングを利用すれば、久保さんのファンたちが資金を出してくれるだろうし。

女性たちは涙を流し、ライバルを罵倒し、いわば素の面を垣間見せることがあった。だけど久保さんはどうなのだろう。最後までにこやかな仮面をかぶり続けたように思える。結局、私には彼が何を考えているかわからなかった。実に不思議な人でした。日本のリアリティ番組を観たのは初めてですが、面白かったです。自分の価値観の外にある番組でした。

しかし、あんなデートがあれば、そりゃ、好きになっちゃいますよねえ。デートであそこまでの盛り上がりを見せてしまうと、番組終了後にその盛り上がりを二人の間で持続できるのかな。夢のような瞬間はもう終わり、あとは現実が続くのだ。正直なところ、うまくいくのは難しいようにも思えるのだ。

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