FC2ブログ

旧作映画の感想、ネタバレしてます。
09
2018

ブロークン 過去に囚われた男

MANGLEHORN / 2014年 / アメリカ / 監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン / サスペンス / 97分
w1__20181009164342b45.jpg
過去の恋人が忘れられない。
【あらすじ】
アル・パチーノは孤独で面倒臭いおじいちゃん。



【感想】
アル・パチーノも78歳(2018年時点)、名優も立派なおじいちゃんである。さびし。あと何本、アル・パチーノの作品を観られるのかなあ。2012年からは主演作品を年一本に制限しているようであり、2014年公開はこの作品なんですね。

年老いたとき、何を心の支えや楽しみに生きていくのか、そんなことを考えさせられる作品。老人になれば昔ほど体力も気力もなく、若い時ほど新しく思い出も作れない。年を取れば取るほど、過去の思い出に呪縛されるものなのだろうか。

s1__20181009164344584.jpg

小さな町で鍵修理屋を営む老人マングルホーン(アル・パチーノ)。飼い猫のファニーとの静かな生活。
  
クリップボード02

孫娘(右)と過ごす時間は楽しいものの、息子と疎遠になっているため、それもしばしばである。この「老人と猫」の図、た、たまらん!

XV1__20181009164345c5a.jpg

マングルホーンの心の中は、過去に熱烈に愛した女性クララとの思い出が大部分を占めている。彼女と別れたことをまだ引きずっているのだ。疎遠になっている息子は、自分とクララの間の子ではない。息子が金儲けのことばかり考えているのも気に入らないが、そもそも彼がクララとの間の子供ではないということも大きいのだろう。

クリップボード04

悲惨な玉突き事故の現場に遭遇しても、マングルホーンの眼には血がスイカのように映っている。どこか現実感を伴っていない。クララを失った彼には世界がこのように見えているのだ。こういう表現、面白いですね。

クリップボード06

せっかく知り合ったドーン(ホリー・ハンター)とのデートでも、クララの思い出ばかりを話してドーンを怒らせてしまう。

クリップボード08

だが、マングルホーンの生活にも転機が訪れる。飼い猫ファニーが鍵を飲み込んでしまい、手術を受ける。手術は成功し、鍵を取り出すこともできた。ファニーは変わることができたのだ。ファニーが餌を食べだしたとき、マングルホーンは子供のように喜び「神に感謝します」と言う。今まで神も信じていなかったのに。この洗車場の場面が印象的で、彼は生まれ変わったのだろう。クララとの思い出の品も燃やし、ドーンと新しい関係を築こうとする。

破産した息子に対してマングルホーンは「お前は今ある幸せの価値に気づいていない」と言う。息子にはかわいい娘がいるのだ。だが、その言葉はマングルホーンにもあたるものなのだ。気づくか気づかないかだけで、いつも幸せは足元にある。錠前を開けることが仕事だった鍵屋のマングルホーンは、自分の心に鍵を掛けてしまっていた。

彼は鍵を車の中に置き忘れたまま、誤ってドアをロックしてしまったことに気づく。だが、その錠が魔法のような力で開くんですね。できないと思い込んでいるだけで、人はいくつになっても自分を変えられる。心の鍵を開けられるのだ。あまり評価されていない映画でとても残念です。好きな人には好きな映画なのでしょう。私にとってはいい映画でした。

画面にときどき赤いフラッシュが出たり、謎の演出もあります。あれ、なんだろうなあ。2度3度、観返しても面白いかも。


関連記事
スポンサーサイト



0 Comments

Leave a comment